第2話 再戦とおてんば妖精
道中です。下書き書いてから大妖精の存在を思い出して書き直しました。
「……。妖精が増えてきているな。」
「そうね。こいつらは異変の時いつもそうなのよ。」
「肩慣らしに丁度いいのぜ!」
キョウ達が出発して約10分。異変の発生源と思われる『霧の湖』辺りまでは30分程かかるらしく、今はその道中(と言っても空だが)である。
「異変が起こると、妖精達は活発化して暴れ回るの。異変による二次災害ってとこね。」
「鏡のストックは異変の発生源に着くまでに1回全快するから惜しみなく使ってるが...既に2枚割れてるんだよな...。」
キョウの周りには、4枚の鏡がキョウを守るように旋回していた。更に、そこに水魔法で作った水玉が浮いている。
この状態がキョウの戦闘形態だ。どんな攻撃が来ても反射か防御ができる。
2枚破壊され、4枚を既に使っているので、キョウの残りストックは後4枚である。
その時だ。
「キョウ!!」
「ッ!!」
黒い物体がキョウに接近した。霊夢の声で、落ち着いて黒い物体を反射する。
「またあったのだー。」
「俺は会いたくなかったよ……。」
現れたのは、人喰い妖怪であるルーミア。キョウにとって、ルーミアは喰われかけた仲である。
「こんどこそたべてやるのだー。」
「キョウ。コイツは弾幕ごっことか気にしてない。全力で叩きのめしていいわよ。」
「どっちにしろ、そうするつもりだ。」
「じゃ、私達は周りの妖精だな。霊夢、いくぜ。」
「指図しないで。分かったから。」
「いくのだー。」
「夜符『ナイトバード』」
「同じ技を2度も食らうかよ!」
キョウは弾幕を避けていく。避けれないと判断した場合は鏡で弾いている。
「こっちのターンだ!」
「鏡符『リフレクトスパーク』」
キョウがスペルカードを唱える。
すると、魔法陣が生成され、そこから1本のレーザーが照射される。ちなみに、スピードは周りの弾幕の2倍は速い。
「そんなものあたらないのだー。」
「そうかな?」
キョウのレーザーをルーミアが避けると、その後ろに待機していた鏡に当たり反射する。反射されたレーザーは、再びルーミアを襲った。
「っ!!あぶなかったのだー。」
「これで終わると思うなよ?」
「!!」
ルーミアがレーザーを再び避けると、更に待機していた鏡に当たりレーザーが反射する。
「鏡が壊れるまで続くスペルカードだ!とっとと落ちやがれ!!」
「...。こっちもせめるのだー。」
「闇符『ディマーケイション』」
ルーミアがキョウの聞いた事のないスペルカードを唱えると、辺りが闇に覆われる。
「くそ!視界妨害系のスペカか?これじゃレーザーが上手く反射出来ねーな...っと!危ねぇ!!」
そう。レーザーは自動で反射されるのではなく、全てキョウが鏡を計算して配置しているのだ。キョウの目が見にくくなれば、鏡の配置が出来なくなる。更に視界が悪いので、弾幕にも当たりやすくなってしまう。
どうしたものか-----とキョウが考えた瞬間。
「いたいのだー!!」
「は?」
何故かルーミアが自分からレーザーに当たっていた。
(コイツの闇、まさか自分の視界も奪うのか?だとするとかなりお粗末な技になるが...。)
「いたっ!どこからこうげきしてるのだー!かくれてないででてくるのだー!」
(本当に見えてねーのかよ...)
「いたい!う〜もう!おぼえてろなのだー!」
(あ、ちゃんと今回はセリフ合ってた)
ルーミアが情けない声を上げながら逃げていった。キョウはルーミアを追うのは止めることにした。今の最優先事項は、異変の解決だ。
「闇が晴れたな...。まさか自爆するとは...。」
皮肉にも、最初ルーミアと戦った時に使用した方法と実質的には変わらない方法でキョウは勝利した。
だが、
「なんか納得いかねぇ...まあいいか...。」
キョウの心には少しのモヤモヤが残った。
――――――――――――――――――――――――
ルーミアを倒してから10分後。
キョウ達は順調に異変の発信元に向けて進んでいた。ちなみに、ルーミアが自爆したお陰で鏡のストックは減っていない。と、そこに、
「そこのニンゲン!!あたいと戦え!」
なんか変なのが出てきた。
「変とはなんだ!あたいにはチルノっていう名前があるんだぞ!」
どうやら声に出てたらしい。
「あたいをバカにした罰だ!まずお前から倒してやる!」
「ええー...また俺?」
助けを求めようと霊夢や魔理沙に向けて視線を送るが無視される。
(コイツら...って気にしても仕方ねぇ。やるしかないな。)
「スペルカードは2枚でいい!」
「勝手に決めんな。まぁいいけど。」
どうやら弾幕ごっこの事は理解しているらしい。殆どがコミュニケーションを取れない妖精の中で、チルノはかなり賢い部類なのだろう。ただ、比較対象があまりにも弱すぎるが。
「くらえ!あたいのサイキョースペルカード!」
「凍符『パーフェクトフリーズ』」
「弾幕が凍った?...!!」
辺りの弾幕が凍ったと思った瞬間、氷が割れ、弾幕が不規則な方向に動き始めた。
「動きは不規則で読みにくいが、肝心の速度が遅い。避けるのもそんなに難しくないな。」
「なっ!全然当たらない!なんでだ!他の妖精とやった時はたくさん当たったのに!」
(妖精達は、不規則な動きに対応しきれなかったのか。まぁ、それも計算しちまえば安全なルートが見える。)
「ぐぬぬ...。次だ次!」
(コイツ次で仕留めきれなかったら負けって分かってんのか?)
「氷符『アイシクルフォール』」
チルノの手元から、氷柱のような弾幕が円形に発射される。
(俺を狙ってる...けどこれは...)
次の瞬間。
キョウは、チルノの目の前に移動した。
「なあっ!」
「自分の目の前ががら空きだぞ。」
キョウはチルノに弾幕を撃ち込む。
「なんで...サイキョーのあたいが...」
「チルノちゃーん!!」
チルノがキョウの弾幕をモロに食らい、落下していった。なんか緑の妖精がチルノを追っている。
(やっぱりコイツバカじゃん...まぁ妖精の中だと凄いんだろうけど...何だこの噛ませ感...っていうか、見た感じだけど、あの緑の妖精の方が強い気がするのは俺だけか?)
勝ったのに、何かと心残りするキョウであった。
――――――――――――――――――――――――
「やっと着いたぜ。」
「絶対ココでしょうね。」
「ああ、絶対ココだな。」
更に10分後。キョウ達は霧の湖に到着した。そして、その傍には...
「明らかにここですってアピールがスゲェな。」
西洋風の建築が施された、紅い館がそびえ立っていた。
「待って。誰かいるわ。」
霊夢が指を指すとそこには...
「おや?客人ですかね?なら、お嬢様の命令通りしっかりともてなさなければ、ですね!」
中華服を来た女性が、門の前に佇んでいた。
どうやらそう簡単には、中に入れさせて貰えないらしい。
やはり⑨。ちなみにこの話も合計で言うと丁度⑨話目です。
次回は美鈴が本格的に登場します。
面白いと思って下さったらお気に入り登録・ブックマーク登録お願いします。作者が狂うように喜びます。また、これからも『東方水鏡華』をよろしくお願いします。




