11、ショータイム
「そうさ、君みたいな少しばかり魔法が使える無知なぽっと出の小娘が僕と対等に闘えると思ったら大間違いだよ。実力は雲泥の差だからね」
「ムキー!」
上手く言い返せずに私は切歯扼腕した。このクソ雌猫が!
「おのれおのれおのれえええええ! あざといボーイッシュな女狐僕っ娘め! 目にもの見せてくれるわ!」
飛行再開した私は奴に中指立てつつ一矢報いるため目を皿にしてつけ入る間を探すも、さすが名うてのトロフィーハンターなだけあり、一分の隙も無い。雪崩のように落ちてくるシャッターをことごとく紙一重でかわすさまは敵ながら見事で、明らかに私よりも優れた反応速度を持ち、操縦技能や機体のスペックなど、全てにおいてこちらを上回っているのは残念ながら認めざるを得なかった。
「くそっ、腹立たしいわね! でもあっちだって所詮は人間よ!」
「かなり人間離れしていますけどね」
「うるさいわねアロエ! それより今すぐあいつの個人情報を毛穴の数まで調べ上げて! 吊るすわよ!」
「いつものアレですね。わかりました、お嬢様。ですが、こちらでわかる程度の情報よりも、今現在手にしておられる小汚いタンパク質の塊に聞かれた方が良いかと」
「えっ?」
加速して落下するギロチンのごときシャッターの刃を避けながらも、私は手元に眼をやる。
「あっ、そういえばそうだわよね。あの女の人に言えないヤバ気な秘密をとっとと教えなさいよこの腐れエロ脳みそ!」
『アヒイイイイイイイイイイイイイイ! わ、わかった! わかったから言うよ! でも、今配信って切れてる?』
「大丈夫、そこは抜かりないわ。いつでも良くってよ」
『相変わらず準備がいいな……えーっと……』
私のテクニシャンな脳みそコネコネコン○イルマッサージに耐えかねたアローゼンの脳みそは、ぼそぼそとではあるが、実に有益なネタをもたらしてくれた。
「よーし、よくやった! 座布団一枚やるわ!」
「操縦席のシートは残念ながら外せませんが……さて、作戦は決定しましたか?」
「ええ、やるわ! やってやる!」
私は意を決し、配信を再開した。今こそショータイムだ!