奴隷の復讐2
奴隷の復讐が行われている中、グレンは商店街から全力で走っていた。
ユキは自分の弱さに気づき、呪う。
そしてグレンの本当の名を知ることとなる。
奴隷の復讐編の中盤です。
4
『助けて、誰か』
ユキは強く願った。怖くて声も出ない。手が震えるだけだ。
ユキは思った。強くなりたいと。たったひとりである家族を目の前で亡くされたのにも関わらず、ユキは手も足も出なかった。情けなくて仕方がない。弱い自分を呪った。しかし今、怖く、そして助けを求めていた。それだけ恐怖に放ったていた。
「この白く美しい髪ステキだねー」
『助けて! 助けて!』
ドッガン
真横で大きな破壊音が鳴り響く。
「なんだ!」
「うわー!」
奴隷2人が驚く。おどおどしていた1人の奴隷は驚きのあまり気絶してしまった。それほど大きな音だった。
ユキは音よりも死ぬという恐怖の方が強く、音があまり大きく聞こえなかった。恐怖のあまり壁が壊れる瞬間がゆっくりと見えた。
壁が壊れると同時に、人影が家の中に入っていくのを確認した。
グレンはひたすら走った。もうすぐでユキの家である。すると魔力を少し感じた。しかしグレンはそのような感覚は、記憶を無くしてからはじめての体験である。だからだろう。魔力を感じた。ではなく何故か皮膚がヒリヒリするという感覚だった。日焼けがした時の痛みと似ているとグレンは感じていた。ただ何故か嫌な違和感がするとも察した。
『壁を壊し突入する』
とグレンは考えた。この速さだったら、止まるよりも、壁へ突撃した方が入りやすいし、止まりやすいと考えた。全くバカな考えである。
グレンは右肘を前にだし、壁へぶつかる体制をとる。そして、
ドッカン
ユキの家へ突入するのである。
「グ、グ……」
黒い髪、細いが筋肉質な体、ユキは恐怖のあまり声が出ないが、壁から突入してきた人影を誰よりも早くグレンだと見極めた。
グレンは壁から突入したが、丁度奴隷とユキの間に突入できている。
「ユキ、ごめん」
と謝るグレン、しかしグレンは壁を壊したため、煙が舞って何も見えていない。どこにユキがいるのかも不明である。もちろん状況判断もしていない何故謝ったのか。
「壁壊した。それに買った物置いてきた」
なぜか急に冷静に戻るグレン。今そこにいるユキと奴隷は?マークをしているが、
「何言ってるんだ? バカか、壁に頭でもぶってばかになったか?」
煙が風で無くなる。するとグレンと短剣使いの奴隷は向き合っていた。
「そもそもバカか! 記憶ねーもんな!」
「あなたは?」
とバカにし、いちいちうるさい奴隷に対して、グレンは冷静に答えた。
煙がなくなったことで、状況が見えてきたグレン。短剣を持っている人、そして同じで服がボロボロで倒れている人、そして血だらけのお爺さん。短剣が血だらけであるということ。つまり目の前に立っている短剣使いは敵であるということ。
「お前が殺したのか」
「殺したら何?」
と首を傾げて不思議そうな顔をする。
「お前人を殺していいと、でも思っているのか?」
すると急に笑い出す。
「お前がそれをいうのか! お前が! お前が! あんなにも人を殺しておいて! お前がその発言をするか! 俺の大切な人を生活を殺し、壊しそれでも その言葉をいうのか! なー蓮さんよ! 人殺しの蓮!」
狂ったかのように言う。いやあれは狂っていると言うのか、先ほどの行動とは違う。泣きながら、怒っている。
「何をお前は?」
「そうだよな! お前は記憶を無くしているんだもんな! 幸せかよ! こっちはなー 奴隷として生きている。それに、それに……」
すると急に顔が一変する。泣き怒っていた顔に殺意が生まれる。
「殺してやる。殺してやる!」
と短剣を持ちグレンへ走ってくる。短剣使いの奴隷の速さも先ほどのグレンの速さと同等といえよう。すごいいきおいで床を踏み近づいてきた。
『速い。 武器もない。勝ち目も……ない』
しかしグレンは引くわけにはいかない。後ろには泣き震えているユキがいる。
『どうすればいい』
いたって冷静なグレン。しかし焦りが少し出てきている。勝ち目のない状況でどうするか。武器さえあれば、とグレンが考えた時、声が聞こえた。
『契約を再び結ぶ時がきたぞ。蓮』
次はついに奴隷復讐編クライマックスですお楽しみに!