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29、夢の終わり

 なんと相手の頭上から天井がメリメリ音を立てて剥がれてなだれ落ち、機体に直撃してきたのだ。サイコロの面が衝撃にゆがみ、亀裂が走る。


「ぐああああああ! 俺の大事な【タイオゼット】に傷があああああああっ! て、てめえ、まさか……!」


「そうよ! さっき狙ったのはあんたなんかじゃなくて、天井そのものだったのよ。ちゃーんと計算してあんたの通過時に落下する箇所を狙撃しておいたってわけ。今度は幻覚でも催眠でもなく、本物よ。どう、夢から覚めた?」


「そうか、それで重力魔法を……でもそんな簡単に崩れるものかよ!?」


「何よ、あんたが言ったんでしょ? 『ケケッ、この辺りの天井や壁はだいぶ古いし劣化が激しいんで崩れやすいんだ。残念だったなぁ、このまま行き止まりで俺様と【タイオゼット】の餌食になれやぁ!』って。なに敵に塩を送ってんのよ」


「そ、そういやそうだったわ……しまったああああああああああああ墓穴!」


「ホーホホホホホ! お・ば・か・さ・ん!」


 会話している間にも崩落は激しさを増し、こちらまで余波が響いてくる。まーたやらかしちゃったかしら?


「お嬢様、勝ち誇るのは結構ですが、コロニーの空気漏れが起こると厄介です」


「わーってるわよ! どうせ後で修理ロボットが来ると思うしとっととずらかるわよ!」


『アラホラサッサー!』


 脳髄野郎が妙な返事をするも、気にせずバーニア全開で加速し、危険区域を離脱する。いかさまチンチロリン456サイコロ野郎がどうなったかは瓦礫と埃のせいでわからないが、まあ多分死んではいないだろう。てかくたばっていてもいいけど。


『シカシコロニー内部ニ思ワヌ大損害ヲ与エマシタガ、ヨカッタンデスカ?』


 調子に乗った脳髄が今更なことを聞いてくる。


「仕方ないじゃない。どうせ他に手はなかったんだし、いざとなればお父様が何とかしてくれるわよ、可愛い愛娘のために」


 私は可愛く笑いながらも、実際に父がしてくれるだろうか、と脳裏に疑問がよぎるのを止められなかった。彼にはずっと会っていない……。

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