秋に死んだアリと常春のキリギリス達
どいつもこいつも馬鹿ばかりだ。
その場の楽しさばかりを優先して、未来のことなんか考えちゃいない。
後で後悔するのは自分なのに、どうしてそれがわからないんだろう。それを考える脳すらないのか、と嘲笑する。
悪事を誇らしげに語る奴らなぞ、恥ずかしくて近寄りたくもない。
俺はただ日々、真面目に、正しく生きる。
本は参考書以外読んだこともない。読書感想文はあらすじを真似すれば字数なんていくらでも稼げるし、「豊かな心」なんてなんの役にも立たないと知っている。ましてやくだらない作り話なんて読む必要性すら感じない。
放課後遊びに行くだなんて言語道断。少しの時間も無駄にはしない。勉強、勉強、勉強。いい高校に入って、いい大学に入って、いい会社に入って、いい立場につくには、遊ぶ暇なんてない。
そうして富める生活を送ることが幸せなんだ。そのはず。
それなのに、どうしてあいつらはずっと笑っている?俺はこんなに苦しい思いをしているのに。あいつらの方が下なはずなのに。あいつらが遊んでいる時間も僕は努力していたのに。俺の方が、俺の方が、俺は。おれは、未来で幸せになるために……
胸が痛い。体中の血が沸騰したように熱くなり、力が入らない。苦しい。外で子どもが笑っている。助けてくれ。誰でもいいから。誰か