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第11話


 そこからその女性警察官に「こちらへ」と受付の奥に専用窓口に案内されるがまま付いて行き「こちらでお待ちください」と面会の順番を待っている人の後ろについた。


 ふと周りに目を移すと、窓口で何か渡している人も目に付く。大方ここにいる人に対しての「差し入れ」なのだろうか。


 確か電話でも「衣類や食品の差し入れは事前に言ってもらえれば対応する」と言っていた。


 ただ、港の場合は差し入れが目的ではないので持って来てすらいない。


 しかし、そこで港ははたと考えた「何か聞いて持ってくるべきだったのだろうか。世間ではバレンタインデーになるわけだし」と。


 でも、どうやら差し入れをしている人はそう多くない。


 それに小野寺だけに限らずここで留置されている人と面会を希望している人がいるという事をここで初めて実感しつつ自分の順番が来るのを待った。


 そこからさほど時間を置かずに港の順番が来たのだが、どうやら荷物の持ち込みには制限があるらしく貴重品などは鍵付きのロッカーに入れる様説明を受けた。


「は、はい」

「それではこちらへ」


 この後仕事に向かう予定だったのでカバンをそのままロッカーへと入れて面会室へと入り小野寺を待っている……というわけだ。


「……」


 面会時間は約十五分から二十分と言う意外に短い時間。それもガラス越しに目の前に置かれている受話器を使って話すといった形だ。


 こんな受話器を使って話すのはそれこそ学生以来かも知れない。なんて謎の懐かしさを感じていると……突然ガラス越しにある扉が開くような音がした。


「!」


 あまりにも突然だったので思わず身構えてしまったが、そもそも面会をしに来ているのだから扉が開くのは当然だ。それはそれとして意外に音が響いたので港はそれに驚いてしまった。


「――入れ」


 扉の向こう側はやけに暗くて港からはよく見えない。しかし、警察官に促されてゆっくりと足をする様に現れたのは……紛れもない小野寺だった。


◆   ◆   ◆   ◆   ◆


「……」


 自分の顔を覆う様に長い髪は学生時代から相変わらず変わらない。


 体格は……元々華奢な方だったにも関わらずさらに痩せてこけた様にも思う。ひょっとしたらあまり食べていないのかも知れない。元々学生時代もあまり「食べるタイプ」でない事は知っている。


 それに加えてこの特殊な環境も彼に何かしらの影響を与えているのか。それとも自主的に食べていないのか。その辺りについても何も言わないのでもはや両者お手上げ状態だった。


 ゆっくりと椅子に座る小野寺だったが、その様子はとても二十代には見えない。そんな小野寺に港は呆然としてしまった。


「――久しぶり。港」


 しかし、小野寺に声をかけられて港はすぐハッとして我に返り「そうだ、今日自分がここにいるのは今目の前にいる彼が私を呼んだからだ」と港は改めて小野寺と学生以来の対面を果たした。

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