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勘違い勇者だった俺が、モンスターとなって復活して立身出世  作者: 夜の狼
第二章 最下層からの脱却
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後始末

 遅くなってすいません。何とか書けましたので投稿します。

 俺はまず、このアジトに食糧がどれくらいあるのかを見た。何せ、15人の賊が活動していた拠点だ、それなりの備蓄があるのは疑い様の無いところだ。

 しかし、俺が思っていた程には食糧も少なかったし、あまり大した物がある訳でも無かった。酒の入ったたるもあったが、俺は基本的に酒は飲まない。どうも、ここに居た賊というのはあまり計画性が無い様で、その日暮らしに近い事をやっていたのだろうと思う。もっとも、計画性があれば、こんなチンケな賊などやってはいないだろうけど。

 俺はどうするか考えたが、頂ける物だけ頂く事にしようと思った。まず、干し肉やパンの入った箱と、酒の入った樽を違う部屋に分けた。っと言っても、食べ物の入った箱だけを抱えて移動させただけだが。バグベアの力でも、酒樽は重くて移動が面倒だったからだ。それよりも、軽い物を移動させた方が楽だし時間もかからない。

 次に、使えそうな雑貨と、どうでもいい物をり分けた。なお、どうでもいい物には金も入れておいた。モンスターの俺には用が無いし、使うアテも無い。

 そして、俺は賊が使っていた武器も調べた。なるべく消耗しょうもうの少ない物を選ぶと、今まで使っていた物と交換した。残りはそのままにするが、弓の予備を1つと矢だけは持てるだけ持って行く事にした。

 とりあえず、今持ち帰る物だけをまとめると、洞窟の外にある馬小屋へ向かった。俺は、中に居る馬に飼葉かいばと水を与えると、飼葉を食べている馬の尻尾を、それぞれから何本かづつ失敬した。これは後で使い道がある。

 そして、なるべく数日は馬が過ごしやすくなる様に環境を整えると、俺はまず洞窟にある食糧を食べてから、背負子しょいこに積めるだけの荷物を積み、馬を一頭選んでそいつにも荷物を積んだ。さすがに俺自身は馬に乗れないので、荷物の運搬だけだ。そして、一旦アジトを離れた。目指すは、少女が居るあの村だ。どうやら、この付近には人間が暮らす場所があそこしか無いらしい。

 馬を引きながら3日程かけて歩いて村へ着くと、俺は手紙を書いてそれを矢に結び、遠くから適当な家の前へ撃ち込んだ。手紙には、賊のアジトを見つけて全てやっつけたので、その事後処理に来る様にと書いた。食料さえ残してくれれば、後は好きにして構わない事と、馬も要らない事をしたためておいた。

 そして、2日程かけて住処すみかへ戻り、荷物を置いたらすぐにまた賊のアジトへと向かった。あの村の人間が約束を守ってくれたなら、しばらくは食糧を運ぶのにアジトと住処を往復する事になるからだ。全部運び終わったら、この馬も人間にくれてやるつもりだ。断っておくが、殺して食べたりはしない。

 幸い、馬は俺に怯える事も無く、従順に俺の言う事を聞いてくれた。動物と言うのは、本能で自分に危害を加える存在かどうかが解るのだろう。

 馬を使う一番の理由は、俺自身の食欲が原因だ。自分で運ぶだけでは、運ぶうちに自分でも食べてしまうので、結局大した量を運ぶ事が出来無い。馬を使えば、より多くの食糧を運ぶ事が出来る。何より、馬には餌が必要無い。ここは山の中だから、そこらの草で十分間に合うからだ。

 2度目にアジトへ行ったら、馬車のわだちや馬の蹄鉄の跡と人間の足跡があった。俺が往復している間に、人間は荷物を運ぶのを終えたらしい。

 中を確認すると、どうやら人間は約束を守った様で、酒樽やその他の物は大体洗いざらい持ち去られていたが、食糧だけは手付かずのまま残されていた。外の馬小屋も同じ様なもので、必要が無い飼葉かいばわらや水おけ、それに農機具などは一部そのままで、中に居た馬は一頭も居なかった。

 まあ正直言うと、食糧だけあれば他はどうでもいい。確かに人間の道具はあればあるだけ便利だが、モンスターの俺は必要な物を言い出すと際限が無い。

 それに、あまり人間臭い生活をする訳には行かない。モンスターのくせに、あまり便利な生活に慣れてしまうと後で困る事を、俺はきちんと考えている。

 何度か往復して食糧を運ぶと、やがてそれも尽きて来た。それに、いくら保存が効くと言っても、そんなに長期間の保存は出来無い物もある。痛んで食べられなくするくらいなら、いっそ多少無理をしてでも食べてしまうべきだろう。

 俺は最後の荷物として、残った食料の全てと残されていた農機具を運ぶと、そのまま村へ行って馬を放した。いくら便利だと言っても、このまま住処で飼う訳には行かない。


 住処へ戻ると、俺は必要な道具の作成にかかった。まず、色々な物を持ち歩くのに、それぞれに合った入れ物が必要だ。そのほとんどは草で編む事になるが、バグベアの俺はあまり細かい作業が得意では無い。この無駄にでかい手と太い指では、どうしても不器用になる。思う様に進まない手作業にはイライラさせられるが、モンスターというのは、そもそもがそんなに便利な暮らしをしている訳では無い。俺が求め過ぎる方がおかしいと言えばおかしいから仕方が無い。

 食べ物の煮炊きには、賊から奪った鍋があるのでこれ1つあれば俺には事足りるが、食器が無いのは不便だ。しかし、俺はいちいちあれもこれもと考えて、アジトから物を運んだ訳ではない。必要な物は結局自分で何とかするしかないのだ。

 最後に、馬の尻尾を何本かり合わせて糸にした。それと、よくしなる枝を探してその先端に今作った糸を結んだ。ただし、付け替えが出来る様に、特殊な結び方をしてある。

 次に、火を起こすと1本の矢から矢じりを外してそれを熱し、道具を使って曲げた指の様な形に加工した。最後にそれを糸の先へと結ぶと、釣り道具の完成である。

 俺は、片手で釣竿を持つと反対側の手で針を持って引っ張り、釣竿のしなり具合と強度を調べた。竿の長さはせいぜい1mくらいだが、大した獲物を狙う訳でも無いし、釣り場の規模も知れたものなので、これで十分なのだ。

 そして、持ち帰った農機具の中からシャベルを出すとそこらの地面を掘り起こして、釣り餌となるミミズを探した。

 俺は、それを作った容器に入れると、川まで魚釣りに出かけた。川岸まで行くと、俺はあまり水辺に近寄らない様にして、少し遠くから餌を付けた仕掛けーーっと言っても糸と針しかないがーーを垂らした。

 すると、入れてすぐにもう魚が食い付いて来た。俺は力加減に注意しながら、釣竿を立てて魚を釣り上げた。

 俺は、糸が切れない様にうまく竿をしならせながら、その竿を折る事も無く無事に魚を釣り上げた。大きさは20cmくらいだが、これくらいが手頃だ。これより大きいと仕掛けが痛むかも知れない。

 俺は、そうやって何匹かの魚を釣ると、釣り上げた魚を別の入れ物に入れて、上から水を振った。これで持ち帰るまでは生きているだろう。釣った魚を保存する方法が無いので、食べる分だけ毎日釣ればそれでいい。それに、あまり獲り過ぎるのも良く無い。

 俺は、毎日少しづつ釣り場をずらした。同じ所ばかりで釣りをすれば、すぐに獲物は居なくなってしまうだろう。それと同時に、シャベルで滝を少し掘り下げると石を組んで生簀いけすの様なものをこしらえ、釣って来た魚をそこに放した。何度も釣りに行くのが面倒なので、1日分をここに置いておくのと、天気が悪くて釣りに行けない時の為だ。

 そうやって、毎日安定した食料を得る事が出来た。あまり日持ちがしないパンはもう食べてしまったが、干し肉の方は保存期間が長い。食べられる期間中に、なるべく長く持たせる工夫だ。


 それからしばらくして、確認の為に俺はもう1度だけ賊が使っていたアジトへ向かった。また変な奴らが住み着いていないか調べる為だ。すると、明らかに人間のものでも動物のものでもない、それ以外の臭いがするのを感じた。しかし、これは覚えのある臭いだった。以前にどこかで嗅いだ事がある。

(……これは、オークか!?)

 間違い無い。この辺りにもオークが生息していたのだ。俺は注意しながらアジトへと進んだ。すると、馬車のわだちと馬の蹄鉄の跡、それと人間の靴跡の他に、明らかにそれらとは違う足跡を発見した。俺は洞窟の前まで来ると、中へ向かって叫んだ。

「誰か居るのか?」

 もちろん、それは人間の言葉では無くてモンスターの言葉だ。元々モンスターになった俺は、モンスターの言葉を話す事が出来るが、人間の記憶があるので人間の言葉も話す事が出来る(ただし、それは人間の言葉が発音出来る場合に限るが)。例えて言うなら、母国語の他に他の国の言葉も話せるのと同じ理由だ。 

 すると、俺が発したモンスターの言葉に反応してか、中から数匹のオークが現れた。

「お前、誰だ?」

 その内の1匹がそう聞いて来たので、俺は前にここに居た賊を全てやっつけた事を話した。それを聞いたオークが、

「そうか、お前がやったのか」

 と言ったので、俺は、

「どういう事だ?」

 と聞くと、オーク達は話し始めた。

「ちょっと前から、人間達が山の奥まで来る様になった。もっと前には、人間なんて滅多に見る事は無かった。それが、少し前から山の中を荒らす様になった。動物は段々と居なくなって、取れる場所にある物は、木の実やきのこなんかも持って行く様になった。俺達は食べる物が無くなって来たので、とうとう我慢出来なくなって、人間達をやっつけに来た。だけど、来てみたら人間は誰も居ないし、食べられそうな物も無く、使えそうな物も無い」

 オーク達はそう言って、少しがっかりしていた。

「たぶんだが、ここにあった物は、人間が全部持っていってしまったと思うぞ」

 俺がそう言うと、

「そうか、それは困った。俺達はもう食べる物が無い」

 オークがそう言うので、

「これまではどうしてたんだ?」

 俺がそう聞くと、

「平気だった。何も困る事は無かった。でも、人間が来る様になって、山の中から色々無くなった。木も切られた!動物も居なくなった!食べ物も無くなった!」

 1匹がそう言うと、別の奴も続けた。

「人間が全部持って行った。悪いのは人間だ!」

 オークには、賊と木こりの区別が付かないので、この誤解もある意味ではやむを得ないが、人間が行き過ぎた事をやっているのは理解出来る。

「俺達はもう、生きて行けない!だから、思い切って人間をやっつける事にした!」

 また別の奴がそう言った。

「なあ、お前。人間をやっつけたのなら、俺達と一緒に、また人間をやっつけよう!」

「お前が一緒だと、俺達もうれしい。きっと俺達勝てる」

 オーク達は口々にそう言った。しかし、この辺で人間が居る場所と言うと、あの村しかない。念の為に俺は聞いてみた。

「なあ、お前達が言う人間って、どこに居るんだ?」

「それは知らない。だけど、来る場所と方向なら解る」

 オーク達が言うには、人間達は今は同じ場所で木を切っているらしい。切った木を運んではまた来るのだと言う。

「あいつらが木を切った場所には、何も残らない。木だけじゃない、人間は何でも持って行く」

 どうやら、人間は木を切ったついでに、色々な物を根こそぎって行ってしまうらしい。

 オーク達が口々に言う話を聞いて、俺は決断した。

 最近、投稿ペースが落ちているので、何とかしないといけないと思っているのですが……。少数ではありますが、ご支持を頂いている皆さんには申し訳無く思っています。相変わらず女っ気の無いストーリーですいません。一生懸命面白くしようと頑張っていますので、そこはご勘弁を。

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