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148、ヒント

「くそっ、なんであいつの魔力はあんなに無尽蔵なのよ!? おい脳みそ野郎、陥没乳頭の他にあいつの弱点は何かないの!?」


「シシシシ知リマセン! テカソレハ弱点ジャナクテ弱ミデス! 個人情報!」


「お嬢様、現在は昨日と違って理性がお亡くなりになっている状態ですので、精神的な攻撃はなんの意味もないかと思われます」


「じゃあ一体どうしろっていうのようがああああああああああああああ!」


 敵の猛攻を受け、嵐の海に漂う小舟さながらの私は否定するしか能がない下僕たちに向かって吠えまくった。てか早よ起きろクソルーラン! 同盟解消するぞボケェ! ペットボトル返せ!


「いえ、ただ手をこまねいているわけではありません、お嬢様。微力ながらすでに策を施してございます。今しばらくお待ちくださいませ」


「ええっ!? あんた何時の間に!? 何か手を打ってあるっていうわけ!?」


「はい、少々賭けではありますが……」


「どどどどどういうことよ!? もったいぶらずに早く教えてえええええ!」


 気もそぞろな私に向かって、アロエはただ人差し指を軽く口に当てるだけで何も答えない。


「くそっ、ヒントくらいちょうだいよ! しっかしこのままだと、今はいいけど魔動力の残量がまた心配になるわね。アロエ、残りのゲゲボドリンクのペットボトルはまだあるわよね?」


「……いいえ、お嬢様。申し訳ありませんが手元にはもはや1本も残っておりません」


「ええっ、おかしいじゃない! 確か最初に3本あったから、私が1本飲んで、あのオホ声バカに1本くれてやったとしても、後1本は在庫がある計算になるわよ!?」


 そうなのだ、いくら私が数学が苦手とはいえ、さすがに小学生以下の計算式で間違えるはずがない。


「はっ、まさかあんたが喉が渇いて飲んじゃったわけじゃないわよね!?」


「いいえ、どれだけ口喝を覚えて水分を欲したとしてもあんなカエルの小便よりも下衆なものをこの私が飲むはずがございません」


「おい!」


 しれっと返答するクソメイドは涼し気な顔をしていた。

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