表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

154/159

154、再会

「やーっと見つけましたわセンナさん! 待ちなさいませー!」


 私が回想にふけっていたまさにその時、後方からすごい勢いで朱色の残像をたなびかせて追い上げてくる一台の見慣れた機体がバックモニターに映った。あの発情期の獣のごとき野太くかつけたたましいゴリラ声は……。


「間違いないわ! 待ってたわよ! ルーラン・モイゼルト! よく生きてたわね!」


「何が待ってたわですかこの悪役令嬢があああああああああああああですわ! よくも人をあんな危険地帯に置いてけぼりにしてくださいましたわね! スルピ」


 そこまで言いかけて、例の同盟をようやく思い出したのか、短気な令嬢はあわてて口を閉ざした。


「なーに言ってんのよあんた! せっかくこっちが貴重な戦利品を飲ませてあげようとしても、全然口をつけそうにないから仕方なく先に行ってただけじゃないのさ!」


「ですからそれはあなたが卑劣な手を使って妾を悪魔の子宮の生贄に提供したからではありませんか! 本当に死ぬところでしたわよ! あれくらいのサービスは当然のことです!」


「まあ、あれも作戦の一環だったわけよ。結局お互い無事切り抜けられたからいーじゃないの。ケセラセラってやつでモーマンタイよ」


「だいぶ違うような気がしますが、まあ、おっしゃる通り難所を突破したのは確かなので、事象の地平線よりも広大な我が心を持って、今回だけは目をつぶってさしあげますわ」


 余燼冷めやらず烈火のごとく憤っていたルーランだったが、それでも話しているうちに徐々に鎮火してきた様子で、次第に落ち着いていった。


「はいはい、わかりましたでございますことよ、ルーランさん」


「なんですかヘラヘラと楽しそうに! 今度やったらただじゃおきませんわよ!」


 いかん、やつと喋っていると朴念仁のようなサラジェンとの対比でやけに人間的な反応が返ってくるのがことのほか楽しく、つい口元がにやけてしまう。こいつはちょっと気をつけねばならないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ