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102、予言再び

「わかったわ! 時間が許す限り待機してるから、手早くお願いね!」


 私が無理難題を押し付けているうちに、彼女は小さく呪文をつぶやくと再び両眼を閉じ、変わった呼吸をし出した。どうやら今から瞑想状態に入るらしい。予言とはたとえ魔法を使うにしても手間がかかる様子だ。私はいつ見つかるかという不安で心臓が再びバクバクするも、彼女を信じて息を整えつつ、そっと見守る。ここは下手に騒がず焦らずどっしり構えて吉報を待つがよろしかろう。


 待つことしばし、だが自分には永劫にも感じられるほどの時間だったが、とにかくホーリンは再び目をわずかに開ける。その表情には、どうやら何某かの収穫があったのではないかと思わせる雰囲気が漂っていた。


「ど、どうだった!? 何か刻の涙とか見えちゃいけないものとか見えちゃった!?」


 私は待ちきれずにベッド柵にかぶりついておねだりした。


「……ちょっと落ち着け、悪役令嬢さん。しかし相変わらず修羅の道を行く人だな……この前の予言もひどかったが……まぁ、あれよりはマシな方か」


「と、とりあえずとっとと本題を頼むわよ! 時間が無いのよ!」


 何かすげえ気になることをほざきだしたので、動揺した私は思わずつかんでいたベッド柵を引っこ抜きそうになったが、何とか体制を立て直した。


「おっと、それもそうだな……では伝えるとしようか……第一層で」


 そこまで彼女が口にしたときである。突如凄まじい下向きの力が彼女の臥床しているベッドの真下から発生した。謎の力は掃除機の千倍以上の激しい吸引力で、点滴のルート、酸素マスク、尿道カテーテル、電気ケーブル、その他諸々一切合切を根こそぎにして引きちぎっていく。その有無を言わせぬ吸い込む速さは疾風迅雷のごとしで、風さえ感じられた。


「ええっ!? な、何よ、これ!?」


「うぐううううううっ!」


 あまりの激痛にホーリンが顔をしかめ、苦痛の声を漏らす。


 パニック状態となり、混乱しながらも私は必至に考えた。とにかく……これはなんかヤバい!

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