表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

第17話


 面会は小野寺の初恋の話が終わったところで時間が来てしまった。


「……」


 小野寺がどうしてこの話を港にしたのか。そして、どうして港に聞いて欲しかったのか。


 その理由は誰にも分からない。分かるのは話した本人。港はせいぜい「こうだったのかな?」という憶測くらいしかたてられない。


 でも、それでよかったのかも知れない。少なからず小野寺は港と話して前を向けていた様に感じる。


「誰かに話を聞いて欲しかったのかな」


 多分、それが理由というのは無きにしも非ず……と言ったところだろう。


 彼に「友達」と呼べる人間は意外に少ない。


 学生時代の彼を知る人は「え、そんな事ないよね?」と言うかも知れないが、それはあくまで表面的に彼とつるんでいた人たちがそれなりいたからそう見えていただけに過ぎない。


 しかし、彼からしてみればそういった人たちはあくまで「女子たちに近づくために自分を利用していた」人たちに過ぎず、小野寺にとって「友達」ではなかったのだ。


 まぁ、仮に今同窓会を行ったらその時つるんでいた人たちは今の彼の話を聞いても軽く「え、俺たち友達じゃなかったのかよ」と笑い流すかも知れないが。


 ただ、彼もそれを表面上は笑いながらも決して「友達」を肯定はしないだろう。


 そうなると……彼の言う「友達」に該当出来る人間は果たして何人いたのだろうか。


 そして、その中に自分が入っていた事に港は謎の優越感を覚えたが、人はそんな彼の姿を見て「友達が少なくて可哀そう」とでも言うかも知れない。


 しかし、考えてみると……利害のみでしか繋がっていない人たちを果たして「友達」と呼んでいいのだろうかとも思ってしまう。


 まぁ、ここら辺は人それぞれ「考えすぎ!」と言う人もいるだろうし、そもそも「友達」が全てであるかどうかで言ったら多分違う気もするところではあるが。


 どちらにしても、彼がほんのちょっとでも前を向く手伝いが出来たのであれば港はそれで満足だった。


「あ、ひょっとしてあれは事件に関わる事だったのかも」


 港は小野寺とした会話を思い返してみると、あの場面で「初恋の人」の話を始めた事がやはりきになった。


 もちろん話の流れ……というのもあったとは思う。それdめお何か理由があってその話を始めたのは明白だ。


 ひょっとしたら彼はそれを港の前で話す事でその人について自分の中で整理したのかったのかも知れない。


 ただ、それが「港に関係あるか」と言われると直接的な関係はない。


 港の立ち位置は「友達」ではあってもそれはあくまで高校に入ってからの話だ。彼の言う「初恋の人」は中学時代の話であってそもそも二人はまだ出会ってすらいない。


「……そっか」


 それを踏まえて考えると……あの面会時間ギリギリにあの話を始めたのも何となく理解出来る。ちょうど、自分の初恋が話し終わるであろうあのタイミングで。


 そうなると……何となく事件の真相が芋づる式で見えてくる。いや、見えてきてしまう。


「……」


 しかし、港はそこで首を左右に振った。彼としてはきっと事件の真相に港が近づこうと何も問題はない。なぜなら彼女はただの学生時代の友人で、事件を追う人間ではないからだ。


 そして、彼女がそれを他の人に言いふらす様な人間でもない事を小野寺は知っていた。


 そもそも彼は元から犯人ではなく巻き込まれてしまった哀れな人間だ。


 警察に事件の流れから「ひょっとして……」と疑われてしまったが為にあの状況に置かれているだけに過ぎない。


 ただ……港は何となく「自分の中で立てた仮説が本当だったとしたら……」と思いつつチラッと彼がいる警察署の方向を見た。


「……」


 今、彼女は仕事先に向かっている途中なのでここから彼のいる警察署は見えない。しかし、小野寺の今の心情を思いつつ「はぁ」と小さくため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ