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元ご令嬢の初登校

 あれから三日後の朝。

 体調不良で学校を休ませてほしいと、美桜の母に頼んでから結局三日も学校を休んだ。


「休日と仮病……。

知識を得るために結局、五日もかかってしまいましたわ……」


 美桜の体で目が覚めてから、現代の事を知るうえでやはり一日や二日では、事足りなかった。

なので、ほぼ徹夜で高校生活に必要な知識を取り入れたのだ。


 今や、スマホやパソコンの使い方もお手の物だ。


「(それにしても……。

美桜さんの国……すごいですわ……。

見るものすべてが真新しく、とても面白いです!!


あと、あれですわ! お菓子! お菓子を始めて見て食べたときはこの世の物とは思えないほどでしたのよ!)」


 最初のうちは見るものすべてに驚きの連続で、カノンが一番驚いたのはお菓子だ。

 カノンの国には残念なことに、お菓子が存在しないのだ。


 砂糖の原料になる実はあるが、皆が使い道を知らず、見向きもしない。


 カノンの国の甘いものと言ったら果物か蜂蜜ぐらいだ。

そんな国で育った為に、今やカノンはお菓子の中でも特に和菓子のとりこだ。

甘さが上品で見た目も美しい物ばかりと絶賛した。


 クラスの皆の事も美桜のスマホにあった、集合写真と学校からのスマホのグループトーク、名簿などでどうにか把握できた。

この辺の地理も準備万端で、時間割も確認しており、持ち物も揃えた。


 練習の成果もあり手馴れたように制服に着替えるカノン。

ワイシャツ、チェックのスカート、紺のブレザーに女子はリボンかネクタイを選べるようで、美桜はどちらも持っていて、今日はリボンを着けてみる。


「いざ初登校ですわ!!」


 そう勢いよく玄関の扉を開けるカノンだった。


 緊張しながら学校まで歩いてると、もうすぐ校門というところで正面からすごい勢いで走ってくる女子生徒が見えた。


「あーーーーー!! 美桜ちゃん! 眼鏡外しちゃだめだって言ったのにーーー!!


美少女が丸見えじゃん! いろいろ目立つから内気な美桜ちゃんの心臓に悪いと思って、伊達でも眼鏡の提案したのにぃ」


 そう、少女がカノンの目の前まで来て、頬を膨らましながら言う。

 彼女は、美桜のスマホにあった中学から付き合いのある原さんで、美桜の一番の仲良しだ。


「申し訳ありません、原様。

わたくし、なんだか最近眼鏡がないほうが落ち着きますの。

これからはこの姿で過ごしていきますわ。

ご提案、ありがとうございました」


 カノンはにこっと微笑み、きれいなお辞儀をして原さんに伝えた。


「美桜ちゃんが貴族の勉強してたことは知ってたけど、ここまで貴族オーラが出るとは……。

あ、えっと……ごきげんよう」


「ふふっ、ごきげんよう」


 原さんは唖然としながらも、本当に貴族が好きで努力したんだなと受け入れた。


「そういえば、美桜ちゃん、3日も学校を休んでたけど体調はもう平気?

ノートとか困ったら見せるからね。

あ、でも美桜ちゃんなら私なんかのノートがなくても大丈夫だよね」


「体調はもう大丈夫ですわ。

ご心配お掛けしました。

『なんか』だなんて、ご自分の事そんな風におっしゃらないでください。

ノート、お言葉に甘えますね」


 原さんとおしゃべりしながら教室についたカノンは、中にいるクラスメイト達に「ごきげんよう」と声をかける。


 カノンの声にクラスメイト達は、容姿や口調に唖然とした。


「(あ、こちらの世界では挨拶が違うのよね。

だから皆さん、唖然としているのね)


コホン……おはようございます、皆様」


 カノンが挨拶を言い直して微笑むと、クラス内がザワつき始めた。


 一部では「雰囲気変わったね〜」だとか、「美少女じゃん…」と誉め言葉をささやいてる。

またある一部の男子は顔が赤い。


「あ〜ぁ、美桜ちゃんの可愛いさにやられちゃった人もいるじゃん」


 カノンの隣で原さんがぼやいているが、カノンは特に気にする様子もなく、皆に向かった。


「皆様、なんだかザワつかせてしまい申し訳ありません、高校デビューですの。

口調等ご了承くださいませ。

改めましてよろしくお願いしますね」



「「「(高校デビューって変わりすぎだろ! ついに貴族を身に着けたか)」」」


 美桜が貴族の勉強をしている事を知ってたクラスメイト達は、心の声が一致したのだった。

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