さあ、はじめましょう
作ります。
「さて、取り掛かりますか」
気合を入れる為、一言呟き作業に入ります。
「先ずは、森との境に防御壁だね。2mじゃあ少し低いかな?3m位にしとこう、ボアがあの大きさだったもんね。で、幅は上から監視できるように2m位と。キチンと頭に思い浮かべて、魔力が流れやすいように地に手を当てて~、えい」
土魔法を発動し、、森の入り口から右側を、ある程度の距離、覆いつくす。そこに何度か使ったハードニングで硬質化する。自身の魔力で作った物への付与の為か、相乗効果で相当堅い壁が出来上がった。
「お~予想以上。上出来ですね」
そしてお次は建物・・・ではなく、あるものの製造を優先します。それは、なんと、燻製窯です。
この前手に入れた大量のお肉を加工して、保存食にするのです。私は収納があるので、困りませんが、村に来ていた行商人や護衛の冒険者は、日持ちをさせる事が出来る食料は貴重品です。交易の商品の一つに出来るでしょう。
深皿に水と塩、それに臭み消しに取って来たハーブを浸した液体を作ったら、燻製にしたい大きさに切ったお肉を浸していきます。染み込むまで少し時間が掛かるので、収納内にまた別空間を作り、時間を進めておきましょう。
前準備が出来たので、建物を建てる場所から少し離した所に、地面にある程度の大きさで、三面の壁を立ち上げ、途中途中の左右の壁に同じ高さで突起を作り、上部を波ださせます。その上に天井を作り上げ、波の部分から少し空気が出入り出来る様にしておきます<其処から煙が出過ぎると燻製の意味がありませんので>。
次に伐採してきた樹を、水魔法で水分を放出し、火と風の魔法を少し離れた所から当てて、反りを出さない様に上手く乾燥させます。で、その樹を窯の高さ位で切断したら、斧を使い、薪割の要領で、身体強化した力を利用し、板状に割いて行きます。窯の幅と同じくらいの板が取れたら完成です。窯の前戸にします。
森で伐採した樹は、オークやクルミ、リンゴなので、燻製用のチップにも使えますので、前戸に使わない最初に割いた端の部分をこれでもかと小さく削っていき今回はオークのチップを作り、重力魔法で圧縮し固めて、ブロック状の物を幾つも作り上げていきます。
「やりましたよ、出来上がりです。先ずはちゃんとした製品が作れるか実験です。燻しながら半日くらい置きたいので、早速やってみましょう」
左右の段差の良さそうな高さのところに、木の枝を丁度の長さに切りそろえ棚状にし、置き場を作ると、収納内で作っておいたお肉を並べ、一番下の地面に窪みを作り、チップのブロックを置いて火を付けます。窯の入り口両サイドに前戸の抑えを作りギリギリ嵌って動かない様に作ると、後は待つだけ。偶に様子を見に来て、チップが全部焦げ付いてるようなら、新しいのに交換すればいいので、最初の交換で時間を見ておきましょう。以後はその間隔で確認すればいいですね。
「では、これより建物の建築に移ろうと思います。パチパチパチ」
え~とキチンと頭の中にイメージを、と。二階建ての建物にするとして、先ず一階は入り口入ってすぐは店舗。接客用のカウンターを作り、その後ろに色々な物を置けるように大きな棚を設置して、右半分に二部屋作り、手前が自室、奥が倉庫で良いかな。倉庫内にも壁際に棚ね。で、左端に奥から手前に向け二階に上がる階段を作り、階段下に一部屋。やはりここも右半分に三部屋プラス小部屋を作り、もしお客さんか誰か来た時に、泊まれるようにしておいて、一階の階段下と二階の小部屋はトイレに。段差を作って穴を掘り真ん中に穴を開けたふたをして、その上に前世でお世話になってた、あの便器を作り上げるのです。穴はスライムさん用の部屋ですね。段差の手前から出し入れ可能にしておきましょう。
「さあ、どんどん魔力を流しますよ。イメージに合う魔力が溜まったら、思い描く建物よ、現世に顕現しなさい」
暫く魔力を放出し続けると、最初は緩やかに、それが段々、ズーンという地響きを起こしながら、強い揺れに変わり、その場に魔力が溢れたかと思う程の光を放つ。その光に、ついつい目を伏せてしまう。瞼に感じる眩しさが収まったと思った頃、恐る恐る目を開くと、其処には、頭にイメージした建物が建っていました。
「やりました、私。さすが、私」
誰も聞いてない自画自賛を述べながら、満足げに建物の外周を回る。壁などの様子を見る限りは、欠けやひび割れ、穴などないので成功だと喜んでいたら、
「穴がない。つまり出入り口と窓もないじゃない」
慌てて、入り口を作るはずだったところへ行き、土魔法で扉分の穴を開け、それからも各部屋を周り小窓分の穴を開けていきました。
「ガラスはまだ材料と設備がありませんので、窓も扉同様、取り敢えず木で作っておきます。後で凝った物に作り直しましょう。後は中の作りを完成させていく工程ですが、今日はもう無理ですね、疲れました」
燻製していた物を確認がてら、ご飯の代わりに食べて、建物に入り、隣の小屋からもってきた寝具をひくと、また外に結界を張り、瞼を伏せるのでした。
疲れました、お休みなさいです。
楽しく読んでいただけたら幸いです。