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120、配信動画その3

『ニップルヘイム皇帝さん、チンコイジリーノさん、レ・マン湖の騎士さん、皆いろいろありがとー! もっともっともーっと廃課金してねー! 腎臓って二つあるんだよ! 金歯だっていけるよ! 皆結構きれいな目してるじゃーんデギズマン!』


 だんだんサラジェンの闇が深まってきて、表情が守銭奴のそれに如実に変化してきた。


「こいつ何言ってんだっていうかなんであんな変態HNが許されるんだ萌え豚どもめうがあああああああああああああ!」


「お嬢様落ち着いてください! 話が先に進みません!」


「やっぱりこやつは生かしておいて良い存在ではないですわ! キルケイオス!」


『ダカラモウホトンドクタバッテマスッテ! 皆冷静ニ! ホラ、子宮ガ見エテキマシタヨ! 動画ニ集中シテ!』


 怒りに身を任せる自分を制しきれずにいたが、脳みそくんの一言でようやく画面に目をやる。確かにピンク色の靄みたいなものが通路の奥にかすかに映っていた。


『あれれれれのれー? 前方に何やらピンク色のぷよぷよしたつんつんしたくなりそうな何かが見えてきたよー? ちょーっと気になるからちょっくらひとっ走りして一番乗りして皆に報告しちゃうよほうれんそーう! ってほうれん草はバター炒め以外は嫌いだけど! レッツスパイダー!』


 突如機体は凄まじいスピードで通路を滑走していく。機動力に優れているという前評判は伊達ではなかった様子だ。


『野菜もしっかり食べてサラジェンちゃん! お通じに悪いよ!』『サラちゃんはお通じなんかしねえよ! 甘くて柔らかくてスイートななんかだよ!』『それよりもカンダタみたいに落っこちないでサラちゅわん!』


 萌え豚どものキショ過ぎるコメントが画面を埋め尽くし、胸糞が悪くなってきた。思えばうちのコメントも大概だとは思っていたが、こいつらに比べたらまだマシかも……マシか本当に? てか相変わらずのスパチャの雨あられで配信終了までに家が建ちそうなくらいだ。よく知らんけど税金とかどうなっているんだろうかこれ?

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