36、再会
「しっかしこれ、どうしろっていうの? あまり開けたくないんだけど……私、乳首当てゲームとか苦手なのよね」
『ソレハマッタク関係ナイケド正直言ッテ無視シタ方ガ良イト思イマス』
「まあ、あてずっぽうだと日が暮れますし、サーモグラフィーカメラにも反応しないようですし、もうタイムリミットが迫っているので、確かにスルーすべきでしょうね」
「本当だわ! 後30分もないじゃないの! このままじゃ本当に死んでれらーになっちゃうわ!」
アロエの指摘で私は今更ながら時刻を見て焦った。これはのんびり宝探しなんかしている場合じゃない!
「結構その駄洒落気に入っていませんか、お嬢様?」
「まくるぞ! ケフラール!」
アロエの突っ込みを放置して加速魔法を唱え、通路を驀進する。星空の下、次々と流れ去る朱金の宝箱の群れが何というかシュールなのかファンタジックなのか判別つかないけどやけに強烈で良い眠気覚ましにはなった。しかし、進むにつれてどんどん宝箱の床に占める割合が増えていくのが気になる。てか、これって凄い手間かかってない?
「このまま何事もなければ時間内には充分ゴール出来そうですが……どうやらそうもいかないようですね。前方に二体動かず待ち伏せしています、お嬢様」
アロエが早速嫌なニュースを教えてくれる。
「まあ、すんなり行くとは思ってなかったけどね……しかしタッグとは卑怯千万なり!」
『コチラモ相手ノ弱ミトカ使ッテバカリジャナイカ……』
「だーっ! うっさいわね! それは卑怯じゃなくて戦略って言うのよ! てかどこのどいつよ!?」
「お一方はさっきもひと騒動ありました、ルーランさんですね。もうお一方は、お初にお目にかかりますが、どなたかはちょっとわかりませんね……」
「またあいつか……」
なるほど、アロエの言う通り、前方に佇んでいるのは例の赤いゴツゴツした機体こと【ザジテン】だった。ちなみにそのやや後方には、まるでクラゲのように上部が大きく丸く膨らんだ、白い妙な形の機体が漂っている。ちなみに膨らみの下方には白いレースのようなものがひらひらと垂れ下がっていた。
「こんなところでどうしたっていうのよ、カウントダウンTVSEXNTRオホ声お嬢様?」
「その名で妾を呼ぶなですわあああああああああああああ!」
久しぶりの魔動力通話による会話は、早くも紛糾寸前となった。まあ、仕方ないか。