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天職はドロップ率300%の盗賊、錬金術師を騙る。  作者: 朱本来未


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056 盗賊さん、情報共有する。

「かなり遅くなっちまったが、晩飯にしようぜ」

「そうだね。他にもグレンには伝えとかなきゃいけないこともあるし、それはご飯を食べながら話すよ」

「まだなんかあるのか」

「困ったことにね」

「ほんっとやることつきねぇな」

「ここには、まだボクらふたりしかいないからね」

 そんなボクの発言に抗議するようにプルが、肩の上で飛び跳ねた。

「あぁ、ごめんね。プルも錬金術ギルドの一員だったね」

 なでながらそう言ってあげるとプルは、嬉し気にぷるんぷるんと身体を左右に大きくゆらしていた。




 地下を出たボクらは、グレンが用意してくれた晩御飯を味わいながら、情報共有と今後の活動方針を決める話し合いを再開する。

集団暴走(スタンピード)の件が片付いてたら、グラスボア狩りに行くってことでいいんだよな。それにオレも付いてくってことでいいのか」

「いや、グレンには別のことをして欲しいんだ」

「別のこと?」

「うん。キミには西地区にあるっていう孤児院を訪ねて欲しいんだ」

「西地区ってぇと水田ばっかしかなかった気がするが、あったかなそんなもん」

「なんでも老婦人がひとりで切り盛りしている孤児院があるそうなんだ。元々そういった目的で建てられた建物じゃないだろうから少し大きな御屋敷かなにかだと思うよ」

「あー、そういうことなら一軒あったかもな。かなり古い屋敷が。んで、そこに行ってオレはなにすりゃあいいんだ」

「錬金術ギルドで働きたいって子を探して来てくれないかな。対象の年齢は10歳前後くらいでね。ただ12歳超えてる子達だと冒険者ギルドに登録出来るから、そっちに行っちゃう子も多いだろうしさ」

「ガキんちょを働かせるっつってもやらせることなんてないぞ」

「今はね。だからさ、グレンと一緒に魔力循環や、読み書き計算なんかの一般教養を学ばせて欲しいんだ」

「それって、孤児院のガキんちょどもをオレらで錬金術師として育てようってことか」

「そうだよ。将来的なギルド員を育成するなら若い方がいいだろうしね。彼らとしても将来の職に対して不安を持つ子もいるだろうし、望んで来てくれる子も少なからず居ると思うんだ」

 この件に対してグレンはどこか乗り気ではない様子だった。

「なんつーか、親のいないガキんちょどもの弱みに付け込んでるみたいで、気が進まねぇな」

「そうかも知れないね。でも、ボクらが用意したチャンスを利用するかどうかを決めるのは、ボクらじゃなく彼らだよ」

「チャンスか」

「機会がなければ、それを望むことすら出来ないだろ」

「そう、だな。成人の儀で望んだ天職になれるとも限らねぇしな」

「その場合は、冒険者になるか、安い労働力として使われるかの2択だろうね」

「かも知れねぇな。オレも似たようなことしてたわけだしな」

 グレンは自分の過去を思い出してか、遠い目をしていた。

「それで孤児院の件は引き受けてくれるのかな」

「あぁ、やらせてもらうよ。でもよ、錬金術の才能の有無なんかはオレにはわかんねぇぜ」

「そういうのは気にしなくていいよ。魔力循環さえ出来るようになれば、薬師ギルドのポーションよりいいものはつくれるようになるからね。出来なかったとしても、薬草栽培なんかの魔力を必要としない仕事を任せてあげられるようになるだろうしね」

「ガキんちょどもをここの地下に入れるのか?」

「いや、孤児院の敷地内で栽培してもらうつもりさ」

「そっちはオレらの成果次第ってわけか」

「そうなるね」

「概ね了解したが、ヒイロはどんなガキんちょが居るか見に行かなくてもいいのか」

「手分けしないと他にもやることがたくさんあるからね。それに子供達を相手にするならボクよりグレンの方が向いてるだろうから、適材適所なんじゃないかな」

 プルと遊んでいた様子や、グレン自身の性格なんかから判断してのことだけれど、その辺りのことはなんとなく彼には伝えなかった。

「そうか?」

「そうだよ。出来れば子供慣れしてそうなアンジーにも手を貸して欲しいところだけど、彼女は食堂の仕事があるからね」

「あー、確かにあいつならオレなんかより上手くやれそうだな。手伝ってくれるかどうかわかんねぇが、ダメ元で声かけてみっかな」

 各々やることが定まったところで、ボクらと一緒に同じ食事を摂っていたプルが、綺麗になった皿を前になにかを期待するように身体を縦に伸び縮みさせていた。

「おかわりが欲しいの?」

 ボクはまだ食べ切っていない自分の皿の上から、鳥肉の揚げ物をひとつフォークで刺してプルの前に持っていく。するとプルは2本の触手を伸ばしてそれをフォークが引き抜いて身体に取り込んでいた。完全に吸収し切ったところでプルは、慌てたように手のように伸ばした2本の触手をぱたぱたと上下させた。なにを伝えたがっているのか、いまいち理解出来ずに首を傾げてしまう。

「もしかしてだが、プルもなにか仕事が欲しいんじゃねぇか」

「そうなの?」

 真意を確かめるようにプルに訊ねると、プルは肯定するように身体をぽよぽよとさせていた。

「そっか。それならプルはボクと一緒にグラスボアを狩りに行こうか」

 そう伝えるとプルは、嬉し気にぽよんぽよんとちいさく跳ねて喜んでいた。


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