第2話 カガミヨカガミ
戦闘描写難しい…
また、既に察している方も多いでしょうが、主人公は理系です。
「鏡?」
突然空中にあらわれた鏡を目にして、キョウは考えを巡らせた。
「まさかとは思うが…これ能力が発現したパターンか?だとするとご都合主義にも程があるが…いや今はそんなことどうでもいい。大事なのはこの鏡が黒い玉を跳ね返したってとこだ。可能性としては---’反射’の能力か?でも黒い玉が光?それはどこか違うような気がするが…」
「ぶつぶつうるさいのだー。」
「ッ!?ヤバッ!」
即座にルーミアと距離を取り、キョウは考え続ける。
(鏡。英語ではmirror。光を反射する性質を持ち、古代からエジプトや中国などで使用された歴史あり。また、魔除けの効果があるとされ-----魔除け?)
キョウの中で1つの仮説が出来上がる。
(’この鏡には魔除けの効果があり、何らかの条件で空中に出てくる。それが魔法っぽい黒い玉を跳ね返した’?)
もしそうなれば黒い玉の脅威は消える。後は根本的な問題である---
(この幼女をどうにかしないと…)
追ってくるルーミアの額には軽いキズがある。つまり、ルーミアが出した黒い玉はルーミア自身にも効果がある、という事になる。
「勝てる可能性は低いが’戦う’って選択肢が出てきた。」
「うん?わたしとたたかうつもりかー?能力者っぽいけどそんなんじゃかてないぞー?」
(能力者?やっぱそういう概念がある世界か!だとすればこの鏡は俺の能力---。だとすると、このルーミアにも勝てるかもしれない。ただ--勝率は低い。俺自身の攻撃手段が’ルーミア自身の自爆’だし、そもそも---)
「ちょっとほんきをだすのだー。」
(木が真っ二つに折れる攻撃で額が傷ついただけ?鏡の反射で威力が落ちてない限り、ルーミアの耐久力がバケモンなんだが…)
「夜符『ナイトバード』」
(いきなり必殺技的な奴が来たんだが?!)
彼女が必殺技を唱えると、左右に青色の弾幕が現れる。
(物量も増えた!鏡があったとしても全部防げるか分からねぇ!)
キョウは鏡の後ろに隠れやり過ごそうとするが---
ピキッ…
(鏡にヒビが入りやがった!これ以上はマズイ!)
キョウは鏡の真後ろを通って走り出した。こうすることで、例え逃げても自分のことを狙う弾は減る。
しかし-----。
パリーン!!
無情にも、鏡の耐久力はそれほど高くなかった。
だが、
(弾幕が止まった?)
それと同時にルーミアの必殺技が終了する。
「なかなかしつこいのだー。それなら---。」
「月符『ムーンライトレイ』」
(まだあんのかよ!?)
ルーミアが2枚目の必殺技を使用する。すると、弾幕と共に、2本のレーザーがキョウを貫かんと発射される。
(そんなのありかよ!?)
必死に逃げ惑うが---。
「痛ってぇ!?」
レーザーがキョウの足元を掠める。見ると、キョウの右足首から血が出ていた。
(やっぱ急所に当たったら即死だぞこれ!?)
死、という言葉がキョウの脳内を走る。
(逃げても無駄だ。なら選択肢は二つ!!)
キョウが手を振ると、空中に鏡が現れる。
(作れた!原理もあと何個作れるかも分からねぇが…今はこれで戦うしかねぇ!)
「待てなのだー!」
(レーザーを跳ね返す!現在位置を〈0、0、0〉、1マス1mと置いて…)
キョウは思考をフル回転させ、計算を始める。
(ルーミアの位置は〈10、1、0〉…距離は三平方の定理で約√101m、対してレーザーの発射位置は〈10、1、1〉、〈10、1、-1〉!距離は約√102m…レーザーは俺に向かって発射されてる。レーザーは2本。つまり、鏡は2枚要る!角度は…)
超高速で解を算出し、鏡を出現させる。
(2枚目!!賭けに勝った!!)
レーザーは鏡に当たり---計算通り、ルーミアに命中する。
「きゃぁっ!?」
(怯んだ!一瞬だけだが十分!)
キョウは鏡を動かし、ある方向に向ける。
(頼む…!)
鏡は近くにあった山の方向を向いている。
(さっき逃げてる途中に、東の山の中腹に神社らしきものが見えた。この世界は異世界である事がほぼ確定している。と、すればだ)
神社にはこの状況を変えられる人間が居るかもしれない-----。
キョウが取った第3の選択肢。それは逃げるでもなく戦うでもなく---第三者の介入である。
鏡で日光を反射してモールス信号---SOSの信号を神社に向かって送る。
(早くッ!)
「ゆるさないのだー。」
(もう復活しやがった!しかも鏡がもう出せない!)
キョウが手を振っても先程のように鏡が出現しない。つまり限界だ。更に---。
(何か回復してね?嘘だろ?)
ルーミアの身体が徐々に再生していく。
(再生持ち!?反則じゃねーかそんなん!!というかやっぱり人外かよ!)
異世界なので人である可能性も否定できないが、流石に人肉を食べる人間は居ないだろう。キョウはそう結論づけた。
「わたしはおこったのだー。くらえー。」
「夜符『ミッドナイトバード』」
(名前からして、最初の奴の進化版じゃねーか!!)
限界を迎えたキョウの身体ではルーミアから放たれた弾幕を避けきれることは出来ず---
「ぐはっ!?」
(まともに1発貰っちまった!もう動けねぇぞ!)
弾が命中した箇所は左足の太もも付近。つまり、キョウはもう動くこともままならない。
「おわりなのだー。」
キョウに向けて弾幕を放つルーミア。
(殺られる…!)
キョウの目前にルーミアの弾幕が迫る。
死んだ、とキョウが本日二度目の死を確信した瞬間-----。
「あら?こんな所に人間?珍しいわね。」
救世主が音もなくキョウの傍に立ち、ルーミアの弾幕を何事も無いように打ち消していた。
か、彼女はいったい誰なんだー!!(すっとぼけ)
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