留学生もイケメン
「お気持ちだけ受け取っておきます」
数々の視線に耐えかねて楚々とその場を去ろうとするが、なぜかジョンが後を追ってくる。
「何かまだ御用ですか? 私、いまジョン様の冗談に笑える気がしません」
「そんなに嫌わなくてもいいじゃないか。わかったよ。今日はきみにアピールするのは止めよう。せっかくのパーティーだ。楽しまないとね」
今後永久にアピールしないでほしいと言うのは寸でのところで理性がストップをかけた。相手は自分より格上の存在だ。そうそう無碍にも出来ない。
ジョンに気付かれないよう溜め息をついて周りに視線を遣った。助けを求めたつもりだったが、皆心得たとばかりに二人をそっと見守る体勢に入ったようだった。何て察しの悪い人たちなのでしょう。
これからの学園生活が思いやられる。
「あ、ミゲルがようやく解放されたようだ」
パッとジョンの視線の先を見ると、彼の言葉の通り幼馴染がこちらへと歩いてくるのが見えた。
「ミゲル」
声をかけると片手で応じる大柄な男はエミリーの古くからの友人だ。彼は異国からの交換留学生である。
「オレの麗しき友人が困っているようだが、何かあったか?」
周囲とは違い、随分と察しのいい友人であるミゲルはエミリーを自分の背の後ろへと隠してくれる。
浅黒い肌とは対照的に白く眩しい歯が印象的だ。️️️ミゲルもジョンもお互いに笑顔だが、雰囲気は不穏である。