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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

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昔好きだった幼馴染から【助けて】と連絡が!?

作者: 憂姫

仕事終わりの夜道は、いつもと変わらず静かだった。

 コンビニの白い光だけが通りを照らし、風がコートの裾を揺らす。


 


 そのときだ。

 ポケットの中でスマホが震えた。


 取り出して画面を見る。

 その瞬間、呼吸が一度だけ止まった。


 


 「愛華」


 


 ありえない名前だった。

 いや、存在はある。確かにいる。

 ただ——俺の人生の中では、もう“思い出の中にしかいない”と思っていた相手だ。


 


「……嘘だろ」


 


 呟きが自然に漏れる。

 震える指先で通知を開いた。


 


 『助けて』


 


 短い。

 あまりにも短いのに、胸の奥がざわつく。


「……は? 何だよ、これ」


 


 誤送信?

 いや、そんな軽さじゃない。

 この一文字一文字が、まるで誰かに追い詰められながら打ったみたいに、重かった。


 


「おいおい……なんだよ、愛華」


 


 名前を口にした瞬間、急に胸が熱くなった。

 数年分の思い出が一気に蘇る。


 


 小さい頃、家が隣同士で毎日のように遊んだ。

 夏の夕立から一緒に走って帰った日。

 文化祭で彼女が笑っていた横顔。

 高校の帰り道、なんとなく手が触れそうになって、お互い気づかないふりをしたあの瞬間——。


 


 全部、全部覚えている。

 忘れられるわけがない。


 


 でも告白はできなかった。

 できずに大学が別々になって、そのまま距離ができて、気づいたときには“疎遠”という言葉しか残っていなかった。


 


 そして数年前。

 風の噂で聞いた「愛華、結婚したらしいよ」の一言。


 


 世界が一瞬だけ止まった気がした。

 その日の夜は意味もなく外を歩いた。

 どうしようもない、どうにもならない気持ちだけが残った。


 


 そういう女の子だ。

 俺にとっては。


 


「……そんな愛華から“助けて”って、どういうことだよ」


 


 指が震えていた。

 俺はメッセージを返信する。


 


 『どうした? どこにいる?』


 


 送信。

 既読がつく気配はない。


 


「くそ、電話……!」


 


 慌てて発信する。

 呼び出し音が数回鳴る。

 その間、嫌な汗が背中を流れる。


 そして——切れた。


 


「……なんで出ないんだよ……」


 


 もうただの“元幼馴染”とか、“昔好きだった相手”とか、そんなラベルじゃ片付けられなかった。


 声が震える。

 心臓がどくどくとうるさいほど脈打っている。


 


「何か……あったんだよな。間違いなく」


 


 立ち止まっている場合じゃない。

 冷静に考える時間なんか必要ない。

 あの一言に理由などいらない。


 


 俺は走り出していた。


 


 街灯の下を駆け抜け、駅へ向かう。

 心臓が痛いくらい早くなる。

 でも止まらない。


 


「……会わなきゃ。今すぐ」


 


 もし本当に危険な状況なら——

 今この瞬間にも、愛華は誰かに怯えているのかもしれない。


 


「間に合え……!」


 


 電車の扉が閉まりそうなタイミングで滑り込み、息を整えながら窓に映る自分の顔を見る。


 ひどい顔だ。

 でも、それが今の俺の本気だった。


 


「愛華……マジで、どうしたんだよ……」


 


 電車の揺れがやけに遠く感じる。

 胸の底に押し込んでいた感情が、まるで蓋を破って溢れ出したみたいに暴れている。


 たった一言のメッセージ。

 でも、それで十分だった。


 


 俺はもう止まれなかった。




電車を降りた瞬間、夜風が顔に当たった。

 それでも胸のざわつきはまったく消えない。

 早歩きが、気づけば小走りになっていた。


 何故か愛華がここに居るという謎の確信が俺の足をそこへ向かわせる。

 そこは、昔ふたりでよく遊んだ小さな公園だった。


 


「……こんな時間に、なんで公園なんだよ」


 


 息を整えながら公園へ入る。

 街灯の光が弱く、ベンチの影が長く伸びている。

 こんな時間の公園は静かすぎて、逆に心臓の音が響いてくるようだった。


 周囲を見渡す——。


 


 いた。


 


 ブランコの前、街灯の光が届くぎりぎりのところに、細い影が座っている。


 肩が小さく震えていた。


 


 愛華——だった。


 


「……愛華?」


 


 呼びかけると、彼女が小さく顔を上げる。

 その瞬間、胸が締めつけられた。


 昔と同じ瞳なのに、光がない。

 怯え、小さくすぼんでいて、まるで影に飲まれそうになっている。


 


「……ぁ……」


 


「愛華、俺だ。わかるか?」


 


 ゆっくり近づくと、愛華の唇が震えながら動く。


 


「かけ…る?……ごめん……ほんと、ごめんね……」


 


 謝る言葉から始まるなんて、普通じゃない。

 俺は目の前にしゃがみ込み、彼女の視線をそっと受け止めた。


 


「謝るなよ。大丈夫か? どうしたんだよ。何があった?」


 


 愛華はカタカタと小刻みに震えながら首を横に振る。


 


「……言ったら、迷惑になるから……誰にも言えなくて……」


 


「迷惑とか関係ない。言えよ。俺に言え」


 


 俺の声が思ったより強かったせいで、愛華はビクリと肩を跳ねさせた。


 


「あ……ごめん。怖かったよな」


 


「ううん……違うの……違うんだけど……」


 


 愛華は、ぎゅっと自分の腕を抱きしめた。

 寒いのか、怯えているのか、それとも両方なのか。

 わからない。


 


「愛華、本当に何があった?」


 


 問いかけても、彼女はすぐには話せない。

 それだけ切羽詰まっているのがわかる。


 


 しばらく沈黙が続いたあと、愛華は小さく声を漏らした。


 


「……家から……出ちゃダメって、言われてて……」


 


「家から? 誰にだよ」


 


「…あの人…旦那……」


 


 やっぱりか、と一瞬思った自分に腹が立つ。


 


「他には?」


 


「友達に、勝手に連絡したら怒られて……仕事の同僚と話しただけで、帰ってからずっと責められて……最近は……遅くなると、私に当たるようになって……」


 街灯の微かな明かりで見える愛華の顔は涙とは別に腫れているように見えた。


 それに夜とはいえ真夏。長袖を着ているのは痣を隠すためだろうか…



 愛華の声が震え、目に涙が溜まっていく。


 


「ねぇ……私、どうすればいいの……逃げても、捕まる気がして……誰も助けてくれない気がして……」


 


「違う」


 


 即答だった。

 自分でも驚くほど速かった。


 


「助ける。俺が助ける。

 愛華が困ってんなら、俺が——」


 


 言いかけると、愛華が俯いていた顔を上げる。


 


「……迷惑だよね。だって、久しぶりなのに……いきなり……」


 


「迷惑だったら来ねぇよ」


 


 愛華の瞳が揺れる。


 


「……そんな言い方……昔と、変わってないね……」


 


 少しだけ、ほんの少しだけ笑った。

 でもその笑みはすぐに消え、また怯えの色に染まる。


 


「……でも、怖いの。あの人が、どこまで私のこと見てるのか……スマホも、いつ見られてるかわからないし……」


 


「だから、公園まで来たのか」


 


「うん……家にいるのは、もう無理で……走って逃げてきて……でも、どうしたらいいか……」


 


「言えよ。何でも言え。俺がここにいる。お前ひとりじゃない」


 


「……ほんとに?」


 


「あぁ。俺だろ」


 


 愛華は、不安と安心が入り混じった表情で、か細く呟いた。


 


「……ありがと……助けて、って……ほんとは、ずっと言いたかったの……」


 


 その瞬間、胸の奥がギュッと締めつけられた。

 あの頃、何も言えなかった後悔が、今になって形を変えて迫ってくる。


 


「もう我慢しなくていい。

 今度は俺が聞くから。

 だから……一緒に行こう、ここから」


 


 愛華は涙を拭いながら小さく頷いた。


 


「……うん……行きたい……

 もう、帰りたくない……」


 


「じゃあ行こう。立てるか?」


 


「……うん」


 


 俺はそっと手を差し出す。

 愛華は迷いながらも、ぎゅっとその手を握った。


 


 その温度が、あまりにも弱々しくて——

 余計に守らなきゃいけないと思った。


 


「大丈夫だ。俺がいる」


 


「……うん……」


 


 ふたりはゆっくりと公園を出た。

 背後の闇が、まるで追いかけてくるように感じながら。


公園を出るため、翔は愛華の手を軽く握り、歩幅を合わせながら出口へ向かった。

 街灯の薄い光が二人の影を長く伸ばす。

 その影が揺れるたびに、愛華が小さく肩を震わせた。


 


「……翔くん」


 


「ん?」


 


「ほんとに……いいの?

 私なんかのために、ここまで……」


 


「“なんか”じゃねぇよ。

 お前は——」


 


 翔が続けようとしたとき。


 


 背後の茂みが、ガサッ……と不自然に揺れた。


 


「……ん?」


 


 翔が瞬時に振り返る。

 同時に——


 


 銀色の何かが、街灯の光を鋭く反射した。


 


「翔くん危ない!!」


 


 愛華の悲鳴。

 次の瞬間、暗闇から“男”が飛び出してきた。


 刃物を握った右手。

 血走った目。

 口の端が引きつり、息が荒い。


 


「愛華ァァァァ!!

 どこ行くんだよォォ!!」


 


 愛華の旦那だった。


 


「っ……!!」


 


 翔は反射的に愛華を背中へ庇う。


 


「下がれ、愛華!」


 


「翔くん!! ダメ、あの人、危ない!!」


 


 男が刃物を振りかざしながら突進してくる。


 


「返せぇ……!

 返せよォォ……!!

 俺の……“物”を返せ!!」


 


「ふざけんな……人を“物”扱いかよ!!」


 


 翔が身をひねり、刃物を避ける。

 だが——完全には間に合わなかった。


 


「っぐ……!」


 


 脇腹に熱い痛みが走る。

 鋭いものが肉を裂く感触。


 


「翔くん!!!!!」


 


 愛華の悲鳴が夜に響いた。


 


「……大丈夫だ……まだ動ける……!」


 


 翔は歯を食いしばりながら男を睨みつけた。

 脇腹から温かい血が流れ、シャツがじわりと赤く染まる。


 男は刃物を握り直し、狂気に染まった目で翔を見た。


 


「邪魔すんな……!!

 愛華は俺のもんだ……!!

 お前が……口出しすんなぁぁぁ!!」


 


「……愛華は“物”じゃねぇ……!」


 


 翔は片膝をつきかけたが、踏みとどまる。

 深呼吸し、頭の奥にある記憶を呼び覚ます。


 ——柔道。

 小学生のころから高校まで続けていた、唯一の特技。


 


「来いよ……。

 そんな刃物……俺が守るものの前じゃ、関係ねぇ……!」


 


「翔くん、逃げて!!

 やめて……血が……!!」


 


「大丈夫だ。

 絶対に……お前を守る」


 


 男が再び刃物を構えて突進してきた。


 


「おおおおおおおぉぉ!!」


 


 翔は一歩だけ後ろへ下がり、男の腕を掴む。


 


「——っらぁ!!」


 


 翔の身体がしなる。

 身についた動きが自然と発動する。


 


 柔道・背負い投げ。


 


 刃物を持った腕の力を利用し、男の重心を崩し、自分の背へと引き込む。


 


 一瞬、重力が逆転する。


 


 そして——


 


 ドッッッ!!


 


 男の身体が地面に叩きつけられ、衝撃で刃物が手から離れて転がる。

 ダメ押しするように、男の後頭部が地面に当たり、意識が完全に飛んだ。


 


「……はぁ……っ……!」


 


 翔は膝をついた。

 脇腹の痛みが激しく、呼吸が浅くなる。


 


「翔くん!!」


 愛華が翔の肩を支えた。

 震えながら、涙で顔を濡らしながら。



 翔のシャツは脇腹からどんどん赤く染まり、温かい血が溢れている。


 


「翔くん……っ、どうしよう……どうしよう……!」


 


「だいじょ……ぶ……だって……愛華……」


 


 強がろうと笑おうとするが、声が掠れている。

 息が深く吸えない。

 意識が薄い膜に覆われたように曇っていく。


 


「救急車……救急車呼ぶから……!

 お願い、翔くん……喋らないで……!」


 


「……喋らない方が……心配……だろ……」


 


「そんなことどうでもいい!!

 いまは……生きて……!

 お願いだから……!」


 


 愛華は泣き顔のままスマホを握り、警察と救急車に連続で電話する。


 


「……刺されて……友達が……翔くんが……!

 は、はい……ここは……!」


 


 通報をしながら、愛華は翔の手をぎゅっと握りしめた。


 


「翔くん、聞こえる……?」


 


「……聞こえ……てるよ……」


 


「嘘……聞こえてない顔してる……。

 お願い……目、閉じないで……!」


 


 翔は薄く笑う。


 


「……大したこと……ないって……言える……ほど……強くねぇ……かも……」


 


「そんな……そんな弱音……翔くんらしくないよ……!」


 


「弱音……じゃねぇよ……。

 愛華が……無事……なのが……よかった……」


 


「よかったじゃない!!

 翔くんが……死んじゃったら……意味ないよ……!」


 


 愛華の叫びは震えていた。

 手も、声も、体も全部。


 


 翔はその涙を見て、胸が締めつけられる。


 


「……泣くなよ……愛華……。

 お前……泣いてると……俺……なんも……言えねぇ……」


 


「言わなくていい!!

 いいから……目だけは……開けてて……!」


 


 翔の視界が揺らぐ。

 遠ざかるように世界がぼやけていく。


 


 サイレンの音が聞こえた。

 でも——遠い。


 


「翔くん!!

 来てるよ!!

 あと少しで来るから!!

 だから……だから寝ないで!!」


 


 翔は愛華の手をもう一度握ろうとする。

 だが、力が入らない。


 


「……愛華……無事で……よかった……」


 


「やめて!!

 そんな言い方しないで!!

 ねぇ翔くん!!」


 


「……守れて……よかった……」


 


「翔くん!!!!!」


 


 その叫びが耳に届いた瞬間——


 


 翔の視界は完全に暗く沈んだ。


 


 愛華の手だけが、最後に感じた温度だった。



白い天井が、ぼんやりと揺れていた。

 光が滲んで、まるで遠くから差し込むみたいに曖昧だった。


 次に、鼻をくすぐる消毒液の匂いに気づく。


 


「……ここ、どこ……だ……?」


 


 声を出したつもりだったが、掠れて喉にひっかかった。

 その気配に気づいたのか、すぐ隣で椅子が動く音がした。


 


「……翔くん……?

 翔くん……!?」


 


 その声は、今にも泣きだしそうで——

 でも、聞き慣れていて、懐かしくて。


 


「……愛華……?」


 


 まぶたを上げると、そこには涙でぐしゃぐしゃになった愛華がいた。

 目の下には濃いクマがある。

 寝てないのが一目でわかる。


 


「翔くん……!

 よかった……ほんとによかった……!」


 


 愛華が握っていた俺の手をぎゅっと強く握りしめる。

 その力は細いのに、必死で、懸命で。


 


「……泣くなよ……。

 俺、戻ってきたろ……?」


 


「泣くよ……!

 だって……だって翔くん……っ……!」


 


 言葉にならず、愛華は俯く。


 


 その肩が震えていた。


 


「……俺、どれくらい……寝てたんだ?」


 


「三日……三日間……目を覚まさなかったの……」


 


「三日……?」


 


「うん……ずっと……ずっと苦しそうで……

 呼吸も浅くて……

 何回も看護師さん呼んで……

 “このまま目覚めないかもしれない”って……」


 


 愛華の声が震える。

 俺の胸の奥がギュッと掴まれた。


 


「……そんなに……心配したのかよ」


 


「当たり前でしょ……!

 ……翔くんがいない世界なんて、怖すぎて……

 ねぇ……ほんとに……目を開けてくれて……

 本当に……よかった……!」


 


 愛華は涙をこぼしながら、俺の手を頬に当てた。

 その涙の熱さが、皮膚にじんわり伝わる。


 


「……愛華、ごめん。

 刺されたの、俺の油断だ」


 


「違うよ……!

 翔くんがいなかったら、私……今ここにいないよ……

 翔くんが……助けてくれたんだよ……」


 


「助けるって……言っただろ」


 


 愛華が、泣きながらも笑った。


 


「……うん……言ってた……。

 翔くん……ずるいよ……。

 ずっと……ずっと私を守ってくれる……」


 


「当たり前だって」


 


「……ねぇ翔くん……」


 


 愛華の声が、少し震えながらも真っ直ぐだった。


 


「私……怖かった。

 あの人の支配も、暴力も、全部……。

 でもね……一番怖かったのは……

 翔くんが……死んじゃうかもしれないって思った瞬間だった」


 


「……愛華」


 


「守ってもらって……嬉しかった。

 でもね……それ以上に……

 “翔くんを失うのだけは嫌だ”って……

 心が叫んでた……」


 


 愛華は涙のついた手で、俺の手を包み込む。


 


「だから……生きてくれて……ありがとう」


 


 その言葉が心の奥に刺さる。

 あの日、告白できなかった後悔が、少しずつ溶けていく。


 


「……愛華」


 


「……うん……?」


 


「俺……お前が生きててよかった。

 それだけで、十分だ」


 


 愛華が、ぎゅっと俺の手を握る。


 


「翔くん……

 ねぇ……これって……

 好きって……言ってもいいの……?」


 


「……言ってくれたら、嬉しい」


 


 愛華は涙を拭いながら、震える唇で言った。


 


「翔くん……

 私、ずっと……あなたが好きだった……」


 


 その瞬間、胸が熱くなる。

 脇腹の痛みより、ずっと強く。


 


「……俺もだよ、愛華」


 


 愛華の瞳が大きく揺れ、涙が溢れた。

 でも、今度の涙は——悲しみじゃない。


 


「……翔くん……生きてくれて……ほんとにありがとう……」


 


「お前が呼んでくれたからだよ」


 


「呼んで……助けてって……言ってよかったの……?」


 


「言えよ。何度でも。

 俺は行くから」


 


 愛華は震えた手で、そっと俺の頬に触れた。


 


「……じゃあこれからは……

 ひとりで怖がらなくていいよね……?」


 


「当たり前だ。

 ずっとそばにいる」


 


 病室の静かな光の中で、

 愛華はそっと額を俺の胸元に預けた。


 その温度が、三日間の眠りの空白を埋めていくように感じた。


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