24、違和感
「おかしいですね……つい先ほどまではこんな情報なかったはずですが……」
『20秒前ニ崩落ガ発生シタトノコトデス。特ニ振動ハ感ジラレマセンデシタ。妙ナ……』
青天の霹靂にアロエと脳髄くんの両者も小首をかしげている。一体何があったというのだろう?
「ケケッ、この辺りの天井や壁はだいぶ古いし劣化が激しいんで崩れやすいんだ。残念だったなぁ、このまま行き止まりで俺様と【タイオゼット】の餌食になれやぁ!」
背後から追いかけてくるダイス三兄弟野郎が不気味に笑う。暗い奴だ。
「お嬢様、どうなさいます?」
「あんたそればっかりねアロエ! こんなもの、私の魔法でどっかにどかしてしまえばいいのよ。道を開けろ! ドネペジル最大出力!」
黒剣ジクアスが久しぶりに振動し、数秒後に黒い波動を進路前方に打ち出す。これで積み重なった邪魔な瓦礫は天井に引き寄せられるってわけだ。しかし……。
「んな馬鹿なあああああああああああああ!?」
私ははしたなくも叫んでしまった。必殺の重力魔法が命中したにもかかわらず、瓦礫類はびくともせず、相変わらず行く手を阻んでいたのだ。
「ちょっとどーゆーことよ!? 何で不発しちゃうわけ!? 魔動力だってたんまり消費したのに!? これは明らかに何かが変よ! まるで乳首をつままれているような……じゃなくてなんだっけ?」
「狐ですお嬢様! 垢バンされるような発言はお控えください」
「何よ! ちょっと間違えただけじゃないの!」
『二人トモ言イ争ソッテナイデコメントヲ見テクダサイ!』
急に脳髄くんが何やら大声で割り込んできたのでどうせクソコメしか流れてこないだろうと思ってガン無視していたコメント群を覗き見る。
『崩落事故なんてあったっけ?』『そんなニュース聞いてないな』『そもそも画面のどこもなんともなってないんだけど……』『それより母乳は?』
どうやら皆(一つを除いて)こちら側と情報が食い違っている印象を受ける。しかもなんともなっていない……?
「これは一体……?」
私の頭の中は一瞬真っ白になった。