15、悪魔召喚
お姫様は特別なお香や蝋燭、骸骨、六芒星、そして逆さ十字架などを使い、強大な魔力を駆使して儀式を行いました。儀式は見事に成功し、召喚された悪魔はお姫様に言いました。
「汝、今何時?」
「駄洒落好きじゃないのでやめてよ! 今、夜の九時よ」
「じゃあまだダメだ。後一時間後に出直しな」
「何でダメなのよ!?」
「ほら、昔から言うじゃねえか……『あくのまさか十時か』ってな」
「だからくだらない駄洒落を今すぐやめなさい!」
「ブゲっ! わ……わかったよ」
お姫様は大地の国の特有の魔法である大地に引き寄せる魔法を唱え、悪魔を地面に叩きつけ、屈服させました。
・ ・ ・
「あーっ、疲れたーっ! ゴールってまだなのかしら、アロエ?」
何とかルーランをやり過ごした私たちはあれから幾つかの分岐点を通り、相変わらず殺風景な直線通路を進んでいた。もう出発してからかれこれ二時間半は経過している。
「まだ後半分ほどですね。そろそろ普段でしたらお休み前の定時健診の時間ですので、ここでやっちゃいましょう」
アロエが計器を操作しながら嫌なことをぬかす。
「ちょ、ちょっと待ってよ! ここには診察用の機械なんて何もないわよ!」
「いえ、実はお嬢様の乗っているコックピットそのものが特性の検査機械の集合体でもあるんです。これでレース中でも問題なく診断出来ますよ」
「中々すごいわね……配信はしたくないけど」
「ついでに服を着たまま身体を洗えるスーパー人間洗濯機にもなります。乾燥中に凄まじい熱風に晒されブタ鼻になるのが欠点ですが」
「そいつは本当にちょっと心からご遠慮したいわ」
『スーパー人間洗濯機超見たいわママン!』『プリーズギブミー洗濯の自由!』『こいつは神回確定か?』『母乳で洗濯するの!?』
急にコメント魚群が発生し画面を塗りつぶす。だから嫌なんだよ!
「とりあえずここから先は超個人情報なので一旦終了します! まったねー!」
なるべく笑顔で別れを告げると配信を強制終了する。まったくスケベ猿どもめ。