2俺の意思は、どこいった
「じゃあ、バイバイな、周東」
「逃げんじゃないわよ、ちょっと待ちなさいっての。」
俺は周東に腕を掴まれてしまった。
「とりあえず柳田くんに拒否権はなし。柳田くんは治すべきところ治すべきよ。」
「直すって‥‥何をだよ」
俺は周東の頭を見て、ため息をついた。
「決まってるでしょ。とりあえずそのボサボサの髪の毛を直すべきね。」
「あなた素材は悪くないんだから勿体無いわよ」
俺の髪の毛は昔から長くなるまで切らない主義であり、また櫛も使わないためボサボサで目も隠れる長さなのである。
「明日の午前空いてる?」
女子から誘われるのは嬉しはずだが、なぜか俺は嫌な予感がした。
「髪の毛切りに行きたいんだけど。柳田くんに予定があるとは思っていなけど」
悔しいがもちろん俺に予定など一切ない。
本当は新作のラノベを朝から晩まで読みふけるつもりだったが、俺は諦めを覚えた。
周東は携帯を触りながら、俺の返事を待つ前に話を続けていく。
「明日の午前空いてる美容院探すから待ってて」
‥‥ああ、これ逃げられないやつだ。
俺は観念して待つことにした。
そしたら、周東は俺の方を見てから。呆れたように言う。
「嫌だ、って顔をしているけど、髪を切らない柳田くんが悪いし、こんな美少女と一緒に出かけれてラッキーじゃない?」
‥‥自分で言うか、それ。
俺は冗談のつもりで、返した。
「ああ、よかったよ。周東みたいなすごく可愛い美少女と出掛けられて」
美少女、っていうのは嘘じゃない。
けど、正直に言えば、そこまで嬉しいとは思っていない。
そしたら周東は一瞬だけこっちを見てから目を逸らして、何か言い返して来るかと思ったが、なぜか何も言わない。
代わりに、携帯をまた触ってしまった。さっきまでの勢いが、嘘みたいに消えてしまった。
なんだこいつ。と俺は思ったが、周東は携帯を触ったまま黙ってしまう。
少し経ち。
「空いている美容院があったから、ここにするわね」
周東はそう言って、こちらに携帯の画面を見せてきた。
どうやら完全に調子が戻ったのか、普通に話してきた。
もう一回携帯を覗く。料金が5000円と表示されていた。
俺はその値段に驚き、5000円でラノベ何冊買えるかを考えた。
「そんなに高いところに行くのか?」
散髪なんて1500円でいい俺からするとものすごく高いし、正直無駄だと思ってしまった。
「そんなもんよ、私なんて散髪に一回1万いくときもざらにあるわよ。染める時もあるし。」
「そんなに高いのか‥‥」
「じゃあ、時間も時間だし帰るわ。絶対、明日来てよ。」
俺は周東に釘を刺され、俺は行くしかなくなった。
「そうだ、LINE交換しましょ、この先ないと大変だし。」
俺は周東とLINEを交換した、家族と公式LINE以外初の連絡先だ。
俺は何も書かれてない、LINEのトーク欄をじっと眺め何か送ろうと思ったが、こちらから攻めては負けだと思った。
「じゃあ、これで帰るわ、バイバイ」
「ああ、バイバイ」
「柳田くん、ついてこないで、ストーカーで訴えるわよ」
俺は帰り道で周東に声をかけられた。
「しょうがないだろ、俺たち帰る方同じ方なんだから」
前世は気にしなかったが、俺と周東は帰る方向が同じことを思い出した。
そういえば、前世はこんなこんな遅くに帰ることはなかったな。
「知らないわよ、だったら回り道して帰ればいいじゃない」
こいつ慣れたからって口悪くなったな。
「なんで俺はいちいち遠回りしないとダメなんだよ」
俺たちは言い合ってるうちに俺が先に家についた。
「柳田くん明日絶対にきてよ」
「言われなくてもわかってるから、大丈夫だぞ。じゃあバイバイ」
「柳田くん、バイバイ」
俺は家に帰り。リビングに倒れ込む。先に家についていた、妹の柳田 明里が携帯でLINEをしながらソファーに座っていた。
妹の明里は、中学3年生で俺と違って友達も多く陽キャだ。一体誰に似たのか、俺にはわからない。
「お兄ちゃんおかえり、友達できた?」
俺は明里の質問に、一瞬周東の顔が出てきたが、友達ではないと思った。
「勿論0だ、だが俺は作らなかっただけだ」
「お兄ちゃん、可哀想に、もし私が来年高校に入ったら話相手ぐらいにはなるよ」
俺はお兄ちゃんの、威厳を保つために周東のことを言うことにした。
「そう言えば、1人だけど女子とLINE交換できたぞ」
俺は周東とのことを自慢げにそして、平静を偽って言った。
俺は何ヶ所か端折って周東のことを話した。そして明日髪を切りに行くことを。
「お兄ちゃん、聞けば聞くほど怪しいよ、お兄ちゃんみたいな、陰キャに自ら話に行くなんておかしいよ。」
ひどいなお兄ちゃん泣いちゃうぞ。
「そこは気にするな、それより明日の美容院に行く時って服どうすればいい?」
明里と話してるうちに、周東から連絡が来た。
内容は服は、変なの着てくると困るから制服でいいときた。
「明里、服は制服でいいだって」
「お兄ちゃん、だったら制服かして、アイロンかけてあげるから」
「じゃあ、よろしく明里、ありがとうな」
明里はこういうところが、頼りになるんだな。
「お兄ちゃん、そろそろお腹すいたからご飯作って」
「わかった、今日は疲れたからチャーハンな」
両親は遅くまで仕事するので、基本的に俺が夕飯を作るのだ。
俺はフライパンを手に取りチャーハンを作り始めた。
「ご飯できたぞー、机の上を片付けろ」
チャーハンを持っていき、ご飯を食べ始めた。
『ご馳走様でした』
俺は明日に備え早くに風呂に入って寝ることにした。
俺は9時半に布団に入り、目を閉じた。
明日、俺の人生が大きく変わることも知らずに。




