喧嘩下手の告白
どうしてそんなにも冷静さを装っているんだ!?お前は今おれと口げんかをしてるんだ!おれが今まで放った言葉がお前の心をどれだけかき乱したかは知らん。かすり傷ひとつつかなかったと仮定してもいいさ!それでお前は冷静なままだってのは理屈が通ってる。でもな、お前がおれに放った言葉は、間違いなくおれの心を抉ったぞ。傷つけ、憎しみをかきたてた!全ての言葉が、だ!たまたま流れ弾みたいに痛いのが一つ飛んできたんじゃない!お前は、間違いなく意図的におれを殺そうとして言葉の機関銃をぶっ放したんだ、どんな言葉が最もおれを痛めつけるか考えながらな!そんな強烈な情念のどこに冷静さがあるっていうんだ!?大人たるもの感情をあらわにしちゃいけないと思っているのか?それとも、感情をあらわにすると論理的思考ができなくなると?そりゃ、普段の本当に冷静な時よりはそうだろうよ!でも冷静さを装うことに意味はあるのか!?ブチギレたい、目の前のこいつをぶん殴ってやりたい、そんな感情を無理やり抑え込もうと無駄にエネルギーを消費する方が、よっぽど論理的思考を邪魔すると思わないか!?なあ、頼むから、おれが気にくわないならそういう顔をしてくれよ。鬼の形相でおれを攻撃しろよ。心配しなくたって、誰もお前を笑ったりしない、ガキだなんて思わない。手ェさえださなきゃ、お前は十分大人だよ。だが今のお前は気味が悪い。ソトミとナカミが一致してない。笑った顔で怒ったり、怒った顔で笑ったり。そんな小賢しい効果を狙いにいこうとするな!怒るなら鬼の面だ!嘲笑うなら眉を吊り上げろ!おれは今のお前が怖くて仕方ないんだ!!