107、カオス
ルーランの説明によると、どうやらうちのクラスでは彼女の他に友達と呼べるものはいなかったホーリンも、隣りのクラスのアノーロとはスピリチュアル仲間として親交があり、お互いに認め合っていたとのこと。確かに占い師と霊媒師とでは相通じるものがあるだろうことは容易に想像出来た。
「妾もホーリンさんを通じてお会いしたことはありますが、ミステリアスな方で、容易に近づけない雰囲気を発散しておられました。もっともホーリンさんによると彼女の腕前は随一で、亡くなった有名人を実際に身体に降ろしておられるのを見たそうです。もっとも外人の霊だったので何言ってるのかちんぷんかんぷんだったそうですけど」
「それって……どうなのよ!? 判断が難しいわ!」
「まあ、好意的に解釈すれば、本人が知らない言語を身体が喋ったわけですから、成功したと言えそうですけどね。とにかく今は、頼れるのはそれしかありません」
「そうね……それにしても、問題はどうやって協力を取りつけるかってことよね……」
「現在二位の実力者が、下から数えた方が早い相手の頼みを聞き入れてくれるとはとても思えません、お嬢様」
『マシテヤ殺人ヲ疑ワレテイルノデアレバ……』
相変わらず意固地なアロアロ軍団に対し、私はむかっ腹が立ってきた。
「二人で揃って反対しないでよ! んなもんこの私の優秀な頭脳による権謀術数で何とかなるに決まってるでしょ! 今までの戦いを振り返ってみなさいよ!」
「……まあ、言われてみればそうですけどね」
『無茶苦茶ナ理論ダケド説得力ハアルヨウナ……』
「あっ、でもついさっきルーランさんに勝ったのは、明らかに自分のアドバイスのお陰ですよね、お嬢様」
「てかあんた最初っから勝ち筋見えてたでしょ! まだるっこしいことなんかせずにさっさと教えなさいよ!」
「でも、それではお嬢様の成長に繋がらないので……」
「そんな軍師的な成長なんかいらんわああああああ!」
「それより時間が無いんですからとっとと決めてくださいませって言ってるでしょうがあああああああああ!」
カオスは更なるカオスを呼び、叫び声がバタフライのように乱れ飛んだ。