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思い出しました

新作です~。森での生活だけの話が面白そうなので、書いてみます。

 目覚めると其処は、何とか保っている様な小屋の中。


 朦朧とする意識の中、現実を確認する為、一旦小屋から出ると其処は、薄暗い森の入り口。

 後ろを振り返れば、光が遮られ昼でも薄暗い広大な森。目の前は何処まで続いてるのか判らない、あぜ道と草原。

 自分自身を見れば、幼くもないが大人でもない、十を幾ばくか超えたくらいの少女。考えをまとめる為、一度出た小屋へと戻ると、現状を再確認。周りにはやはり人影もなく、独りぼっちであることが、嫌でも判った。もやがかかった様な記憶に意識を向け集中すると、途轍もない頭痛と共に、二つの記憶が飛び込んできた。

 一つは村に魔物が現れ、命からがら私を近くの村の此処まで運んできたが、その村も襲われ崩壊していたのを知り、それでも逃がそうと小屋に隠してくれた母親の記憶。

 もう一つは、朧気ではあるが、人助けをして事故にあい、仮死状態を死亡と勘違いして、連れ帰った死神を殴り倒して、謝りながら説明してくれた女神の記憶。

 二つ同時に、それもこんな状態で戻った記憶に、ついつい叫んでしまった。


 「どうしてこうなってるの~~~、女神様~~~」


 少し取り戻した記憶に従い、全力で身体強化を使い、母と逃げてきた道を駆け戻る。


 小屋で意識を失っていた時間は如何ほどだろう。辿り着いた場所には、もう記憶にある村は残っていなかった。緑色をした小柄な魔物が、粗末な刃物や棍棒で暴れまわってる。生きている村人はもういない。それらしき躯だけがそこかしこに放り出されている。


 「この~雑魚のゴブリン野郎ども~、良くもやってくれたわね。私の今のこの怒り・・・存分に味わいなさい」


 叫び声でこちらに気付き、小さな少女を目にし、獲物と勘違いしたそいつらは、ニヤけた顔をこちらに向け近寄って来る。


 「グキャキャ、グキャ、グキャキャ」


 「まともに、喋りも出来ないなら、口を閉じてなさい。足にには風を、腕には雷を。さあ、思い知らしめてやりましょう、加減をしつつ敵を殲滅出来る、天界で編み出せし技の一つを。風雷衝」


 身体強化で能力を上げた全身で突撃しながら、足に纏いし風を操れば風の刃が蹴りの軌道で敵を切り裂き、イカヅチを纏いし腕で敵を屠れば、痺れを起こし、心の臓を止め、焦がしつくす。

 目に映る全ての魔物を蹂躙しつくし怒りをぶつけ終わっても、引く事の無い頬を伝うものを感じながら、周りを見回す。かつて村だった光景を、村人だったその躯を。その中に見つけたいつも見慣れた服を着た見分けのつかなくなった死体を。



 何とか、朧げな前世の記憶も手伝って気持ちを落ち着け、人間は一つづつ埋葬し、魔物はゾンビ化するのが嫌なので、大きな穴を土魔法で開け、放り込み、炎の魔法で焼き尽くし、また土魔法で埋めた。


 今思い出せるわずかな前世の記憶に比べても短い、わずか数年分の記憶しかないだろうその場所でも、そのまま居たいとは今は思えず、両親の墓前で言葉を継げる。


 「行ってきます、お父さん、お母さん。何とか生きていきます」


 トボトボとした足取りで、また先程いた母親から隠された小屋へと向かうのでした。

楽しく読んでいただけたら幸いです。

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