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天職はドロップ率300%の盗賊、錬金術師を騙る。  作者: 朱本来未


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103/117

103 盗賊さん、調査する。

 超大型魔物は、ボクがプルにアイテムを取り込ませることでダンジョン外で活動可能になったのと同様に、共同墓地にあったものを摂取するとこで、ダンジョン外に実体を伴って顕現したのは間違いないようだった。おそらくそれは、地下に保管された大量の遺砂なのではないかと思えて仕方がなかった。

 魔物は魔力を持つものを襲う習性を持っている。その魔物が、多くの人々が生活している街を襲うでもなく、真っ直ぐに共同墓地に向かったことからして、地下に保管された遺砂に宿った魔力に惹きつけられたのは、想像に難くなかった。

 遺砂を取り込み、ダンジョン外でも活動可能な肉体を得た超大型魔物は、共同墓地跡にしばしなにもすることなく滞在していたが、なんの前触れもなく、再び活動を再開した。

 液状化した大地に潜り込んだ超大型魔物は、完全に巨体を泥の中に没した。かと思うと、市街地に向けて大地が一直線に陥没し始めた。

 推測でしかないが、超大型魔物は地中を液状化しながら突き進んでいるらしい。地下の地盤が液状化によって緩くなったことで、支えを失った土砂が崩れて液状化した超大型魔物の通過跡に流れ込んでいるようだった。その軌跡が一筋の大地の陥没として現れていた。

 やがてそれはスライムダンジョンがある場所に到達すると、ぴたりと進行が止まった。しかしそれは束の間のことで、再び大地が鳴動するような地響きが辺りに響き渡り、半壊で踏み止まっていた建物群が、とどめを刺されたように次々と倒壊していっていた。

 瓦礫の山が量産される中で、一際大きな地響きとともにスライムダンジョンが存在していた場所に、土砂が柱のように噴き上がった。そこにはもうダンジョンは存在していなかった。

「まさかとは思うけど。あの魔物、ダンジョンを食べてる?」

 そんなボクの疑問に対して、サク姉も同様の見解を抱いているようだった。

「でしょうね。体外に流れ出した魔素を取り込むのが目的じゃないかしら。だとしたら、この付近のダンジョン全て潰されてしまうんじゃないかしら。既にふたつのダンジョンを破壊しているわけだしね」

 そんなボクらの予想は的外れではなかったらしく、眼下では超大型魔物が次の獲物を求めて再度地中に潜り込んでしまった。

 大地を陥没させながら進む超大型魔物は、南地区にあったらしいダンジョンも、これまでと同様に乱暴な食事の糧として喰らい尽くしてしまった。

 最早、バーガンディには領都の経済を維持していたダンジョン資源が、完全に失われてしまっていた。

 領都の城壁内部に存在していたダンジョンのことごとくを食い散らしたことで、それなりに満足感を得たのか。超大型魔物は身体を丸めるようにして、ダンジョン最下層と思われる石質の床で眠りについていた。

 眠ったことで攻撃的な行動を取らなくなった超大型魔物を探るべく、ボクはサク姉に頼み込んで高度を落としてもらった。アンズーを降り、単なる大穴に成り下がったダンジョン跡を覗き込み、超大型魔物の様子を窺う。

 喰い破ったダンジョン跡を寝床にした超大型魔物は、生物としての頂点に近い位置に存在しているからか、天敵など存在しないとばかりに、警戒心などまるで抱いていないようだった。

 この様子なら近付いて超大型魔物を間近で観察することも無理ではない気がした。

 ボクは【隠密】で気配を消し、音を立てないように慎重に歩みを進めて大穴を降り、超大型魔物の皮膚に手が届く位置にまで接近していた。

 さすがに直接手を触れてしまうのは躊躇われたが、間近で超大型魔物の体表面を観察することが出来た。

 その体表面には、上空からでは確認することが難しかった無数のひび割れのようなものが生じていた。

 遺砂を取り込んで受肉するまでに、大量の魔素が垂れ流されたことで、少なからず影響を受けていたらしい。

 そこでやめておけばよかったのにボクは欲を出した。【奪取】で超大型魔物のひび割れて剥がれかけた身体の一部を、採取しようとしたのである。

 それがよくなかった。超大型魔物にとってちっぽけで些細な魔力の変化であったにも関わらず、あからさまな反応をされた。

 超大型魔物の体表全体が高速で微振動し、嫌な音を立て始めた。それが契機となったのだろう。まだ液状化していなかった石質の地面がどろりと溶けた。

 ボクは咄嗟に大穴を脱出すべく、魔力循環による身体能力の強化と合わせて『フィジカルブースト』で能力を強引に底上げした。

 軽い身のこなしで絶壁ような大穴を昇り切り、付近を旋回していたサク姉に向けて腕を伸ばす。その意図を察してくれたサク姉は、ボクの腕を掴み、アンズーの背に乗れるようにと引っ張り上げてくれた。

 すると足元では超大型魔物が気力を取り戻したのか、再び周辺を液状化して、横穴を開けて新たな目的地に向けて進み始めていた。

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