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東方水鏡華  作者: NOVE
STAGE 0:START THE GAME
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第3話 楽園の 素敵な巫女さん めんどくさい(五七五)

チート巫女さん登場


「あら?こんな所に人間?珍しいわね。」


その声を聞いて、キョウは第2の賭けに勝ったことを喜ぶ。

声の発信元はキョウのすぐ傍にあった。

どうやら女性のようだ。紅と白を基調とした巫女服に、大きな紅いリボンが彼女の黒髪に添えられている。


「ちょっと貴方!?酷い怪我じゃないの!?大丈夫なの?」


心配してくれているようだ。

キョウの第2の賭け---それはふと見えた神社らしきものに誰かが居て、助けてくれる可能性だ。キョウは自身の能力を使ってその神社らしきものに信号を送ったのだ。

目論見は見事に当たり、キョウは救世主(第三者)をこの場に連れてくることに成功した。

後は彼女がルーミア(化け物)をどうにかできるかだが…


「ああ、人喰い妖怪に襲われたのね。もう大丈夫よ。安心しなさい。」


その心配は要らなそうだ。

彼女の口ぶりからして、これまで同じような状況と遭遇したことがあるのだろう。


(服装からして、あの神社の巫女か…?それに今『妖怪』って…)


様々な疑問が湧くが、今はそれどころでは無い。なぜなら、キョウの命を脅かすものが依然として目の前に居るからである。

だが、そんな心配も必要ないと分かったのは彼女が動き出してすぐだった。

彼女はどこからかお祓い棒のようなものを取り出し、


「霊符『夢想封印』」


と、先程ルーミアが使ったのと同じような技を唱えた。

その瞬間、彼女の周りに七色の大きな弾幕が現れ、


「ゆr---」


ルーミアが何かを言う前に彼女の出した弾が命中し、辺りに煙が舞った。


(いや強すぎだろこの世界の巫女…)


煙が晴れると、そこには既に満身創痍となったルーミアの姿があった。


「お、おぼえろなのだー!!」


(いや幼女がそのセリフ言うのかよ…しかも間違ってるし…)


先程の恐ろしい姿が嘘のようにルーミアは一目散と逃げていく。


(これは流石に同情…できねぇな。自業自得だし。)


キョウは既に幼女恐怖症になりかけていた。


「はい、おしまい。これに懲りたら二度と人間に手を出さない事ね。さてと…」


彼女がキョウの方を向くと、


「んっ。」

「ん?」

「んっ!」

「???」

「んんんっ!」

「?????????????」


突然、彼女が右手を差し出してきた。一体何をしているのか、キョウには分からなかった。

しかしその直後、キョウの脳内にあるひとつの可能性が浮かび上がる。


(あ、これ『倒れている人に手を差し伸べる』って奴か?言葉で言ってくれねぇと分からねぇが………待てよ?言葉で言うのが恥ずかしいからこうしてんのか?つまりコイツは現代で絶滅しかかっているあの伝説の『ツンデ---


「お代。」

「はい?」

「だから、お代よ。妖怪退治してあげたんだから、その位の報酬は払ってくれないと困るわ。」


・・・。


「いや俺、金持ってないんですけど。」

「はぁ?お金も持たずにこんなとこ歩いてたの?そんなのまるで()()()じゃない…ってまさか?」

「多分そのまさかだよ。」


それを聞いた瞬間、彼女は「はああああああ…」と大きな溜め息をついた。


「せっかくお金が手に入ったと思ったのに…これじゃまるで私が守銭奴みたいじゃない。」

「みたい、じゃなくてそうだと思うが。」

「失礼ね。ぶっ飛ばすわよ。」

「怖っ。」


ツンデレはやはり幻想だった。現実は常に非情である。にしても---


「『外来人』か。やっぱりここって異世界っぽい感じ?」

「厳密に言うと違うわ。ここは『幻想郷』。忘れ去られたものが集まる秘境よ。」

「秘境?つまりここは日本か?」

「ええ。幻想郷は常識の埒外にあるの。だから外からは見えないし、超常的な現象もここじゃ日常茶飯事よ。」


納得がいった。気温や太陽と月の動きが日本と酷似していたのも、そもそもここが日本国内であることが原因だった。


「なぁ。俺の他に女の外来人を見かけなかったか?」

「見てないわね。それよりも、ここまで来てタダ働きなんて嫌よ。何かお礼しなさい。」


(コトミの情報は無し、か…。ていうかコイツめっちゃめんどくせぇ…)


どうにかやり過ごそうとしていると、彼女が「そうだわ!」となにか思いついたような仕草をした。


「貴方、私の神社に住みなさい。」

「は?」

「は?、じゃないわよ。住まわせてあげるって言ってんのよ。」


あれ、やっぱツンデ


「境内の掃除とか、洗濯とか、ご飯とか、色々手伝って欲しいのよ。」


やはり現実は常に非情である。

しかし良く考えると現状、それが一番良い選択肢だ。ここは素直に従っておくのが吉だろう。


「分かった。そういやまだ名乗ってなかったな。俺は(イヅミ) (キョウ)。強欲巫女、お前は?」

「私が強欲巫女なんて呼ばれる筋合いがどこにあるのかしら。まぁいいわ。私は博麗(ハクレイ) 霊夢(レイム)。代々続く博麗神社の巫女よ。外来人の保護は博麗の巫女の担当なの。保護してあげるから、しっかり私のために働く事ね。」


(コイツやっぱツンデレ拗らせてね?つーかあまりにも欲に忠実過ぎねーか?)


「今、失礼な事考えてたでしょ。」


(え、何コイツ、読心術まで持ってんの?)


「読心術じゃないわ。勘よ。」

「勘?」

「ええ。」


(勘か…。何かの能力の類いか?それとも、霊夢の観察力がレベチなだけか?)


そんなことを考えていると霊夢が、


「貴方に幻想郷のルールも教えて上げないといけないわね。」


と言ってきた。


「ルール?」

「ええ。幻想郷では『弾幕ごっこ』が物事の決定権になることが多いわ。さっき人喰い妖怪が貴方に向かって撃っていた物ね。」

「…?つまり、この世界は殺し合いが基本だと?」


そうなれば、大外れの転移先なんだが。


「違うわよ。さっきのはあくまでも、あの妖怪が貴方を食べようとしていたからよ。本来は殺し合いなんてしないわ。勝敗は相手のスペルカードを無くすか、相手が降参するかの2択。評価基準は、弾幕の難易度と、美しさよ。」

「スペルカードってのは、さっきの必殺技みたいな奴か?あと、評価基準?美しさ?」

「いっぺんに聞かないで頂戴。そうよ。スペルカードはさっきの必殺技のようなもの。あれには限りがあって、それが無くなると負け。評価基準ってのは、勝負がつかない時に第三者が勝敗を決める時に使われるの。その時の基準が、弾幕の難易度と、弾幕の美しさ。難易度は弾幕を攻略する難易度のこと。美しさは、視覚的に弾幕がより美しければ評価が上がるわ。と言っても、美しさの評価なんて、だいたい主観によるものだけどね。」

「つまり、死ぬようなことは無いと?」

「勘違いしないで。幻想郷には、さっきみたいな危険な妖怪も居るわ。気を抜くと、死ぬわよ。『弾幕ごっこ』が持っている権限は、あくまでも決定権よ。そこに命が関わることもある。自分の身は自分で守る事ね。まぁ今の貴方は貧弱で多分すぐ死ぬから、私が特別に鍛えてあげる。もちろん、お代は頂くけど。」


(デレたと思ったら、直ぐにまた…。やっぱコイツめんどくせぇ…)


「着いて来なさい。神社に案内するわ。」


まだ分からないことが沢山あるが、今はそれどころでは無い。キョウはとりあえず、霊夢について行くことにした。


--------------------------------------------------------------------


「着いたわ。ようこそ博麗神社へ。一応歓迎するわ。」

「一言余計なんだよお前は…」

「自分に正直な女は嫌いかしら?」

「そういうことじゃねぇよ…」


ちなみにキョウが不機嫌な理由は神社に行くまでに相当な段数の階段を登ったことにある。キョウが登っている間、霊夢は空を飛んでキョウを置いて行ってしまったのだ。また、かなり歩いたのでとっくに日は沈んでいる。昼ご飯は霊夢が持っていた和菓子を分けてもらった。お代は『能力を教えて貰うこと』。能力のことを聞いた霊夢は、キョウの能力を『鏡を操る程度の能力』と名付けた。程度と言われてキョウが馬鹿にされたのかと思ったが、どうやらそうではなく幻想郷の能力者の能力はそのような表記で表されるらしい。因みに、霊夢の能力は『空を飛ぶ程度の能力』だった。


「とりあえず、神社の中と部屋を案内するわ。こっちよ。」


キョウは霊夢について行こうとしたが---霊夢が急に止まったので彼女の背中にぶつかりかけた。


「危なっ!急に止まるなよ!!」

「ちょっと黙って。何か来るわ。…?この感じ…。また厄介なのが来たわね…。」


はぁ、と霊夢はため息をつき、


「で」





























「何しに来たのよ、魔理沙」


空に浮かぶ流星---霧雨(キリサメ) 魔理沙(マリサ)に尋ねた。

ツンデレが許されるのは二次元までだけだよね!(作者の勝手な意見です。無視してください。)

次回予告:霊夢VS魔理沙

また、自分で読んでて見にくかったので、会話や心の声とナレーションは1行開けることにしました。

面白いと思って下さったら是非お気に入り登録とブックマーク登録お願いします。作者が狂うように喜びます。また、これからも『東方水鏡華』をよろしくお願いします。

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