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東方水鏡華  作者: NOVE
STAGE 0:START THE GAME
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第1話 やせいの ひとくいようじょが あらわれた!

幻 想 郷 来 日


「・・・・・・ううっ、ここは・・・」


ありきたりな台詞を吐きながら、彼、(イヅミ) (キョウ)は目覚めた。


「確か、実験をしてから、帰ろうとした時に光ったカエルが出てきて…そこで意識が途切れてるな…」


「泉 鏡。高校2年。都内のT高校在学。住所は…よし、記憶は問題なし。となると問題は…」


彼が辺りを見渡すと、そこには先程まで居た実験室は跡形もなく、森林が広がっていた。


「マジでどういうことだってばよ…」


流石に科学オタクのキョウも語尾が某忍になるほど驚いている。ちなみにキョウは科学オタクであると同時にアニメオタクでもある。もっとも---彼はアニメを’空想科学’として捉えているが。


「これが巷で話題の’異世界転生’か…?いや、死んでねぇから’異世界転移’か…って異世界なんてもんカエル1匹の謎の光で行けるとも思えねぇけどな…そういやコトミはどうなった?」


コトミ---藤原 琴美はキョウの後輩で、同じ科学部に所属している。カエルの光に巻き込まれた時彼女もいたので、近くにいるのでは無いかと考えたが---


「少なくとも…半径500メートル圏内にはいねぇ…クソッ…スマホがありゃ生存確認できんのに…」


ちなみにキョウのスマホは磁場にまつわる実験をしていたため実験室の外に置いてあり、今も持っていない。


「となると最初にすべきは現在地の緯度経度確認…ってここが異世界だとしたら緯度経度もクソもねぇな。つーかまずここは地球内なのか異世界なのか…気温は体感で26度…心地よいくらいだな…温帯か?というか今何時だ?俺はどんくらい寝てた?何で森にいる?」


様々な疑問がキョウの脳内を駆け巡り、キョウはそれを同時処理していく。


「とりま衣食住だ。衣と住は良いとして、問題は食料だな。森ん中に果物でもあればいいんだが…」


森の中を散策しながらキョウは思考をフル回転させる。ちなみに枝を折りながら歩いているため、同じ場所を2度通ることは無い。また、飲み水は彼の傍にさっきまで飲んでいたお茶のペットボトルがあったので何とかなっている。


「探索を始めて3時間ジャスト…収穫は無しか。気温が丁度いいのは不幸中の幸いだな。そして大体の時刻がわかった。今は午後9時半頃…そろそろ食べ物が見つかんねぇとやばい。」


彼が現在時刻を何となく掴んだ理由は自身にある体内時計と太陽と月の動きによるものである。ただし、データが必要なので現在時刻を把握するだけで3時間かかってしまった。ちなみに彼は今北に向かっている。北には人里がある可能性が高いらしい。


「方角は太陽の動きで完璧。だが、そろそろ暗いな。」


これ以上行動するのは危険だと判断し、キョウは野宿を決意する。


「するとやはり必要なのは’住’だな。まぁこれは既に作ったが。」


彼の視線の先には枝と葉で作った簡易的なテントがある。作成時間は30分ほど。つまり、現在時刻は午後10時である。


「明日の日の出は午前5時半頃。日の出直後に行動開始したいから、5時起きだな。辛い…」


キョウの学校はキョウの自宅の傍にある。よって、毎日7時頃に起きていたキョウにとって、朝の急な早起きは体に悪い。


「まぁ、んな事言ってらんねぇ状況だからな…とりあえず寝るか…」


簡易テントに入り、キョウは睡魔に身を寄せた。

---------------------------------------------------------------


「食 べ 物 が 無 い」


翌日の午前6時。行動開始から30分経過したが、昨日の夜から何も食べていないので、歩く気力も湧かない。ちなみにお茶も尽きた。


「マジヤバイ…人間は食べ物を3週間取らなきゃ死ぬが…あくまでも3週間()()()()()ってだけだ。行動できるとは言ってねぇ…」


ふらふらとした足取りで必死に思考を働かせる。その体に追い打ちをかけるように、ギザギザとした葉がキョウの体に当たる。


「痛…くわねぇが…クソ…そろそろ限界だぞ…………待てよ?()()()()()()?まさか…」


キョウはその葉をよく観察する。


「フリルレタスもどきだな。食えるといいが。」


レタスもどきを食べながら、キョウは思考を再開した。


「なんでこんなとこにレタスもどきが…そんな事気にしてる場合じゃねえけど…」



1時間後。

キョウはこれまでの常識を覆す出会いを果たす。


「人?それも…」


幼女である。金髪に赤のリボン。可愛いらしい幼女が、確かにそこに居た。


「お嬢さん、迷子か?」


声をかける。傍から見れば犯罪者予備軍だが、今は緊急事態だ。


「ううん。お兄さんの方が迷子なんじゃない?」


逆に心配されてしまった。だがそれよりも---


()()()()()()?」

「うん。だってここは私の’かつどーはんい’だもん。」

「活動範囲?」

「そーだよー。」

「お嬢さん、名前は?俺は泉 鏡。」

「私はルーミア。」


笑顔で返す幼女(ルーミア)を見て、キョウは1つの疑問を抱く。それは、


「なぁ、食べ物ってどうしてんだ?」


さっきまで自分が苦しめられた問題だった。その質問を聞いて、ルーミアはまっすぐこちらを指差した。

(俺の後ろの方にあるのか?)

一瞬キョウはそう考えるが、次のルーミアの発言に驚くことになる。


























「あなたは、取って食べれる人類?」


























「は?」


キョウの脳は拒否反応を起こした。幼女が人を食べる?有り得ない。しかし、ルーミアは口を開けこちらを真っ直ぐ見る。


その目は、猛獣が獲物を見るような目だった。


「ッ!?」


キョウは寒気を感じ、後ずさった。そして理解した。


(コイツは()()())


すぐに方向転換し、走り出す。その時、キョウの頭には1つの単語が浮かび上がっていた。


(異世界転移…)


幼女が人を食べる。これが現実にあるとするならば、その現実がそもそも異常だ。つまり、()()()()()()()()()()()()()。つまり自然と思考はわずかしか無かった異世界の可能性を有力なものにしていく。思考を働かせながらも、キョウはルーミアの魔の手から逃れようと、必死に走っていた。


「はぁっ…はぁっ…」

「待つのだー」

(高校2年生が全力で走ってんだぞ?!距離が開かないとおかしいだろ!)


振り返って幼女の姿を確認する。その幼女の体は---

地面から1mほど離れていた。


(飛んでる?!こんなん異世界確定演出じゃねーか!)

「いがいと速いのだー。でもにがさないのだー。」

(人生で初めて、重力下で浮いている人間を見た…しかも幼女…まさか、幼女がこんなに恐ろしいとは…)


幼女恐怖症になりかねない光景に、キョウは戦慄する。その時、幼女が手を振った。瞬間、黒い玉が空に大量に浮かび、こちらへと向かってきた。


(当たったら死ぬ!)


キョウは頭の中で警鐘を鳴らす。予想通り、黒い玉が当たった木は真っ二つに折れていた。


(空中飛行に俺と同程度、もしくはそれより速いスピード、それに遠距離への攻撃手段…)



























あれ…これ詰んでね?

泉 鏡【死因:人喰い幼女に喰い殺される】

最悪だ。幼女にってところが特にこの世界の趣味の悪さを増幅させる。一部喜ぶ変態の層がいそうだが。


「追いついたのだー。これであなたも’わたしの今日のでぃなー’なのだー。」


黒い玉が眼前に迫る。


(避けられない!ヤベぇ…死ぬ…)


咄嗟に右手を掲げてガードするが効果は無い。死を覚悟したキョウだったが…


「いたっ!」


ルーミアの素っ頓狂な声に思わず…


「は?」


とこちらも変な声を上げてしまう。

それもそのはず…

ルーミアは()()()()()()()()()に当たっていた。

そしてそこには---

























「鏡?」


空中に1辺1mほどの正方形の形をした鏡が浮いていた。

次回主人公の能力が分かります。(まぁすぐ予想できそうですが)

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