158、召喚
「召喚って……あんたサモナーか左門くんかなんかだったの!? それともそんな特殊魔法の使い手なの?」
「いえ、そんな力はないですが、ファンをこの場に呼び出すことが出来ます。お忘れですか、私の配信動画を」
「ああ、そういえば萌え豚みたいなやつがわんさかいたわね」
私は彼女の『ニップルヘイム皇帝さん、チンコイジリーノさん、レ・マン湖の騎士さん、皆いろいろありがとー! もっともっともーっと廃課金してねー! 腎臓って二つあるんだよ! 金歯だっていけるよ! 皆結構きれいな目してるじゃーんデギズマン!』とかいう鬼畜銭ゲバ台詞を思い出した。あのコーンまんを逆から呼んだような名前のような廃課金なやつらが彼女の忠実な下僕ども、というわけだ。そりゃあ望みに応じてどこからともなく登場してくれるかもしれないが……。
「でも今ってレースの真っ最中よ! さすがに無理でしょ!?」
「いえ、このSDAGの参加者の中には、実は私の味方がいるんです。彼女に調査をお願いしてみましょう。恐らく、こころよく引き受けてくれるでしょう」
「いるの、そんなやつ!? 一体どこの誰よ!?」
「それはあなたがよくご存じの方です、センナさん。そして、ルーランさんも」
「わ、私が!?」
「わ、妾もですって!?」
二人同時に疑問の声を上げてしまうが、これは仕方ないことだろう。それほど彼女の発言は衝撃的だった。
「ええ……それではお呼びしましょう。どうせ近くにおられるんでしょう?」
「ああ……良くわかったな、サラジェン」
急にサラジェンの周囲の緑色の壁が見る見るうちに色を変えていったかと思うと、立体的に盛り上がっていき、サイコロが積み重ねられたようなロボットへと変化していった。
「メマリー! よく生きていたわね!」
「そりゃこっちの台詞だ!」
久しぶりに聞く彼女の声は、疲れが滲んでいた。




