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22、偶然と必然

「そうだ、あんたが急に現れて私の物確定だった半熟卵レタスサバサンドをトンビみたいに横からかっさらっていったせいでお昼を食べ損ねたのよ! この泥棒猫が!」


 上記の回想を口に出して話していたら、またあの時の怒りがよみがえってきてしまった。


「……いたいけな少女が蹴り飛ばされたことへの怒りじゃないんですか、お嬢様?」


「あ、ああ……もちろんそれもあるわよ、アロエ」


「はぁ……そうですか」


 彼女がまた上弦の月のごときジト目で私を見据える。まったく信じてないな、こりゃ。


 まあ実際、私は自分の痛みやされたことには非常に敏感で、たまーに相手に対してやり過ぎちゃうかなって時もあるけど、人の痛みに対しては割とドライな方だ。もっともそれくらいで悪役令嬢だなんて呼ばないで欲しい。


「でもその後俺に対してやり返しただろうがよ! 冷蔵庫に小細工しやがって!」


「えーっ、そんなことしてないわよー」


 急に棒読み状態になってしまったが仕方がない。


「嘘つけぇ! ネタはあがってんだ! あの日寮生でもないてめえが寮の俺の部屋の前にいて、鍵穴覗き込んで何かを呟いていたっていう目撃情報及び監視カメラの映像が残ってるんだよ! そんでその日ちょうど俺の部屋の冷蔵庫のコンセントが抜けて、中の飲み物や食べ物がえらいことになったんだよ! 知らずに飲み食いして腹を壊したせいでしばらく入院までしちまったぜ!」


「それはお気の毒に……まあ、単なる偶然ですわ」


「じゃあなんで同室者のあのクソガキはあの日冷蔵庫の中身に手をつけなかったんだよ!? 事前に危ないって忠告した奴がいたからじゃねえのか!?」


「そ、それも多分たまたまでしょう……」


「ああそうかい、じゃあ貴様を寮で目撃した時、『ドネペジル』って唱えてたっていう話もたまたまかい?偶然が三つも揃うとそれは必然って言うってなんかの授業で習わなかったかい?」


「……」


 ついに私は押し黙ってしまった。どうやらこいつに口で勝つのは無理ゲーっぽい。まあ正直言って確かにコンセント抜いた犯人は間違いなく私なんだけど。ケケッ、ざまあ味噌カツ!

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