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神器使いの叛逆者(クーデター)  作者: 竜童千二
第1章 奴隷の復讐
5/22

奴隷の復讐2

奴隷の復讐が行われている中、グレンは商店街から全力で走っていた。

ユキは自分の弱さに気づき、呪う。

そしてグレンの本当の名を知ることとなる。

奴隷の復讐編の中盤です。

 4

『助けて、誰か』

  ユキは強く願った。怖くて声も出ない。手が震えるだけだ。

  ユキは思った。強くなりたいと。たったひとりである家族を目の前で亡くされたのにも関わらず、ユキは手も足も出なかった。情けなくて仕方がない。弱い自分を呪った。しかし今、怖く、そして助けを求めていた。それだけ恐怖に放ったていた。

「この白く美しい髪ステキだねー」

『助けて! 助けて!』


 ドッガン


  真横で大きな破壊音が鳴り響く。

「なんだ!」

「うわー!」

  奴隷2人が驚く。おどおどしていた1人の奴隷は驚きのあまり気絶してしまった。それほど大きな音だった。

  ユキは音よりも死ぬという恐怖の方が強く、音があまり大きく聞こえなかった。恐怖のあまり壁が壊れる瞬間がゆっくりと見えた。

  壁が壊れると同時に、人影が家の中に入っていくのを確認した。


  グレンはひたすら走った。もうすぐでユキの家である。すると魔力を少し感じた。しかしグレンはそのような感覚は、記憶を無くしてからはじめての体験である。だからだろう。魔力を感じた。ではなく何故か皮膚がヒリヒリするという感覚だった。日焼けがした時の痛みと似ているとグレンは感じていた。ただ何故か嫌な違和感がするとも察した。

『壁を壊し突入する』

  とグレンは考えた。この速さだったら、止まるよりも、壁へ突撃した方が入りやすいし、止まりやすいと考えた。全くバカな考えである。

  グレンは右肘を前にだし、壁へぶつかる体制をとる。そして、


 ドッカン


  ユキの家へ突入するのである。


  「グ、グ……」

  黒い髪、細いが筋肉質な体、ユキは恐怖のあまり声が出ないが、壁から突入してきた人影を誰よりも早くグレンだと見極めた。

  グレンは壁から突入したが、丁度奴隷とユキの間に突入できている。

「ユキ、ごめん」

  と謝るグレン、しかしグレンは壁を壊したため、煙が舞って何も見えていない。どこにユキがいるのかも不明である。もちろん状況判断もしていない何故謝ったのか。

「壁壊した。それに買った物置いてきた」

  なぜか急に冷静に戻るグレン。今そこにいるユキと奴隷は?マークをしているが、

「何言ってるんだ? バカか、壁に頭でもぶってばかになったか?」

  煙が風で無くなる。するとグレンと短剣使いの奴隷は向き合っていた。

「そもそもバカか! 記憶ねーもんな!」

「あなたは?」

  とバカにし、いちいちうるさい奴隷に対して、グレンは冷静に答えた。

  煙がなくなったことで、状況が見えてきたグレン。短剣を持っている人、そして同じで服がボロボロで倒れている人、そして血だらけのお爺さん。短剣が血だらけであるということ。つまり目の前に立っている短剣使いは敵であるということ。

「お前が殺したのか」

「殺したら何?」

  と首を傾げて不思議そうな顔をする。

「お前人を殺していいと、でも思っているのか?」

  すると急に笑い出す。

「お前がそれをいうのか! お前が! お前が! あんなにも人を殺しておいて! お前がその発言をするか! 俺の大切な人を生活を殺し、壊しそれでも その言葉をいうのか! なー蓮さんよ! 人殺しの蓮!」

  狂ったかのように言う。いやあれは狂っていると言うのか、先ほどの行動とは違う。泣きながら、怒っている。

「何をお前は?」

「そうだよな! お前は記憶を無くしているんだもんな! 幸せかよ! こっちはなー 奴隷として生きている。それに、それに……」

  すると急に顔が一変する。泣き怒っていた顔に殺意が生まれる。

「殺してやる。殺してやる!」

  と短剣を持ちグレンへ走ってくる。短剣使いの奴隷の速さも先ほどのグレンの速さと同等といえよう。すごいいきおいで床を踏み近づいてきた。

『速い。 武器もない。勝ち目も……ない』

  しかしグレンは引くわけにはいかない。後ろには泣き震えているユキがいる。

『どうすればいい』

  いたって冷静なグレン。しかし焦りが少し出てきている。勝ち目のない状況でどうするか。武器さえあれば、とグレンが考えた時、声が聞こえた。

『契約を再び結ぶ時がきたぞ。蓮』

次はついに奴隷復讐編クライマックスですお楽しみに!

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