138、寿限無
「な……なんかすげえ危なそうな感じの飲み物ね……しかもクソ長い名前がラベルに書いてあるわ……えーっと……」
「どれどれ、『ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームマドウリョクフラペチーノ』って書いてありますね、お嬢様」
「昔のス◍バかよ!?」
「しかも、説明文によると、どうやらこの液体を飲むと、失われた魔動力がマックスまで再生するそうですよ」
「ビンゴオオオオオオオオ! やっぱりいいいいいい!」
読みが当たった私は大きくガッツポーズを決め、呪文のような名称のその飲み物を小脇に抱きかかえた。これぞ私が今現在最も欲していたものだった。万が一に賭けたのだったが、見事に勝利した、というわけだ。
「すごいですね、お嬢様。あらかじめ宝箱の中身を予想されていたのですか?」
「まあ、ほとんど一か八かだったけどね。でもわずかながら可能性の兆しはあった。ほら、さっき昼食中に私とした会話を覚えている、アロエ?」
「ええっと……確かお嬢様が、『食事で魔動力も回復すると良いんだけどね……モグモグ』って仰られた後、僭越ですが自分が、『口に頬張りながら話されるのはお行儀が悪いですよ、お嬢様。まあ、現在そんな商品をどこかが開発中というニュースを以前小耳に挟んだ記憶もありますが……』ってお答えし、更に、『なんですって?そいつはいいわね。出来たらチョコレート味だと嬉しいんだけど……モグモグ』とお嬢様が口に物を入れたままお話を続けられたあのことですね」
機械のように一字一句間違えず彼女は再現してくれた。
「モグモグは余計よ!でも、あの時考えたの。もしそれほど凄い魔法のような商品があるなら、天下のドパコール社が手を出さないはずはないってね。しかもあの子宮たちは魔動力を吸い取る能力を持っている。それを倒して手に入るのは何が一番嬉しいかって逆説的に予想したらおのずと結論が出たってわけ、フフン」
私はここぞとばかりに鼻高々となった。