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105/140

105、冥界

「よいこと? テイレシアスは彼の死後もギリシャ神話に登場して主人公を窮地から救うんですのよ。かのトロイア戦争の知将オデュッセウスは戦争後、故郷への帰路で、今後の行く末を占うため、魔女キルケーの助言に従って冥界に降っていきました。そして旅の果てに死霊術を使って彼に出会い、貴重な予言を授かったのです。妾の言いたいことがおわかりになって?」


 私はドヤ顔で講義するルーランに嫌気が差してきたが、頑張って考えてみた。うーん……。


「要するに……死ねとおっしゃる?」


「思いっきり違いますわ! まあ、本音を言えばそうして頂きたいのは山々ですけど、昨日瓦礫の中から助けてもらったこともありますし、今日も口惜しいですがこちらが勝負で負けてしまったのもありますので、悔しいですがそこは一旦置いておくとして、」


「一旦置いておくだけ?」


「うるさいですわね! いいですか、良くお聞きなさい」


 彼女の声が急に低くなる。私は配信を切った。万が一のためだ。


「今回の大会参加者の中には、あの世から死者の魂を一時的にですが呼び戻すことの出来る特殊な能力を持つ者が一人だけ存在します」


「!」


 それを耳にした瞬間、私はさっきの二日目のスタート地点で見かけた機体のうちの一体を即座に思い浮かべた。まさか……!?


「つまり彼女だけがホーリンを現世に召喚することが可能です」


「なるほど、それこそがテイレシアスに会いに行く冥府探訪ってことね! ようやく理解したわ!」


「遅いですわよ! 実際に実物探すわけないでしょうが!」


「あんたが勿体つけすぎるのよ! で、具体的にはどうすんの?」


「つまり彼女に理由を話して協力を乞い、ホーリンさんを呼び寄せ、昨晩の真相について自ら語ってもらうわけです。そうすればあなたが魔法を使っていないことの証明が出来、更にあなたが最後まで聞けなかった予言を教えてもらえるかもしれません」


「うぴょ!」


 思わず変な声が飛び出るほど、私は驚いた。それってすっげえええ話やんけ!

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