27、同人談義
「よってすべてはあいつの魔法能力の仕業ってことよ。そうでしょう、メマリー!?」
私は犯人を特定した名探偵のごとく格好よくビシッと人差し指を敵機に向けて突き付けてやった。
「カッカッカッ! ばれちゃあ仕方がねぇ! そうよ、この俺様の家系固有魔法は相手の精神をちょいとごまかして偽の情報や感覚を植え付ける幻覚催眠魔法よ!すげえだろう!」
「なんか薄いエロ同人でよくありそうな最低のゲスな能力ね……」
「お嬢様、僭越ですが読書内容がいささか偏っております」
『自分ハドチラカトイウト時間停止能力ノ方ガ好ミデ……オット、今ノハ何デモナイデス』
「うがああああああああお前ら寄ってたかって人の魔法を馬鹿にしくさって! 何がエロ触手モンスターだ! てか何で催眠モノと触手モノは相性が良いんだ!?」
「誰も言ってないわよそんなマニアックなこと! そもそもあんたの地下でハンチョウがいかさまチンチロリンやってそうなへっぽこサイコロ機体だって、葉っぱに擬態するカレハカマキリやムラサキシャチホコみたいなチンケな機能しかないんでしょう?つくづくお似合いの機体だわ」
「確かによっぽど相手を欺くのがお好きな方だとお見受けしますね。幼少期のトラウマか何かで自分に自信がないのでしょうか?」
私とアロエはここぞとばかりに相手の傷つきそうなセリフを言いまくる。精神攻撃ならこっちだってお手の者だし、あの日の半熟卵レタスサバサンドの恨みは恐ろしいのだ。
「うるせえ黙れクソボケ悪役令嬢め! 死ね! 死ね! こなくそ!」
怒髪天を突き、白髪鬼ならぬ銀髪鬼と化したメマリーは、乏しい語彙力から罵倒の言葉を捻り出しつつ、OBSのサイコロ穴からミサイルを次々と発射してくる。
「あらあら、ちょっと挑発し過ぎちゃったかしら?」
「無問題です、お嬢様。あれは下手な鉄砲以下です。避ける必要すらありません」
確かにアロエの指摘する通り、相手がいくら連発しても、怒りで手が震えているためか、照準が定まらず欠片も当たらなかった。南無。