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ブービーの女

作者: あや

急に思いつき、ちびちびと書いていました。

他の連載の話をなんとかしないといけないのにーT^T

でも、せっかくなので、投稿させていただきました。

飲み会とか行くじゃない?

自慢にならないけど、私はよく誘われる。それは、私が誘う側からすると、ちょうどいい存在になるからだ。

見た目ぽっちゃり。性格明るし。その場を盛り上げるの得意。世話焼きおばさんになれる。


女性からしたら、ライバルにならないし、幹事からしたら、変な人は連れて行けないでしょ?相手の幹事に悪いし。だから私はちょうどいいのだ。そんな訳で、アラサーも見えて来た今日この頃の私、なのだが、彼氏が欲しい後輩や、人生のパートナーを見つけたい先輩、まぁ同期も。様々な年代の飲み会に誘われる。

そういや、昔、飲み会であった男に、

「あかねちゃんってさー、ブービーの女だね。」

「は?」

「いや、ぽっちゃりだけど、ブスじゃないし、性格は、女らしくないけど、明るくて話しやすいし。ギリギリ女としてみれるラインの1番下ではなくて、その前くらいって感じ。」

「はぁっ?!」

っと言われたことがある。もちろん、その場は凍りつき、女性陣から一斉に避難をあびていたが……。

別にふくよかな自分を卑下したことなどないし、痩せようと思うことはあったけど、何より食べることが大好きな自分を好きだし。ちょっと傷ついたけど、心をえぐるほどのショックではなかった。でも、なんとなく、それ以来、私ってブービーなんだなぁって、恋愛に対して更に消極的になったような気がする。


って話がはずれました。で、ですね、今日は、同期の子に誘われた飲み会です。相手は大手会社の方だとか。同期の仲良し3人なので、私はそんなに気負ってはいないけど、後の2人は別の意味で気合が違った。

「あかね、今日は頑張るよ!!」

「はぁ…。」

「相手は将来有望!幹事の野中君にイケメン連れてくるように重々言ってあるし!!」

「今日こそ、彼氏、しいては旦那をゲットよー!!」

握りこぶしを作りそうな勢いの友人達を見ながら、私は今日も世話焼きおばさんでいようと思った。いつも仲良くしてくれる2人が素敵な人に会えればいいなぁと、思いながら。


それは、一目で気付いてしまった。

「かずき君?!」

合コンで、女性陣がちょっと遅れて行くのは鉄板として、店員さんに連れていかれたおしゃれなイタリアンの個室には3人の男性が待っていて。こんばんわーって挨拶して座ろうとして、気が付いた。あれっ?

「かずき君?!」

「え?」

「私だよ、深谷あかねだよ!小、中一緒だった」

「はぁ?」

怪訝そうに私を見た彼は、私の顔をまじまじと見て。すぐに目を大きくした。

「あー!深谷さん?」

「ねー!成人式以来?ってか、かずき君、成人式いた?」

「いたよ…。」

「だよねー!」

「深谷さんって…」

そう言って彼、水野一樹君は私の上から下までみて、

「びっくりするほど変わってないな…。」

と言った。それは、見た目?性格?っと聞こうと思ったところで、周りから「なんだ、知り合いなのかー、」と声がかかり、じゃあ座りましょう、何飲みますか、と始まったので聞けなかったが、まぁどっちもってことなんだろうな。良い意味ってことではないだろう、うん。一樹君は、うん、相変わらず良い男だね。


実は、何を隠そう、一樹君は、中学最後の年にできた、好きな人である。当時から、背が高く、スポーツも、勉強もできた。男友達が多く、女子とは必要最小限しか話さない、そんな硬派なところが裏で女性陣に人気があった。同じクラス、隣同士になるまで、私の中では、モテる人、と言う認識しかなかったのだが、物理的に近くになると、話す機会が増える。私は当時からこんな性格だったため、話しかけることが多かったと思う。

次第に向こうから話しかけてくれるようになると、周りから、「あかねちゃんとかずき君って仲良いねー。」なんて言われて、羨ましがられて。確かに、他の女子と比べて、私は一樹君とよくおしゃべりをしていたから。もともと魅力的なんだから、好きになるのには時間はかからなかった。だからといって、告白とか そんなことは考えなかったし、この仲良しな関係で満足していた。だから恋は卒業と同時に終わったのである。


「飲みすぎたー」

合コンはつつがなくすすみ、私はいつものように盛り上げ、世話を焼き、楽しい場になるように頑張った。しかし、かつての好きな人がいるからだろうか、いつもより、声が大きかったし、うわずっていた。食べるよりお酒を飲むことが多かった。

「大丈夫?フラフラよ?」

「うぇーって感じはあるけど大丈夫。みんなは次行くんでしょ?はい、いってきなさーぁーい!」

お店の外で、みんなは二次会の話をしていたが、とても私は行けそうにない。これ以上一樹君に醜態を晒したくないのもあった。そりゃ、びっくりするほど変わってない私だが、ちょっとは当時より女の部分はあるのだ。飲みすぎてフラフラでゲロ吐く私を見られたくない。

んじゃっと手を振って、とりあえず酔い覚ましに歩こうとみんなとは違う方向に行く。フラフラと歩きながら10分ほど経ったところで、はたと立ち止まった。

「一樹君?なんでいるの?」

「いや、危ないでしょ、そんなに酔ってるのに」

私の後ろをイケメンが歩いていた。

「だぁいじょうぶよー、ちょっと歩いたらタクシー呼ぶからー、ほら、二次会に行った行った!」

知り合いだったばっかりに、じゃあ、水野送って行ってやれよ、って言われてしまったんだな、すまん。

「いや、いいよ。行く気なかったし。こんな時間に酔った女性の独り歩きはだめでしょ?。」

おっ、女性扱いしてくれてる。

「そんなもの好きな人いないよーだ」

と、くるっと後ろを向いて言おうとしたらふらつく。

「おぅっとっ」

「おいっ」

右手をつかまれる。

「だから酔っ払いはめんどくさい。」

って言うわりに、そのまま右手を掴んだまま歩いてくれる。

「ごめんね、酔っ払いの面倒みさせられて。」

「べつに。頼まれた訳じゃない。」

でも、昔の隣の席の女をほっとかないでいてくれた。

「でも、ありがとう。」

「べつに。」

一樹君だって、びっくりするほど変わってないよ。優しいところ。

「今日は、人が足りないとかで、無理やり来させられたんだけど。深谷さんに会えたし、来てよかったよ。」

「びっくりするほど変わってないけどね。」

「あぁ、変わらないなぁ、雰囲気。その場を明るくさせようと頑張ってる所とかも。」

「え?」

「深谷さんだなぁと思った。」

顔は前を向いていたけれど、笑ったとわかった。


掴まれた手首があつい。頭は揺れてるし、気持ちもふわふわした。あの頃、隣の席で過ごした、あんなに近くにいた日々でさえ、手を繋いだことはなかったのに。


なんだか言いたくなった。言ってしまおうと思った。


「ねーえ。」

「なに?」

「好きだったの。」

「はぁ?」

「あの時、好きだったの。」

「はぁ?」

「一樹君が、好きだった。」


読んでいただいてありがとうございます。

ここで終わりかい!とお怒りの言葉もありそう。

なんとなく、この先の展開が頭にあるので、あと1話、書けたらと思います。

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