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第一話 新たな邪神はとりあえず城の中を回ります。

 「‥‥んん」


 おお、これは転生できたということかの。邪神というからどんなところに飛ばされるのかと思ったにじゃが‥‥ふかふかのベット、照明付きの机、タンス。なんだか普通の部屋じゃな。ああいや、一つだけ普通じゃないのがあるのじゃ。


 「‥‥全体的に、なんか紫っぽいのじゃ」


 あれじゃな?邪神じゃから適当にとりあえず紫っぽくしときゃいいだろってやつじゃろ?この部屋を作ったやつの考えが透けて見えるわい。


 「そういえば転生したら近くに本が落ちてるといっておったな」


 どれどれ‥‥おお、あったのじゃ。なんじゃなんじゃ、おお、あの子が言っておった『邪神のお仕事』という題名の本なのじゃ。とりあえず読んでみるのじゃ。


 「『邪神への転生は注意事項に書いてあったとおり容姿を選択できません。邪神の部屋には鏡があるはずなので、まずは自身の容姿を確認しましょう』‥‥じゃとな。ふむ、鏡か‥‥‥おお!あったのじゃあったのじゃ!どれどれ、わしのにゅーぼでぃはどんなもんじゃ‥‥‥い‥‥」


 わしは、自分の容姿を確認しようとして鏡を見たのじゃ、みて、しまったのじゃよ。だってそうじゃろう。見た目が、見た目が‥‥‥


 「こんなのただのロリっ子ではないか!!」


================================================


 「うう、爺がいきなり幼女になるとか難易度高すぎなのじゃぁ」


 「あ、あの邪神様?お気持ちはお察ししますがそろそろ立ち直っていただかないと困るのですが‥‥」


 「うぅ、あと五分じゃい‥‥‥」


 こやつは転生するときに書いてあった秘書君じゃ。名は確か、テルート・フェイル・ネストじゃったな。さっきの我の叫びを聞いていきなり部屋に入ってきたのじゃよ。ちなみに『邪神のお仕事』の本の中にこやつのプライベートはすべて書かれておった。あの本何なのじゃ。


 「一応私も忙しい身なのであまり時間がないのですよ‥‥だから邪神様、肩車でもしてあげますから仕事の説明をさせてくださいよ」


 「肩車じゃと‥‥子ども扱いっぽくていやではあるのじゃが、めんどくさいからそれでいいのじゃ」


 「いいんですか‥‥でははいどうぞ、お乗りください」


 「うむ」


 ‥‥‥おお!こやつの肩車は意外と快適じゃのう。移動がめんどくさいときにでもまたしてもらうかのう。


 「ところでテルートよ、今おぬしはどこへ向かっておるのじゃ?」


 「今向かってるのは邪神の仕事でまずいかなくてはいけない人の所ですよ」


 「行かなくてはいけない人じゃと?」


 「はい、まあ私の弟なんですけどね。我が弟であり、魔王であるコルーテですよ」


 なんじゃ、こやつの弟は魔王じゃったのか。邪神の秘書と魔王はどちらのほうが偉いのじゃろう?まあ、それよりも魔王とはまた…


 「めんどくさいのう‥‥」


 「邪神様、一応魔王の上司なのですから、しゃきっとしていただけるとありがたいのですが‥‥」


 「上司命令じゃぁ。このままいくのじゃぁ」


 「‥‥‥はぁ」


================================================


 「ん、兄さんどうしたんですか‥‥‥ってその上に乗ってるの誰です?」


 「‥‥‥‥はあ、一応邪神様ですよ。一応ね」


 「一応って何じゃテルート!!」


 まったく、わしのほうが偉いのになんてやつじゃ。それにわれの秘書なんじゃからもうちょっと優しくてもいいと思うんじゃが。


 「なんか兄さん、今回の邪神様は何というか‥‥小さいですね」


 「あ、コルーテ、それは‥‥‥」


 「ふん!!」


 「ぎゃあああ!目があああああ!!」


 誰が小さいじゃこの若造が。しかしこの魔法は便利じゃのう。『邪神のお仕事』に書いてあった魔法じゃが、いい魔法じゃ。名は確か…『みかんスプラッシュ』じゃったかのう?みかんの皮の汁を飛ばす魔法じゃな。


 「邪神様、どこでそんな魔法を‥‥」


 「くっ、魔王である私にこれほどのダメージを与えるとは‥‥今回の邪神様は格が違いますね!」


 「そうじゃろうそうじゃろう!」


 「‥‥みかんの汁飛ばしただけでしょうが」


 テルートのやつめ、まだ文句があるというのかのう?まったく、めんどくさい奴じゃ。


 「それより邪神様、次の所に行きましょう。コルーテ、みかんで目がやられているでしょうが、頑張ってくださいね」


 「はい、兄さんも」


 「ふわぁ‥‥」


 「「・・・・・・」」


 ん?なんじゃ?あくびをしただけだというのにそんなに見限ったような目で見てくるのじゃ?また『みかんスプラッシュ』くらわしてやろうかのう?


================================================


 「邪神様、ここから先はこの城のメイドたちの休憩所兼作業場です」


 「ほう、この城にはメイドがおるのか」


 メイドはええものじゃからな。わしも若いころにはよくそういう系の本を読んだもんじゃ。おっと、これはわしの姉には内緒じゃよ?ベットの下には何もないからの?


 「ああ、ただ一つだけ注意事項を」


 「ん、何かあるのかのう?」


 「はい、身の危険を感じましたら先ほどの魔法、『みかんスプラッシュ』を使ってください」


 「み、身の危険を感じるものじゃったのかメイドというのは…」


 「では、入りますよ」


 メイドっていうのはそんな危険生物じゃったかのう?もしかして異世界じゃから全員ゴリマッチョとかじゃないじゃろうよな?そ、それは勘弁なのじゃよ。


 「失礼しますよ」


 「あら、テルートさん。どうしたんですか?」


 「全員の作業を一回止めさせてください。邪神様をご紹介するので」


 「わかったわ。みんなー!一回手を止めて!邪神様が来てるわよー!」


 おお!すごいものじゃのう。こやつが一声かけた途端全員が作業をやめおったわい。


 「皆さん、こちらが新たな邪神様です。見た目はこれですが、これでも本当に邪神なようです」


 「あらかわいい」


 「あの幼さがいいわね」


 「これはさっそく衣装の作成かしら」


 「ゴスロリにしましょうかね?」


 「巫女服も捨てがたいわ」


 ‥‥‥なんかメイドたちの目が光っておるのう。それに言ってる内容が怖いのじゃが。


 「さあ、邪神様こちらに。ほらテルート、邪神様を渡しなさい。採寸するわ」


 「い、いや、さすがに嫌がってますので‥‥」


 「あら、そんなの最初だけよ?」


 「さあ、テルートと邪神様、観念しなさいね?」


 「て、テルート!どうなっておるのじゃ!」


 「こ、ここのメイドはこう言った人たちでして‥‥」


 「ふふふ、困ってる姿もかわいらしいわ」


 「み、みかんスプラッシュぅぅうぅ!!」


 「ふふふふふふ、そんな攻撃じゃ私たちはひるまないわよ?邪、神、様?」


 「ぎゃああああああああああああああああ!」


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