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10、試験官

「行っくわよおおおお! 困った時のドネペジル!」


 私は今度は呪文を【ラキソベロン】の足下にかける。ただしなるべく機体が傷つかない程度に、だ。突風の中床面に着地した愛機はその場に踏み止まり、根が生えた大樹のようにびくともしなかった。呪文は自分自身にだって効果があるのだ。


『やるなあ、お嬢様』『てか早よ気づけ』『脳みそさんやけに人間的な反応するなw』


 コメント欄がまた皆好き勝手なことを言っているが気にしないことにした。


「ふーっ、一時はどうなることかと思ったわ。しかしあいつ性格最悪ね。文句の一つも言ってやらないと気がすまないわ。アロエ!」


「はいはい」


 彼女に頼んで魔動力通話を試みた結果、何故か相手側に繋がった。


「おい、いきなり何してくれんのよこのタコ!」


「ひどい言い草だね、センナ君。僕の【アバロン】はスマートだからタコというよりもどちらかといえばイカだと思うけど」


「どっちでもええわボケエエエエエエエ!」


 思わず通話を叩き切りそうになったがなんとか絶叫のみでとどまった。


「ていうか天下無敵の優勝候補ナンバーワン様が何故とっとと先に行かずに私みたいなひ弱で儚く可憐な存在なんかを相手にしているの?」


「とても可憐とは言い難い口調だったけどね。まあ平たく言うと君のマシンの脳髄君を返して欲しかったのと、ちょっと君の家系魔法に興味があっただけさ」


「ななななんのことかしら脳髄君って!?」


「お嬢様、もっと凛々しくなさってください。キョドり過ぎでございます」


 アロエに注意されるももう遅い。仕方ないから口笛を吹く真似でもしてやった。


「……まあ、別にいいけどね。しばらく君がそれ持っていても。要は死なないでこの試合を生き残る能力があるかどうかを試したかったんだ。どうやら一次試験合格はまだまだのようだけどね。反応が遅すぎるよ」


「何よ、ちょっと人より操縦が上手いからって試験官気取り!?」


 私は煮えくり返るはらわたをそのまま自分から引きずりだして奴に投げつけてやりたい衝動に駆られた。内臓レディ!

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