153、図星
ちなみに現在私たちは周囲が翡翠のごとき緑色をした壁で覆われている巨大通路を突き進んでいるが、しばらく前から他の機体はおろか、ワナの一つも見かけない。なんとも代わり映えのしない景色ばかりが続いている。
順位情報がどうなっているのか配信で確認しようとしても、ザーザー言うだけの砂嵐がひたすら画面に映るのみで、昭和の深夜のTV放送終了後みたいなことになっている。
「くそっ、どうなってんのよこれ? モニターをぶん殴れば直るかしら?」
「それはおやめください、お嬢様。どうやら第二層のここら辺一帯は電波状況がかなり悪い様子で、近距離の魔動力通信程度しかできないと、事前に通達されておりました。なお、明日の最下層も同じような状況だそうです。素直にあきらめましょう」
「ええっ!? ってことは配信なんかも出来ないってこと!?」
「そうです。まあ、僭越ですが、今までの経験からおわかりの通り、どうせお嬢様の実況を観ている者などごく一部のマニアックかつ投げ銭も知らぬ下賤の者どもでしたから、どうでもいいと言えばどうでもいいですが」
「ぐがあああああああああ! 確かにその通りだけど、あんたはっきり言いやがるわね!」
図星を突かれて私は久しぶりに絶叫しつつ、涼しげな顔のクソメイドを憎らし気に見つめた。今に見ておれ。
「そういえばサラジェン、これってあんたの方こそ死活問題じゃないの? なんかすげえいっぱい高額ランタン飛んでたじゃないのよ!?」
「……別にあれで生活しているわけではありませんので」
「うがああああああああああ! どいつもこいつも!」
私は会話しがいのない相手に腹を立てて、わめき散らして憂さ晴らしした。まったく、こういう時こそ、あの置き去りにしてきた炎のカウントダウンTVSEXNTRオホ声スカーレットお嬢様がいれば、まだからかいがいがあるというものだが。奴は反応豊かで面白かったが、そういえばあいつまだ生きてるかしら?




