136、出産
「ぐああああああああああやっぱ嫌ーっ!」
別にOBSと感覚を一体化させているわけでもないのだが、あまりの気色悪さについ嫌悪の声を発してしまう。それくらい今の状況はおぞましく、かつ過激だった。なにしろ【ラキソベロン】の太くて黒い左腕がずっぽし巨大な子宮口に飲み込まれ、中をまさぐっているのだ。マニアが見たらよだれを垂らして喜ぶかもしれないが、あいにくと私はその手の性癖とは無縁だった。
「ああ……お嬢様……素敵です……」
「あんたそんな性癖だったのアロエ!?」
思わぬ伏兵がすぐそばにいたので、私はシートから飛び上がりそうになった。常に理性的な忠臣の目が何だか妙にうるんでいる。
「おっとすみません。一時的に我を忘れておりました。最近疲れ気味ですし。しかし、これって何だか昔のバラエティ番組にあった、穴の開いた箱の中に手を突っ込んで中身を当てるゲームみたいな感じがしますね」
「箱の中身はなんだろなと一緒にしないでくれる!? 確かにまだちょっとよくわからないけど……あ、あった!」
どうやら口論中にカチッと音がしたので、私は慎重に指先に当たった何かをひっつかむと、真っ直ぐに外に向かって引っ張り出した。
「もっとそっとやらないとダメですよお嬢様! ちなみに人間の赤ん坊は出産時に子宮の中で4回身体の向きを変えて出てくると言われます」
「知らんわそんなこと! 人間じゃないしどうだっていいわよ! うんしょおこらしょおどっこいしょおおおおおおおおお!」
気合いの入った掛け声と同時に、ようやく何かが子宮口をかきわけて現世に姿をのぞかせる。どうやら機体が手にしているのは取っ手のようだ。
「間違いありませんお嬢様、それは昨晩の戦いの時も見かけた、宝箱の蓋についていたものと同じです!」
「よっしゃあ、後もうひと踏ん張りするわよおおおおおおお! 震えて眠れ!」
にゅぽんというなんかエロ漫画でち●こが抜け落ちた時のような効果音が辺りに木魂した。




