【朝比奈 紺】
ー第2章ー 【朝比奈 紺】
朝比奈 紺。青山高校2年、17歳。血液型はB型。
誕生日は5月14日。成績は良くも悪くもないし、
特に目立つようなキャラでもない。
部活は、男子バドミントン部。そこまで強いわけではなく、
入った理由は練習が緩いからだ。
僕は、ほとんど幽霊部員みたいなもので、
顧問もあまり部活に顔を出さない。
大会の成績も県でベスト8という中途半端な成績だ。
今、僕には好きな人がいる。川野 碧。
彼女を一言で表すと、才色兼備かな。
艶のある綺麗なセミロングで、まつげの長い切れ長の目。
時々浮かべる哀しそうな表情は誰をも魅了する。
成績も良く、部活は陸上部でとにかく足が速い。
あんなのに追いかけられたら、誰も逃げられないな。
僕らは2年連続同じクラスで、席も近く結構仲が良かった。
休日に遊ぶこともあったし、
勉強を教えてもらったりもした。
一緒にいる時間が増え、僕は次第に恋に落ちていった。
修学旅行で勇気を振り絞り、人生初の告白を成功させた。
今でも、僕の彼女が碧だと信じられない。
碧と過ごす日々は毎日が楽しくて、
灰色だった僕の人生は俗に言う薔薇色へと変化した。
だが、そんな彼女にも1つだけ問題があった。
碧は自分のことをあまり語らない。
幼少期~中学時代の碧を知るものは、
この学校や僕の周りにはいない。
彼氏なのに、家も教えてくれない。
親に会ったことだってない。
そして、時々浮かべる哀しそうな表情は
何を思っているのだろうか。彼女に聞こうとすると、
いつもはぐらかされる。 いつか彼女から話してくれるのを
僕は待っている。
だが、いくら待っていても
ーーそのいつかは来なかったーー
彼女の秘密を知ったのは、彼女がいなくなってから、
2年が経った後だった。この日を境に、僕の人生は
また灰色へと戻っていった。