第4話 紅白の巫女VS流星の魔女
東方の二次創作にはこれがないとダメだよね...
「何しに来たのよ、魔理沙。」
霊夢が空に浮かぶ流星に向かって尋ねると、
「何って、遊びに来ただけだぜ。」
と、流星もとい彼女---霧雨 魔理沙が答えた。
「遊びにって……今取り込み中だから後でにしてくれないかしら?」
「取り込み中?」
「だから、’これ’よ’これ’」
「いや、’これ’呼ばわりは流石に失礼だと思うぜ...というか霊夢についに男が出来たのか?!明日は異変が起こるのぜ…」
「男じゃないわ。れっきとした客人よ。ほら、自己紹介しなさい。」
「客人を’これ’呼ばわりってお前なぁ...まぁいい。俺は泉 鏡。見ての通り外来人だ。」
「私は霧雨 魔理沙。見ての通り普通の魔法使いだ。よろしくなのぜ。」
いつも通りの態度な霊夢は無視して、キョウは魔理沙と軽い挨拶を交わす。因みに、幻想郷について既に霊夢に教えて貰っているので、魔法使いというワードに動揺することもない。
(箒で飛んできたのか...本当に’普通の魔法使い’だな...)
キョウがそのように考えていると、霊夢が口を開いた。
「で、遊ぶったってここにはなんも無いわよ。」
「あるじゃねーか。お前だよお前。」
「え、俺?」
「そうだぜ。お前、気づいてないのか?自分に’魔力’がある事を。」
「「!?」」
「キョウはともかく、霊夢は気づけなきゃダメだと思うぜ...最近鈍ってるんじゃないか?」
「鈍るも何も、私は修行なんてしないわ。ていうか、私の専門は’霊力’よ。’魔力’の事なんて興味無いわ。」
「そうだった。霊夢はそんなヤツだったな。」
キョウも頭を縦に振って肯定する。
「なぁ、霊力と魔力って何だ?何か違いでもあるのか?」
「全然違うわよ。霊力は主に霊術を使う為のエネルギー。反対に、魔力は魔法を使う為のエネルギーよ。」
「!幻想郷には色んなエネルギーがあるのか?」
「ええ。他にも妖力、神力とか色々あるわ。まぁ気が向いたら話すわ。」
「そんでもって、私は魔法の専門家だぜ。幻想郷では唯一と言っていい人間の魔法使いなんだぜ。」
「人間の?」
「魔法使いっていうのはな、厳密に言うと種族の名前なんだ。つまり、魔法使いは生まれながらに魔法使い、という訳だぜ。対して私は、後天的に魔法使いになったのぜ。だから、種族は人間のままだ。」
どうやら幻想郷では、魔法使いは妖怪のような扱いらしい。
「私は人間で居たいからな。って、こんなこと話してる場合じゃないぜ。」
「ん?キョウに用があるんじゃないの?」
「違うのぜ。そもそもキョウのことは今知ったのぜ。それよりもだ霊夢。近頃、妖精が活発化してるのは知ってるか?」
「ええ。ってまさか、さっき『明日は異変が起こる』って本当のこと!?」
「ああ。少なくとも、私はそう読んでるぜ。」
二人の会話に置いていかれそうになるキョウだが、何とかして食らいつこうとする。
「異変?今すぐ引き返せってか?」
「そうね。貴方はそうした方が良いかもしれない。」
冗談で映画化もした某ゲームの事を言ってみたが、どうやら霊夢はそのままの意味で受け取ってしまったようだ。
「幻想郷にはね、時々異変っていうのが起きるのよ。原因は沢山あるけど、人為的なものから、自然発生するものまであるわ。異変を解決するのも、博麗の巫女の仕事よ。」
「...博麗の巫女ブラック過ぎません?」
「そんなことないわ。今忙しいだけよ。」
「おいおい霊夢、せっかく男がお前の身を心配してくれてるんだから、そんなに冷たくしなくても良いじゃないか。」
「男じゃないってさっきも言ったし、私はこれが通常運転よ。」
「素直になれよ〜」
「ちょっと黙っててもらっていいかしら?」
「おお、怖い怖い。」
会話からして、霊夢と魔理沙は相当仲が良いようだ。
「今の会話にそう思う要素あったかしら…」
「まぁまぁ。これでも腐れ縁だからな。で、本題に移るが...」
「勝手に進まないで頂戴。」
「ちぇっ。それで本題だが...」
「いい加減にしなさい。」
「イテッ」
(やっぱ仲良いだろこの2人)
「...。それで、アンタは遊びに来ただけじゃ無かったの?」
「嘘だぜ。来たる異変に向けて、霊夢と手合わせしに来たんだぜ。」
「なら最初からそう言いなさいよ。丁度キョウに弾幕ごっこを教えようとしてたところだわ。早くしなさい。」
「いや、部屋の案内は...」
「早 く し な さ い」
(あ、これダメなパターンだ)
「まぁそう急かすなって。じゃ、始めるぞ。」
「了解。最初から本気で行くわよ。スペルカードは3枚でいいわね?」
「ああ。」
「霊符『夢想封印』」
「恋符『マスタースパーク』」
七色の弾幕と、魔理沙が持っていた八卦炉から発射された極太のレーザーが衝突する。
(いや2人とも威力バグってるんですが!?これで『ごっこ』!?やっぱおかしいわここ!)
キョウは衝撃で吹っ飛ばないように神社の柱に捕まっている。
(霊夢のあれはルーミアを瞬殺したヤツだな。魔理沙の方は...ロマン砲系か?)
キョウは一瞬で魔理沙の戦闘スタイルを見抜いた。
お互いのスペルカードが終了すると、霊夢は即座に手に持っていた御札を投げつける。魔理沙はそれを避ける---が、御札は魔理沙を追尾してきた。
(追尾弾!?それ反則技じゃね?)
「ッ!!なかなかやるな!だがこれはどうだ!」
「魔符『スターダストレヴァリエ』」
魔理沙は霊夢に向けて大量の星弾を放った。
星弾は霊夢の放った御札を相殺---いや、御札をかき消し、霊夢を襲う。因みに、魔理沙の八卦炉からは煙が上がっている。
(火力は魔理沙の方が上なのか…ていうかさっきから速すぎんだよ!!)
霊夢は超高速で魔理沙の星弾を避けていく。そして---
「境界『二重弾幕結界』」
2枚目のスペルカードを宣言した。
その弾幕は直線上に魔理沙へと襲うが、途中で
「ッ!?」
(軌道が曲がった?いや、歪んでいるのか!)
魔理沙は必死に避けるが---
「グッ!?1発貰っちまったのぜ...」
魔理沙の左肩に弾幕が命中した。
「どうしたの?腕が鈍っていたのはアンタのようね!」
「1発程度で、調子に乗るんじゃないのぜ!」
「彗星『ブレイジングスター』」
魔理沙は八卦炉を箒の根元に付け-----
「うおおおおぉ!!」
霊夢目掛けて突っ込んだ。
「はぁ?!何よその技!?」
「新技だぜ!」
「脳筋にも程度ってもんがあるでしょ!」
「うるせえ!弾幕はパワーだよ!!」
一直線に霊夢に突っ込む魔理沙は本当の彗星のように見える。
(いや...これって弾幕なのか...?)
キョウがそんなことを考えていると、
「おわっ!」
魔理沙の素っ頓狂な声が聞こえた。
どうやら霊夢を追っている途中にバランスを崩してしまったらしい。そのまま、魔理沙は地面へと墜落していく。
魔理沙の箒にある八卦炉からは、黒煙が上がっていた。
(オーバーヒート!?当然だ、あんな火力出したらそりゃああなる!)
魔理沙が必死に体勢を立て直そうとするが、暴走を始めた八卦炉は止まらない。
「魔理沙!?それヤバくない!?」
「ちょっとマジでマズイかも!って、うわっ!」
魔理沙が地面に向かって突っ込んでいく。
(間に合え---)
魔理沙が地面とキスする瞬間。
キョウが魔理沙をギリギリのところで受け止めた。
そして---
カアン!!!!
霊夢の御札が、八卦炉を完璧に弾いた。
「ギリギリセーフ、か?」
「ああ。私は大丈夫だ。ありがとな。ただ、八卦炉が...」
霊夢の御札に弾かれた八卦炉は、暴走を止め、完全に機能を停止している。
「ありゃダメだな。完全にイカれちまってる。またこーりんに直してもらわないとな...」
「ああ、それなんだが。」
「多分俺、あれ直せるぞ。」
・・・。
「マジ?」
「大マジ。」
「さっきの戦闘を見て、大体の仕組みが分かった。魔力関連のとこだけ色々教えてもらわないと出来ないが、俺には魔力があるんだろ?」
「ああ。正直に言うと超助かる。ありがとうなのぜ。」
二人で話していると霊夢が入ってきた。
「ほら、二人でイチャついてないで、さっさと掃除して頂戴。」
「「イチャついてねーよ。」」
「息ピッタリじゃない。」
「なんだ?嫉妬したか?」
魔理沙が揶揄うようにそう尋ねると…
「んなわけないでしょ...」
即座に否定された。なんか悲しい。
「ていうか貴方、大丈夫なの?空から落ちてきた魔理沙を受け止めたみたいだけど。」
「あーそれな。無問題。」
彼の傍には、割れた鏡が3枚。
「能力が復活してたんでね。威力を抑えられた。」
「ふうん。やるじゃない。鍛えがいがありそうね。」
「勘弁してくれ。運動はまぁまぁなんだ。」
霊夢と話していると、魔理沙がボロボロになった八卦炉をキョウに手渡した。
「いけるか?」
「大丈夫だ。問題ない。」
「なんかそのセリフ信用出来ない気がするんだけど...」
博麗の勘はよく当たる。
「正直...魔力の事を完全に理解しないと無理だな。パーツの方は...何個か取り替えなきゃいけねぇ。」
「そう。で、魔理沙、なんで暴走したの?」
「単純明快。新技なもんで、制御がまだイマイチなんだ。」
「なるほど。じゃあ魔理沙の自爆負けってことでいいわね。」
「ああ。それでいい。」
霊夢と魔理沙の対決は、思わぬ形で収束した。
タイトルを「水〇の魔女」にすると怒られそうなので止めました。また、ブレイジングスターは永夜抄の技なので新技ということにしてます。二重弾幕結界は元々使えます。
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