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本日のスイーツ  作者: トムトム
君想いマカロン
6/10

あなたに会いたくて 4

今回は鏡野悠宇さんの作品「拝啓 愛しの部長様」の宮内愛美さんと海藤部長を思い切ってお借りしました(セリフ上長野部長も出てますが、本人は出てません)

もちろん、お二人をお借りすることは了承済みです。対象作品はムーンライトノベルになりますが、読めない良い子の皆さんは初恋ショコラ企画☆参加作品集内「初恋ショコラプレプレゼン中」をお読みください。

あの後の私はすぐに徹先輩にメールを送った。生徒会で忙しくって連絡を取っていなかったこと。夏休みはずっとカリフォルニアに語学研修に行くこと。お土産を買ってくるから楽しみにしていた欲しいという事。

すぐに徹先輩からメールが来て、一人で抱え込まない様にってエールとも取れる返信ない様に嬉しくなる。やっぱりこの人は私の事を見ていてくれていたんだと思って嬉しくなる。

夏休みは一ヶ月ほどアメリカのカレッジの語学研修に参加していた。中学生での参加は私一人だけだったけれども、高校生では何人かの日本人も参加していた。

毎日のディスカッションは話が高度で最初はついていくのがやっとだったけど、十日もすると慣れてきて皆の会話に参加できるようになった。

ルームメイトはドイツ人の人で、仲良くなってから私はドイツ語を、彼女には日本語を教え合う様になった。

『どうしてミツキはドイツ語を覚えたいの?』

『好きな人がドイツ語会話なら堪能だから。私も覚えたいの』

『そっか、どこの国にいても恋する女の子は同じだね』

彼女には来日してすぐに日常生活にも困っていた私を助けてくれた大切な人って説明をした。

『ミツキの気持ちが彼に通じるといいね』

『そうだけど、彼はちょっと前に失恋したばかりなの』

『大丈夫。時間は動いているものよ。彼が立ち止まっているのなら、ミツキが彼を動かしてあげればいい』

『そうだね。ありがとう』

こんな感じで私の夏休みは終わった。


夏休み後の実力テストと、学園統一テストが終わってから私達は一週間ほどの職場体験を行うことになっている。

私は生徒会のメンバーと一緒にMCNホールディング本社で体験授業をする予定だ。

ここの会社のコンビニスイーツがとにかく美味しくって、私達は決まって凄く喜んだのは内緒だ。語学研修に行く時は、君想いマカロンを大量に買い込んで持ち込んだのは私。

CMを国際的な動画サイトで検索して、ルームメイト達とテンション高くなったのもいい思い出。胸キュンシチュは世界共通なのかな?皆の一番のお気に入りは初恋ショコラの誰も選べません編だった。彼女達は現地にもあるコンビニ店で発売できないかと頭を合わせて何やら企んでいたような気がしたけど……私のせいじゃないよね?

次に人気だったのは、君想いマカロンのCM。片想いの彼氏目線ってのがかわいい~って好評だった。マカロンの楓太君とショコラのビビッドの楓太君が同じ人って言ったら皆がもっと驚いていたっけ。ショコラの楓太君はマカロンよりはちょっとお兄さんの設定。

コレを切っ掛けに、英語の語学研修だったはずが、夜は日本語の勉強(主に恋愛に対してね)になってしまった。


研修の初日は参加している4人と一緒にコンビニのお仕事というビデオを見たり、社内案内をしてくれた。普段は職場体験を受け入れていないから、今時の中学生に会うなんて思わなかったわなんて、担当のお姉さんは笑いながら話してくれた。

翌日からは私達は個人の能力を元に別々に別れて研修を受けることになった。

私は語学が出来るので、まずは秘書課で翌日にくる海外のお客様の通訳としてお手伝いをすることになった。他の子は、経理部と総務部と広報部……生徒会でもヒントになりそうな部署に配属になった。で、今の時間は午後3時。私達を担当の部署に連れて行ってくれる事になった。

一番最初は、最初会議室の隣にある総務部に、次はワンフロア-上の経理部に。

広報部に移動するときに、私達の前を、大きなお腹なのに、荷物を抱えて歩く社員さんがいた。

「よろしければ、持ちますよ」

そう言って私は彼女が持っている荷物を半分持った。

「それでは、僕は残り半分を。大丈夫ですか?」

徹先輩に仕込まれた優しさで会長が残りの荷物を運んでくれる。

「宮内さん、そんなことしていると、海道部長と長野部長に怒られますよ」

「そんなことないわよ。私だって大人しくしていると疲れちゃうもの」

「いろいろ周囲が冷や冷やするんです。程々にして下さいね」

「はあい。あっ、お迎えが来た見たい」

私達の進む方向の先から、腕を組んでちょっと怒っている男性が立っている。

「愛美!!一人で勝手なことするなって言っただろう」

「部長。空いている人がするのは業務として当然です」

「それは普通の人の話でな。お前のここには俺との大事な……」

あっ、この男性は彼女の旦那さんなんだ……状況が分かってしまって恥ずかしくなってしまう。

「はいはい。こんなところでイチャつくのは止めましょう。中学生にとってはその存在自体が目の毒ですよ。ったく、このバカップルは……」

お姉さんは体を差し入れて、私達に見えない様にしてくれたけれども……ラブラブなんですね。ダダ漏れなんですか?夜のドラマとかで見るオフィスラブってリアルにあるんですか?こんなこと聞いたら失礼だよね。

「あっ、荷物……」

「いいですよ。こちらで長野部長に渡せるようにしますからどうぞごゆっくり」

私達は荷物を持ったまま二人を送り出した。

「あっ、あの……」

「ああいう人種もいますが、皆がそうという訳ではありません」

「ってことは、不倫の挙句の修羅場なんて……都市伝説ですよね」

会長、こないだ皆で見たネットの話題を出さなくてもいいよ。

「うーん、今はないよ。今はね。会社にはいろんな人種がいるのよ。うふふ……」

曖昧に濁されたのが却って怖くなってそれ以上は聞けなかった。


無事に秘書課に着いた私は、今度は秘書のお仕事のレクチャーを受ける。

本来は事細かなフォローをするのがお仕事だけども、今の私にはそんな技術はないので、どこでも通用するようにお茶の淹れ方を座席の順番とかを教えて貰った。

あの後も徹先輩のお婆ちゃんの茶道教室に通うのは続けている。その時に美味しい煎茶の淹れ方も教えて貰っている。まずは淹れてみて?と言われたので教わった手順で淹れてみた。

「あらっ、上手よ。日本での生活は長いの?」

「中学からです。学校の先輩の家が茶道教室なので通わせて貰っています」

「だったら、ある程度のマナーは分かっているってことね。私達楽ちんね」

「そんなことはありません。実戦経験はありません」

「そうね。安心して。分からなかったら聞いて下さっていいですよ」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

そこから私の一週間の研修が始まった。


「これで皆さんの職場体験は終了です。感想を書いて終わったら終了です」

私達は貰ったプリントに目を配ってから記入し始めた。

私がお手伝いしたことは本当に業務の妨げにならなかったのか?

もっと海外店舗でも日本で展開しているシリーズを発売できないのだろうか?

私が語学研修であったことを簡単に書いて提出した。

お土産に自社製品をたくさん貰った。私は君想いマカロンを貰った。

生徒会長はサンプルのお弁当を他のメンバーもプリンとケーキを貰っていた。

学校の最寄り駅に着いてから私は徹先輩にメールを送った。

『徹先輩、今は忙しくはないですか?』

『自宅にいるから来れるのならおいで』

簡潔なメールに私は今から行きますと返信してから、走り出した。

先輩の家までは駅から10分。最短のルートは正門から入って幼稚園の門を抜けるルートだ。

本気で走ったから、髪はばさばさになっているけれども……その位彼に会いたかった。

休みを除いてはこんなに長時間彼に会わないことは一度もなかったから。


彼の家の門の前で大きく深呼吸して、チャイムを鳴らす。

「ミッキー。今日は職場体験じゃなかったのか?」

「なんか、私達プログラムの消化が早くて午後2時には終わったんです。おやつ食べてからお土産貰って帰ってきたんです。皆より楽ちんだったみたいです」

「まあ、そんな事もあるさ。とりあえず上がりなよ」

そう言われて、私は彼の家に上がり込んだ。ここに来るのも夏休み前以来だ。

「まずは座ったら?」

リビングに通されて私はソファーに腰をかけた。

「あのね、徹先輩にお土産があるんだ」

私はお土産君想いマカロンを手渡す。今回のお土産はレア物のハートマカロンだ。

私達が頑張ったご褒美にハートマカロンを用意してくれたのだ。

ケーキの方も、期間限定品の君想いショコラだって教えてくれた。

「いいのか?ミッキー。俺が貰っても」

夏休み前にすうちゃん先輩と話した事を思い出す。あれから自分なりに努力をしたつもりだ。あの時、すうちゃん先輩が言っていた様に私の事を相変わらずミッキーと呼んでくれる。語学研修の時も、もっとミツキは勇気を出してって何度も言われた。

皆の顔が思い出せて、皆に背中を押して貰えたような気がした。

徹君を振りまわしていいんだよって、薫先生も言っていた。その言葉を信じよう。


「夏休みに、寂しくなってすぐに思い出したのは、徹先輩が私を呼ぶ声だった」

「うん」

「次に思い出したのは、私の頭を撫でてくれる徹先輩の大きな手だった」

「うん」

「その後にコレを食べたら、凄く涙が止まらなくなったの」

「そうか」

私が徹先輩の前にマカロンのケースを渡す。パッと見ただけだと分からないのだけど、実はバーコードを見るとレアだと分かるようになっていると教えてくれた。

でもこの事は守秘義務があるので誰にも言えないのだ。ちょっとがっかり。

「徹先輩にすごく会いたかった。そのたびにこれを食べてた」

私はケースからマカロンと取り出す。中に入っていたのはカシスとチョコレートだった。

「これって……ミッキー」

「うん、徹先輩に会って渡したかったの」

どんなに鈍い徹先輩だって分かってくれると信じていた。


「ミッキー、俺自意識過剰じゃないけど……こんなことされたら嫌な気はしないよ」

「いいよ。それで。すうちゃん先輩の事は聞いているから」

「お前……それでも……なのか?ヘタレなのに」

「ヘタレじゃないよ。だったら、お願い。私だけ見て。この瞳は私だけを映していればいいの」

「ミッキー」

「だから、私と一緒にいることから始めよう。返事はすぐじゃなくていいから」

「私と一緒にって……もうすぐ実行委員会始まるじゃないか」

「そうだよ。実行委員会の打ち上げが終わってからでいいよ。ちゃんと返事してくれるの」

「分かったよ。お前までが俺の傍から離れていくのかと思った時が一番辛かった」

「アレは……ごめんなさい」

「まあいいよ。ミッキーって呼んでいいのは、俺だけで……いいよな?」

「もちろん、任せて」

そう言って私はカシスのマカロンを徹君の口のに押し当ててから自分の唇も当てる。

「ちょっ、おまっ」

「今は練習。ほら食べて。間接キスだねぇ」

私がした事に顔を真っ赤にして戸惑っている彼を見ているのも楽しい。

その目に映るのは私だけ。私だけしか許さないんだから。



あのまま尻に敷かれるがいいと思うよ……徹。

その後は皆さんがお好きなようにご想像下さい。

なんとか徹を救済できました。

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