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東方水鏡華  作者: NOVE
STAGE 1:The Scarlet Devil.
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第5話 『科学と奇術は紙一重である』

遅くなってすみません。学校の行事が……あれ、その後テストじゃん…まぢ無理……病む……。


「幻世『ザ・ワールド』」


咲夜が最後のスペルカードを使用する。咲夜もこれで決め切るつもりなのだ。


(タイミングは、アイツが消えてすぐ!)


咲夜が米粒状の弾幕を放ち---消えた。


(今だ!!)


キョウは()()()に向けて黒い石のようなものを投げた。


「っ?!ナイフが...!?」


咲夜がキョウの真後ろから放ったナイフは、その黒い石に引き寄せられるように軌道を変えた。


「超強力磁石’ネオジウム’だ!!曲がりやがれ!!」


――――――――――――――――――――――――


時は、キョウが幻想郷に転移する直前に遡る。


あの時、キョウは何か使えるものが無いか必死で探していた。しかし、時計やスマホを取るには教室の扉を開けなくてはならない。そして、その扉は鍵がかかっていた。


よってキョウは、実験室にあるものを持ち出そうとした。

その時に見つけたのが、カエルを浮かす実験で使用した最強の磁石’ネオジウム’だったのだ。


ネオジウムによって鉄が含まれている金属製の物---つまりナイフが引き寄せられ、その結果、軌道が変わったのだった。


――――――――――――――――――――――――


(よし!!アイツの気を逸らせられた!!)


そしてキョウは次の手を切る。


(っ!?あの男は!?)


咲夜は我に返り、キョウがいた位置を見る。




そこには、誰も居なかった。


(後ろか.............!?)


咲夜の後ろにも、キョウは居ない。


(どこに行った?今の時間ではそう遠くには---)


咲夜は時間を止め、辺りを見回すが誰も居ない。


(一体どこへ...?)


咲夜は能力を解除し、手当り次第ナイフを投げる。

しかし、反応は無い。


その時だった。


キョウが突然、()()()()()()に現れた。


「会った時とは逆だな。」


キョウがニヤリと笑い、咲夜に向けて弾幕を---


「舐めるな!!」


放つ前に、咲夜は手に持っていたナイフをほぼ反射的にキョウに投げつけた。


咲夜のナイフはキョウの胴体に命中し、























パリーン、と音を立てて()()()()()


「……!?」


突然、キョウを中心として空間が割れたことに、咲夜は一瞬気を取られた。


その時---


「いや怖っ!マジでダミー作ってなかったら死んでるじゃん俺...。まぁ、とりあえず俺の勝ちな。」


()を握りしめたキョウが、咲夜の背中を取り、咲夜の頭に銃口を向けていた。


「なっ...!?」

「『なんで俺が生きてるか』って?そりゃ死んでねーからな。死んだのは鏡に写った()()()()だ。」

「!?」

「ついでに言うと、姿が消えたのは俺を鏡で囲って周りの背景と同化したからだな。ナイフは普通に避けるしか無かった。」


咲夜はキョウという人物を見誤っていたことを理解した。


(この男...私の行動を完全に読んでいた...この短い時間で...)


「いやマジ危なかった...。それで、俺の勝ちってことでいいのか?」

「ええ...。初めてです、こんな負け方...。」

「俺も死を覚悟したわ...最後周りにナイフ投げてきた時はビビった...」

「あれ、結構効果的だったのですね...」

「そらそうだろ。1発でも当たってみろ。音で種がバレちまう。」

「確かに、そうですね。」


すると咲夜は一呼吸置いてから、


「それじゃあ、お嬢様から『咲夜に勝ったんだったら、私のところまで案内しなさい。』と命令を仰せつかっているので、案内させて頂きますね。」


と言った。


――――――――――――――――――――――――


数分後。


「!!キョウ、無事だったのか!!それにソイツは...」

「魔理沙!!無事で何よりだ。コッチは十六夜咲夜。ここ、紅魔館のメイド長をしているらしい。俺は転移した後コイツと戦って、ギリギリで勝って、今黒幕んとこに案内して貰ってる。」

「やるじゃないか!!私は図書館の魔法使いと戦って、霧を解除出来たのぜ。んで、今黒幕を探していたところだぜ。」

「霧を解除出来たのか!?」

「ああ。霧を起こしていた魔法は既に破壊したぜ。まぁ...ちょっとやり過ぎたけど...」

「ん?何したんだ?」

「いや...ちょっとな?やばかったもんで開発途中のブレイジングスターを使ったら相手が瀕死になっちまって...」

「何やってんだお前ぇ!!」

「仕方ないだろ!あれ使わなきゃ負けてたのぜ!」

「だとしてもだろ!」


そんな口喧嘩をしていると、


「着きました。ここが、お嬢様のお部屋です。」


黒幕の部屋に着いてしまった。


「霊夢より早く来れたな…。」


もしかしたら霊夢があの門番を瞬殺してとっくに黒幕のところにたどり着いているかもしれないとキョウは考えたが、どうやらそんなことは無く、キョウと魔理沙が1番手の様だ。


「よっしゃ!!さっさと終わらせるぜ!」


魔理沙が部屋に入る。キョウもそれに続いた。


(部下でこんなに強いんだ...黒幕はもっとヤバいはず...)


――――――――――――――――――――――――


「あら?来たのね...?博麗の巫女じゃないの?」

「霊夢はまだだぜ。先に私達の相手をするのぜ!」

「そう...良いわ。かかって来なさい。」


そこに居たのは、黒幕と呼ぶには幼すぎる少女だった。しかし、少女の歯は尖っている。


「吸血鬼...!」

「あら?もう一人居るじゃない。」

「お嬢様。その男は、私が負けた者です。私が連れてきたのは、こちらです。」

「!!そうなのね...咲夜が...。どうやって咲夜を倒したの?」

「自分の能力をやすやすと教えるバカがいるかよ。」


キョウがそう言った瞬間、


「お嬢様。この男の能力は、鏡です。」


咲夜が速攻でバラした。


「おいいいい!言うなよ!空気読めよ!」

「私の心は、常にお嬢様に。」

「あ、ダメだコイツ。」


キョウがそんな事を考えていると、突然少女が口を開いた。


「レミリア。」

「あ?」

「レミリア・スカーレット。それが私の名前よ。そして、私の能力は、『運命を操る程度の能力』。残念だけど、貴方達が勝つ運命は見えないわね。私を倒す可能性があるとすればただ一人---博麗の巫女だけよ。」


(言い切りやがった...それになんつったコイツ?『運命を操る程度の能力』?やっぱ時間停止よりもチートじゃねぇか!そんなヤツが「負けるかも」なんて言わせる霊夢って...マジでヤバイんだな...)


「舐められたものだぜ...と言いたいが、相手もかなりの実力者だぜ。油断するなよ。」

「分かってる。」


キョウと魔理沙が話していると、レミリアが、


「さて、どちらから敗北を知りたいかしら?」


と言った。


「魔理沙、俺にやらせてくれ。」

「?勝つ算段でもあるのか?」

「ああ。奥の手がある。」

「!あん時の!」

「そうだ。だから、まずそれを確かめたい。だから、先にやらせてくれ。」

「...。わかったのぜ。正直、今の私じゃヤツの相手は厳しいのぜ。頼んだのぜ。」

「了解。」


キョウは短く答えると、


「こっちも早く帰りたいんだ。早めに終わらせようぜ。」


と言い、それにレミリアは、


「ええ。今夜は月も紅いし、本気で殺すわよ。」


と、返した。


紅魔館での最後の戦いが、始まる。

ホントのことを言うと時止めの攻略大変過ぎて時間かかりました。すみません。霊夢の登場は何時に……。次回、レミリアと対決。

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