127、イエスマン
「キター!」
つい口に出してしまうのは私の悪い癖だ。皆が唖然とする中、「お、やっと思いつかれましたか、お嬢様?」ってなすまし顔でアロエがこっちを見ているのだけがちょっと癪に障るが、まあいいや。もう一度頭の中で検証する。考え方が間違っていないのならば、これでいけるはずだ……多分。
「よし、これでいけるはず! では、名案が浮かんだので今から作戦会議を行う! まず格好いいコード名を決めよう!」
『ソレハイイカラ!』
「うるさい臓物風情が! 赤モツにも白モツにも分類不能なピンクモツのくせに! いいか、全員返事は『イエス』のみだ!」
「いきなり横暴過ぎませんこと!?」
予想通りブーブー反論が上がるも、「じゃあ何か? 誰か他にすげえアイディアがある者はいるのか?」という私の決め台詞の前に皆口を噤んで無回答だったので、議事進行はつつがなく続行された。我ながらひでえが仕方がない。これも伏線ってやつだ。ちなみに作戦名は「しょくしょくしょくしょくしょくしゅっしゅ!」作戦となった。
「いいか、あの腐れ陰険包茎CEOの台詞を言葉通り解釈するなら、敵のいる場所にはお助けアイテムが存在するという意味に取れる。ここまではいいか?」
『ソレッテカナリ拡大解釈シテルヨウナ気ガ……』
「このポンコツ脳デバイスめ! いきなり話の腰を折るなぁ!」
フルメタ軍曹モードの私が間髪入れず脳溝にチョップをお見舞いしたので、「わああああああたああああああべえええええ!」と脳みそくんが脳天に岩山両斬波を食らった牙〇王のような断末魔(アニメ版)を上げた。どうせ真っ二つに分かれてる場所だから良さそうなもんだが。
「いいか、さっきも言った通り全員返事は『イエス』のみだ! ここまではいいか?」
「……」
誰も何も答えなくなったが、時間が勿体ないのでイエスと解釈して先に進める。そういえば毎年クリスマスになると登場人物が海産物のアニメで、ジュースをもっと飲みたい長男がハゲオヤジに「ねえ父さん、今日生まれた人って誰?」「イエス!」「やったー、母さん、飲んでもいいってー」っていうお決まりのネタがあるけど、あれって「キリスト!」って答えられたらどうするつもりだったんだろう? いかん、話が先に進まない!




