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女神様と?

どうなるの?

 「今回はこちらの手違いで大変申し訳ありませんした~~」


 何かの塊だったような物を、片手で押さえつけたまま、清涼で透き通る声の、この世のものとは思えないい方?、この世のものではないかも?が綺麗な土下座を目の前で繰り広げながら、チラチラと上目遣いで此方を見ています。突然のことで状況の呑み込めない私は呆然としたまま、その綺麗な方を見つめていました。


 「すいませんっした~~。間違いを犯したこいつはすり潰しておきましたので、どうかご容赦を~~」


 「あの、今はどういう状況なのでしょうか?」


 「あ、其処からですか?まだ、思い出してらっしゃらない、と」


 「思い出す?」


 「はい、あなたはお亡くなりになりました。が、それが手違いだったのですが・・・」


 「はぁ?」


 「ああ、申し訳ありません。詳しく申し上げますと、車道に出た老婆を助ける為、ご自身が向かってくる車の犠牲になられたのですが、本来は息を吹き返し、助かるはずだったのです。が・・・そのシーンだけを見ていた、この馬鹿が死亡と勘違いして魂を此方に連れ帰ってしまいまして・・・」


 片手で抑えているその塊に視線を向けて言葉を紡がれます。


 「その塊は?」


 「ああ、これですか?ドジな死神です。お仕置きをしてこんな姿になってますが、もうしばらくすれば、復活すると思います。もう一回すり潰しときますか?」


 そんな話をされ、呆れた視線を向けながら、言われたことを反芻しながら、記憶を前へと辿ります。


 確か、私はもうアラフォー世代に突入していた女性、それも広告代理店のブラック寄りの企業勤めで、会社とアパートを往復するだけの日々を過ごしていたような気がします。

 休日出勤、サービス残業当たり前のその会社をへとへとになって退社し、朦朧としながらの帰り道の信号待ちしてた時、歩道で買い物袋を下げたお婆さんが袋から落とした野菜を拾おうとして、よろけた所に、車が突っ込んできたのを思い出しました。

 目が合った車の運転手も唖然とした顔で、状況が呑み込めず反応できない感じだったと思います。なにせお婆さんを引き寄せようとしたら、体勢が入れ替わり、私が車道に出てしまったほんの一瞬の記憶ですから。


 「ああ、あれで私は死んでしまったのですね」


 「いえいえ、本来は仮死状態。息を吹き返し助かる予定でした。寿命もまだまだありましたしね。これから取引先のバツイチ子持ちの御曹司があなたを見初められ、幸せな人生を送る予定でした」


 「さあ、ミスなら元に戻してください、さあ、さあ、早く」


 「大変申し訳ありませ~~ん。戻そうにも現世にもう、貴方のお身体がない物で」


 「で、これから如何しろと?このまま消えてなくなれ、と?」


 「と、とんでもありません。で、ですが、元の世界には空きがない物で・・・」


 「で?」


 「私が持ってる別の世界・・・で・・・は?」


 「は?この歳で、別世界?」


 「あ、キチンと生まれ変わらせますとも。それも、チート。チートをさしあげます。それでどうにか、今のお怒りのお気持ちをお沈め下さい」


 「で、どんなものを?それで生活出来るの?」


 「私の権限の及ぶ限りのチート能力なので大丈夫かと?」


 「断言できてない所が怪しいわね」


 「そうです、記憶、今までの記憶も役立てられるよう、思い出せるようにしておきます」


 「生まれた時から?」


 「いえ、それですと、向こうの生活になじめず支障をきたす恐れがありますので、ある程度の年齢で」


 「それって幾つくらい?」


 「7,8歳の頃、国では大体の場所で洗礼を行い、所持スキルなどの確認を行いますので、その時に思い出す様にしておきましょう」


 「それって、勇者や聖女なんかの目立つ人を見付ける為の奴?」


 「それも目的のうちの一つなんでしょうが、自分の将来を考える手助け的な意味もありますので…止めろ、とは神託はおろせませんね」


 「じゃあ、私のは何が貰えるのかは判らないけど、見つからない様隠しといてね」


 「は、はい。そうさせて頂きます」


 「で、もう生まれ変わらせるの?」


 「とんでもないです。チュートリアルです。修行パートですよ。此処で与えるチートを存分に使えるようになるまで何年でも生活して頂きます」


 「は?なんで?」


 「言ったではありませんか、私の権限の及ぶ限りと。そんなものいきなり向こうでぶっ放したら、あの世界無くなる可能性すらありますから」


 「・・・」


 「なので、ここまでは大丈夫、これから先は出来ても我慢してね、と言う加減を、学んで頂こうかと思ってます。神の権限なので、ぶっちゃけ作ろうと思えばスキルも魔法も、どんな物も作れるでしょうしね。制限は必要ですよ。ウンウン」


 「そんなもの、与えていいの?」


 「命って、重いのです。それが定められたものなら摂理に従い循環するので大丈夫なのですが、あなたの場合、何処にも行けない、何にも成れない、そんな不定のものになってしまうのです。それは、私すら生み出されたあのお方が許されないでしょう。最悪、最悪ですが星はまた作れるのです。ですが、貴方と言う存在はもう作れません。なので、そのお詫びです。存分に受け取って身体が覚え込むくらい修行に明け暮れてくださいね」


 「なんか、良い神様なのか、駄目な神様なのか、区別つかない。というか、私程度では理解できないのが神様なのかも?」


 「あ、滅ぼしたくなったら、教会で事前に言って下さいね。星の生命、全て別に作った星に移動させますので」


 「・・・」


 「さぁ、チュートリアルを開始しましょう」


 それから、どの位の年数そこに居たのでしょう。もしかしたら数十年?いやいや数百年?という事も。とにかく恐ろしく長い事そこに居たような気がします。さっきまで、思い出せなかったんですが、ね。

楽しく読んでいただけたら幸いです。

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