51、ベストマッチ
「説明書によれば、なんでもこのステッキをOBSに持たせて魔動力を込めると、振動電流にも似た強力な魔動力波が放出され、浴びた者の脳波の徐派の振幅を増大し、睡眠に誘うというシステムだそうですわ。しかもこの深夜0時付近の一番眠たくなる時間帯に使うと効果は絶大!お子様はとっととおうちに帰ってトイレしてお寝んねしろですわ! オーッホッホッホッホッ!」
「な……なんていやらしい攻撃なの……! あいつの性格とベストマッチ現象過ぎるわね……そういえばバニーガールと逆バニーガールが合体したら露出度ゼロのバニー逆バニーフォーム超人になるのかしら……? それもなんかそそりそうね……」
ルーランの懇切丁寧な解説に驚愕するも、あまりの眠気にすぐに意識は右から左へと流れていく。もはや自分でも何を言っているのかよくわからない。
「いかん、このままでは初日のゴールにすらたどり着けず、ア〇ナ・ジ・エンドだわ……って、だからさっきから何を言っているんだ私は……ふぁ~、オウトゥンが恋し過ぎる……フートンといえばクー〇ンズゲート……」
『しかしまた睡眠ものにありそうな通好みのアイテム出して来たなドパコール社……欲しいわ! 言い値で購入するわ! あれ買ってママン!』『睡眠ものって、いわゆる寝た子を犯す系?』『確かにそうだけど、言い方!』『なんか以前ド〇クエの薄い本で味方を魔法で眠らせてから睡眠中のダメージを軽減させるや〇らぎのローブ着せてやっちゃうやつあったよ!』『天才だなおい!』『睡眠ものっていとう〇い先生が特異な……じゃなくて得意なやつだよね』『聞いて下さい! 極まれに睡眠ものと母乳ものが合体したものもあるんですよ奥さん!』
「……」
もはや焦点が合わずぼやけてきた視界の隅を、こんな時でも猥談に興じる元気なコメント群が光の帯の残像を網膜に焼きつけていく。いっそこいつら全員に睡眠波を浴びせて明日の朝のためにとっとと寝かせてやりたいと心の底から願った。