48、未来予知
カフェイン切れで徐々に睡魔に浸食されつつある脳をふり絞って私は必死に思考する。今ここで、ルーランがホーリンの占いパワーを借りてでも成し遂げたい作戦って一体何だ? 腕も一本しかないのに……。
(一発逆転を狙えるようなアイデアってどんなことだ? 火球はもう出せないだろうし……ん?)
モニターを見つめながら長考していた私は、その時視界に何気なく写ったとある物に着目し、眠気が覚めた。よく考えるまでもない、アレに決まってるじゃないか!
「そうか、宝箱ね! この床下に散らばっているどの箱の中にお助けアイテムが隠されているのかを予知能力で見るって腹積もりでしょう!?」
「今頃わかったのか……ミルリーラ!」
せっかくの私の推理も虚しく、青く揺れる焔のように静かに怒りに燃えるホーリンが、厳かに呪文を唱える。間違いなく未来予知の魔法だ。
「くそっ、こうなったらさっきの要領で、相手より先にアイテムボックスを奪うしか……って、何よいきなり!?」
なんと、この戦闘中に初めてクラゲ野郎こと【プロベラ】が前に出た。ただでさえ巨大な傘を一回りも大きく広げ、【ザジテン】を完全に覆い隠す形で立ちふさがる。探索の邪魔はさせないという意思表示だろう。
「くそっ、進路妨害よ、電気クラゲ! そこをどかないと強制レッカーするわよ!」
いくら私が大喝一声で威嚇しようがフワフワ不気味に揺れ動き、宝探し中のあいつを目視させない。完全に馬鹿にしている。
「こうなったらあのカツオノエボシをまたお嬢様の重力魔法で地べたに這いつくばらせて焼き土下座させるしか方法はないのではないですか?」
「それをしたいのは山々なんだけどね……実はもうガス欠間際でせいぜい後一回しか魔法を使えないのよ、あーあ」
私はつい泣き言をこぼしてしまった。
「確かに今日は戦いの連続でしたからね……」
アロエも今回は同意してくれる。やはり持つべきものは戦場を共に駆け抜けた仲間だ。それにしても限界が近いのは困ったものだ。どうしたものやら……。