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■ 04 衣食住は衣類から

 カルラとの濃厚な一夜が明け、朝からべろちゅー攻撃をくらい半分涙目な俺です。おはようございます。

 昨夜はお楽しみでしたね。とか言われたら冗談抜きで半殺しにしようと心に決めた。

 ドラゴニアン達は俺の腕に嬉しそうに絡みつくカルラを見て、俺に羨望の眼差しやら好奇な視線やらを向けて来た。

 俺はそんなものを浴びながら非常に気まずい思いをして朝日を拝みに行った。

 そして、とりあえずプリマの側にある泉に向かう。

 まず顏を洗わせてくれ……風呂は無理でも水浴び的な何かはしたい……

 いや、カルラの舌が臭かったわけではなく……ほんのり唾液の臭いがなんかアレなんですわ……

 朝からテンションは低かったが、カルラが嬉しそうに左腕にくっついているので困ったものだと苦笑い。

 そんな離れているわけでもないが、草原にある田舎道とは程遠い、鬱蒼とした草の森!獣道のような両脇は草の壁!

 俺より背丈が高い草原が広がっているが、危機感はあんまりない。

 まだ襲われたことはないが、たぶん恐竜クラスに噛まれても、恐らく牙は防げるレベルに魔力を纏って移動しているからだろう。

 当然、カルラも包み込んで一緒に歩いているわけだが、最初は見えないためか動揺していた。が、俺に守ってもらえていると思ってくれたようで、今は安心してくっついている。


「まだ寝てんのか……まぁ久しぶりに起きてはしゃいでたって話だしな」

「ウゴイテル。ヒサシブリ。ミタ」


 ドンだけ寝てたんだこいつ……カルラの驚きの暴露を聞きつつ、泉の水で顔を洗ったりして、カルラも俺のやってることを見様見真似で身体に水をかけていた。

 ドラゴニアンって風呂に入るとかはなくても、川で水浴びとかのイメージだったんだが……そんな習慣をまだ見ていない。

 ひょっとして舐め合うのが日課か?いや、あの舌で毛繕いは無いなと思いとどまる。

 とりあえずプリマの祠(ゴミ置き場)に赴き、持てるだけの毛皮をカルラと一緒に持ち出した。

 正直いくらでも魔力ハンドで持てそうだなと思ったが自重した。






 さて、どうせなら泉の近くに拠点を構えたい。

 洞窟生活も並行して生活用品を充実させたいと考えていたが、とにもかくにも服ですわ。

 慣れたせいもあって、ちょっと目のやり場に困る俺だった。

 付いてるおっぱいが目につくわけです。みんな付いてるけどさ!

 性的興奮ではないのは主張しておきたい。現代羞恥心の生理的な見解であり、俺の正常な理性を保つためでもある。

 何言ってんだろうなと考えつつ、素っ裸のカルラに毛皮でシャツっぽいものやらスカートっぽい物やらを作って着せてみた。

 魔力ハンドで革の紐を作り、毛皮にドリルで穴をあけるだけで簡単に作れる代物だ。

 胸の方はカップ付きブラをイメージした、シャツっぽい簡素なものだが、裏地は魔力ハンドで形に合わせてカップを作り滑らかに加工。

 乾燥しきった革は硬すぎて普通なら加工出来ないと思う。この力をあえて魔力としているのは理由がある。

 ある程度俺の思い通りに近い効果を反映してくれる気がするからだ。理想的な物にはならないんだけどな?

 未知の力だが俺に都合がいいなら最大限に使うのみ!

 で、後ろで軽く縛り上げてやる。


「痒くないか?痛いとこあったら加工するから言ってくれ」

「ア、アリガト……ココトコノヘン?」


 まぁチクチクするだろうな……微調整に大分時間がかかったが革の加工に慣れてきた。

 もちろん魔力なし加工するなら、数日かかるだろうってレベルのことしてる自覚はあった。

 あ、ついでに下駄みたいなサンダルも、今どきのサンダルみたく再加工しよう。環境を考えればブーツ系の方が安全だが、靴下が無いので靴っぽいものにすると足が匂うだろうしなぁ。

 ドラゴニアン達にはサンダル系は必要なさそうだが……コンバットブーツみたいなのが作れたらいるかな?

 カルラと話しながら今どきのサンダルモドキを作っていたら、服を着たカルラを見た他のドラゴニアンが、雄たけびを上げる!と、同時に一斉に集まって来た!


「「カルラ!スゴイ!」」

「「「スゴイ!」」」

「「「「「「キシャアアアアアア!」」」」」


 まて、キシャアアアアってなんだ!凄い事なのか⁉

 俺はかなり動揺した後、期待の視線を寄せる母親の方にも似たような服を作ってやった……めっちゃ喜んでた!

 そして俺はドラゴニアン女性陣のおっぱいを丁寧に採寸した。おっぱいのはずなのに興奮しなかった事を誉めて欲しい。理由は聞くな。

 女性陣の毛皮服を作り終わった後、男連中には俺のように腰巻スタイルを序列順に作ってやった。

 泣いて感動された挙句に崇められた!

 革の加工も単純な事なんだが、紐を通す穴を空ける事自体が初めてみたいな感じだった。

 たぶん力任せに切り裂いてきたんだろうな……拾ってきた毛皮達は変に割かれた跡が結構あった。

 この毛皮もいろんな種類があるが、丁寧に鞣されたものは一切ない。偶然綺麗に剥げたもの以外は大体バリバリに乾ききった硬いものだ。

 本当は布が欲しいんだが……見当たらんかった。当然のように無いものとして行動している。

 そして男性陣を引き連れて狩りの話を聞いてみた。

 片言のやり取りは非常に疲れたが、要約すると待ち伏せが主体。

 強靭な爪と牙を持つドラゴニアン達に襲い掛かられたら、獣は太刀打ち……出来そうな角も牙もあったな、あの兎……

 と、いう事で武器のようなものは後送りにしようと思った。

 今までの狩りスタイルに口出しするつもりはないが、簡単な罠を説明してみた。

 穴掘って追い込む方式と、誘い出す囮方式だ。

 地面に絵を描いてやると凄まじく喜んでいたが気にしない。彼らの純粋な眼差しが痛い。

 カールとトラープも頭が良いのだろう、感心したように頷き合っている。

 とりあえず二人の指示で場所を決め、俺が大きな穴をわずか数十秒で掘ってやり、ドラゴニアン達が驚き、俺を崇めるまでが1セットだ。いつかやめて欲しい。

 初めての罠を慎重に吟味しているようだ。当然穴の底には俺が加工した鋭利な石槍が何本も突き立てられている。

 長さは金属バットくらいあれば十分だ。罠用だから頑丈かつ鋭利さが必要だ。毛皮は穴だらけになるかもしれんが加工するので問題なし!

 ただ、ドラゴニアン達にはその恐ろしさが理解できている者はあまり居ない。

 落ちた勢いで突き刺さる事がわからないのだ。

 ので、実際に理解できている者に追い込んでもらおうと提案。後は高台で見学。

 昨日の兎共がドラゴニアンを親の敵と言わんばかりに襲い掛かっているのが見えた。あれ食ったのか……恐ろしいわ!

 なるほど……アレを狩れるカールは相当尊敬されるだろうなと感心している俺だった。猛獣ですわ!






 囮役のブービーは足には自信があるようで、スリルを楽しむかのように3匹に追いかけられていた。

 結果は御覧の通り。見学者たちが罠を使うという事を覚えてくれたかもしれない。

 絵図らが非常にグロテスクだが、簡単に罠にかかってくれた角兎たちを引き上げる方が大変だった。

 なるほど。ロープや運搬技術そのものがない。武器という発想もなかったが、必要なものは腐るほどあるな……実は結構楽しんでいる俺だった。

 俺が居なければ使えないような罠は意味が無いなと思っていると、カールやトラープから穴の改良案を出された。

 正直言って嬉しい。崇められるだけだと苦労しかしないからな!

 俺は嬉々として提案を受け、彼らの望む穴に坂道や階段。石槍の位置などを再設置。

 ついでにブービーが槍を欲しがったので手持ち用に作ってやった。

 そこからが男性陣の本領発揮!ブービーが槍を掲げ自慢した瞬間にカールとトラープが俺に跪く!


「「ワレラニモ!」」


 あ……はい……断れなかった!

 総勢12名の石製の槍。武器を持ったこの世界初!かもしれない部族がここに誕生した!とか、脳内で実況しつつ、動画撮りたかったなぁとか思いながら槍の簡単な使い方を説明してやった。

 実際に突き刺さるのを見ているから大した説明はしていない。

 本当なら石剣とか切れるタイプも用意できるんだが、まだ危ない気がする。

 切り割かれた傷を塞ぐ方法が今のところ不明だ。どうやって治すのか?こいつらも魔法チックな何かを使うのだろうか?

 まだまだ俺の知らないことが多すぎる。

 まぁ最後はプリマ頼みで良いんじゃないだろうか?簡単に考えていたのは内緒だ。

 男性陣の帰りを待っていたかどうかはわからないが、ファッションショー的な事をしていた女性陣は慌てて出迎えてくれた。

 そんな単純なもので申し訳ないな……もっとちゃんとしたもの作るから我慢してくれ。


「ウサギ!肉!」

「ああ、また塩作るから海水汲んできておいて。あとブービー!石槍自慢しすぎ!」


 3人の女性に俺凄いアピールしてたブービーを苦笑しながら宥め、俺は女性陣に草の編み物を教えようと思った。

 籠がない。木で作ってもいいんだが、草編みは布の原点と言ってもいい。

 俺の知らない編み方とかいっぱいある。ので、ドラゴニアンにそれを編み出してもらおう!という算段だ。

 まぁ大分先だろうけどな。そんなに急ぐ必要はない。俺の寿命は長そうだし……

 ただ、ドラゴニアン達の寿命ってのは不明だ。見た感じの年齢で言えばリーダーのカールですら40歳も行ってないんじゃないだろうか?

 年寄りがいない……弱肉強食の世界で衰えた存在はどうなるのだろう?

 あの凶悪な兎ですら雑魚なのだと帰りに聞いた。

 生きるってだけで大変な世界なんだな……俺の危機感やら恐怖心は何処に行ったのだろう?早く帰ってきて欲しい。






 さて、取り出したるは石のナイフ。草はもちろん野菜も果物もサクサク切れる。

 あと、造型にも拘った一品だ。握り手には布か革を巻きたいところだが、材料がない。悔しい。

 ので、簡単な鞘を木材で作り、握り手は木の皮を巻き付けて完成とする。

 まさかコレを20回繰り返す羽目になるとは思わなかったがな!糞がっ!

 もちろん自分用と最初の方に作ったヤツの作り直しを省く。

 そして始まるナイフ講座!絶対誰か指切るだろと思っていたが、予想以上に慎重に扱ってくれるので違和感がある。


「切れ味は使えば使う程落ちてくるから、砥石っぽいのでちゃんと研ぐんだぞ?」

「アイ!ワカリマシ!」


 うん。良い返事に聞こえる……最後まで言って欲しいが無理強いはしない。

 そして理解力があり、道具という扱いを真剣に学ぼうとしてくれている。

 後から知ることになるが、プリマより俺の方が凄まじい力を持っている神様的な存在だと認識していたらしい。

 そんな超常の存在から賜った品物だ……そりゃ大事にするってなもんだった。

 ちなみに教えてくれたのはカルラだが、どこでどういう風に俺に伝わったかは正直言いたくない……俺にだってプライベートくらいあっていいと思います!

 という未来の話は後に回す。






 何故か言う事を素直にというか、実直に聞いてくれるドラゴニアン達に丁寧に使い方を教える。生徒が優秀なので先生とても楽です!

 とか、脳内劇場で遊びながら一応全員が理解できたようだ。

 ちなみに一番若いのが1歳の男の子と3歳くらいの女の子が別に居て、この部族の正式人数は男が13人、女が9人となる。

 血の繋がりというか家族的なのはカール一族3名、ブービー一族6名、トラープ一族6名。

 女性のリーダー的なカーリーはカール一族だが、もう一人レスタというスレンダーナイスバディな姉さんが居る。

 もちろんレタス的な野菜から付けているが、一応彼女らが野菜や木の実。果物系に携わっているからだ。

 何処かしらからむしり取ってくるのだが、自生してる野菜ってのは見つけにくい。芋もすぐに掘ってくる素晴らしい能力の一族だ。

 ので、種芋用にいくつか確保している。今後農業も頑張ろう。

 と、レスタ一族は7名の大所帯だが男性の方がレスタに敵わないようだった。

 そりゃ食い物握られてたら敵わんよな。と、勝手に納得してた。

 料理というものがまだ理解できてないようだったが、切り分けという技術を直ぐに理解し、鍋に入れるという事も直ぐに理解してくれた。

 俺の石鍋を更に丁寧に加工しなおしてプレゼントしたら股を開いた!コラ!君は旦那が居るだろうが!

 ちなみにカルラが必死に股を閉じさせ追い返していた。ありがとう!大好き!

 群れのリーダーたるカールの娘。カルラは一族の姫様扱いだったようだが、俺からすれば女性陣は上下関係らしき習慣は見当たらなかった。

 が、女性陣も序列は大事ということで、石板的なものに魔力ドリルで落書きメモをしておいた。

 一位がカルラと母親のカーリーママで同列、3位レスタ姉さん、4位キャロ嬢、5位マロン嬢、6位セローはブービーの嫁。7位はピーチでトラープの嫁。末席がライチで一番ナイスバディ!

 レスタの旦那さんがアスレでライチの旦那がチック。合わせてアスレチック!

 二人の夫婦の子供にも後からちゃんと名付けてあげた。3歳の女の子がパーシィで1歳の男の子がシモンだ。

 桃栗三年柿なんとか!本当に俺って適当に付けてんなぁと思い返す。もちろん気に入らなかったらいつでも変更できる。

 俺は修正が出来る男!まぁ今更法律とか拘る必要はない。戸籍修正何時でも受け付けます!

 カルラと仲が良いのはマロンで大体同い年位に見える。若干カルラの方が妹っぽく見えるが、実年齢は定かではない。

 正確な年齢や誕生日なんかはもうちょっと先送りにしておこう。

 そもそも今、何時で何時代なんだ?俺の疑問はプリマのみぞ知る……







 肉を捌くのは女性だが、解体作業は男の仕事!みたいな仕事の割り振りをカールとカーリーに任せて俺は塩作りに精を出す。

 アシスタントにカルラとマロン。そしてレスタ女性陣一同だ。

 作り方を簡単に石板に掘る。もちろん俺の画力は……実は自信があったりする!

 伊達に漫画で育ってないんだぜ?なんて思いつつ、何処かの棒人間で分かりやすく石板に彫っていく。

 とても簡単に魔力ドリルで彫れるのでありがたみがない!

 ドラゴニアン達から謎の賞賛を与えられつつ、一連の流れを彫り終えた。

 所要時間わずか3時間ほどで!かかったのかかかってないのかは不明だが!

 ちなみに漫画の1ページを仕上げるのに必要な時間は1日以上かかると言われている。

 実際に書いたら分かるが、それ以上の時間がかかると思う。書き込みの量次第なので、俺は結構時間をかけた方だと思う。

 もちろん話しながら、教えながらだからの作業だったが、カルラは当たり前のように最速で作り終え、レスタとマロンなんか俺が石板仕上げる前に塩作れてたしな。

 優秀過ぎて草生える!

 あ、草編みも彫っとこう!聞かれれば当然教えるし、編み方書いとけば誰でも作れるしな。

 そして肉を解体してきた男性陣が戻り、昼間っからプリマの前で焼肉パーティーだ!


「うーまーいー!流石ベルゼっ!私の神様っ!」

「焼き出したら起きやがって……ホント都合良いなぁ……まぁいいけどさ♪旨いわ!」


 今日は罠狩りで大量に肉がある。

 血抜きの方はカール達に任せていたが、俺がやってた処理を見様見真似だと思うがちゃんとやってきたようだった。

 ただ、ちょっと生臭い肉もある。手抜きではないんだろうけど、後でカール達と勉強も兼ねて教えておこう。

 何故そうなるのか?という事が実体験と重ならないと学習にはならない……と、思っていたりする。

 それはそうと気になるのは大量の毛皮だ。今頃川に漂っているのだろう……ちょっと見てみたい。

 とは言え、この肉の量でどれぐらい消費するものなのかは不明だ。

 大体どれぐらい食うのかわからんから俺も悩みどころだ。余ったら干し肉でも作ってみるか?

 保存食は必要だろうし、何よりこの世界の気候すらわからない。夏は何度まで上昇するんだ?冬は雪が積もるのか?

 やりたいことは山ほどあれど、やっておかないといけない事も多すぎる。


「あー……楽しいわ……こういう事したかったのかもしれないなぁ……俺」

「んふー♪嬉しいっ!ベルゼの本心だから私も嬉しいなっ♪」

「ああ、ありがとう。あと、こいつら素直で嬉しいわ♪」


 肉体言語必要ないもんな。まぁ今だけだろうなとは思っている、これから先は揉め事も頻繁に起こるだろう。

 道具を手にした彼らは優劣が必ず発生する。そして武器を与えたことが更なる争いを産むのは間違いない。

 だがしかし。俺の快適な生活の為だ……君らは俺の実験の被験者なのだ。あきらめてくれ……うへへへへ。


「何考えてんのこの人……プフっ!」

「俺の脳内劇場を勝手に見ないで欲しい。あと食いすぎ!」


 消費総量の計算が出来ん!

 プリマとギャーギャー文句を言い合って楽しい昼は終わりを告げた。

 ホントプリマと喋ってると楽しいわ。






 再び狩りに男性陣が向かい、女性陣は塩作りに精を出していた。

 強制はしていない。旨いもんなぁ塩と脂は!

 だが、獣の脂はあまり余らない……なぜならこいつら余さず食う!舐めとる!

 おかげで蝋燭というものはしばらくお預けだ……獣脂は臭いが凄いからまぁいっか。

 で、とりあえずよさげな木を探す。いい感じの皮が剥げれば何でもいい。

 俺はそこまで詳しくないのでカルラに大丈夫な木はどれか聞いてみる。


「コノキハダメ。カユイ。イタイ」

「なるほどな……かぶれるんだろうか?これは?」


 なんて感じで二人で森を探索中だ。イノシシぽいヤツでもいれば狩るんだが、そういうのはもう少し奥に行かないと居ないようだ。

 とりあえず欲しい素材を多めに集めて直ぐに帰る。近いので全く困らない!


「というわけで!その辺の草で作るロープ的な物を作ります!紐も欲しいしな」

「「ろーぷ?」」


 ドラゴニアンの姫様(たぶん)ことカルラとそのメイド的(妄想)なマロンを相手にアホな実演を開催中。

 一緒に実演しながら草を掌でくるくる擦り合わせて擦って馴染ませる。

 何度も繰り返していると二人は理解してくれたようで真似している。遊んでいるわけではないが周りも何やってんだ?みたいな感じで感心は持ってくれているようだ。


「紐状になった2本の端、1か所を結んでまずは片方捩じる。片方を捩じり終えたらもう片方も捩じる……千切れないようにギリギリのラインを責める」

「フンフン。コウ?」

「カルラもマロンもちゃんとできてるな。そしてここから結び目を根元にして2本の捩じった草を1本に丁寧に捩じって行く……最後に結んで1本の草紐の出来上がり!」


 その辺に生えてる草は1メートルは余裕で超えている長さだ。

 なので、割と簡単に長い草紐が作れてしまう。更にこの草紐を大量に作れば丈夫なロープも作れるだろう。

 材料がタダ!いくらでも生えてくる無限の資材だ!一応有限ではあるのだが、これからの消費量を考えても気にする必要はない。


「捩じり方も色々あってな。専用道具を作ればスピードはさらに上がるけど、今は手作業で基本を学んでくれ」

「アイ!コレガヒモ!」

「ヒモ!」


 なんて素直で純粋な子たち……おじさん泣きそう!若返ってるはずなのに精神はたまにおっさんに戻る。ほっとけや。


「紐は更に太く捩じれば丈夫なロープになる。大きな獲物を括って担げるし、果物とか結んで干したり用途はいろいろあるぞ!」


 流石に草鞋とかの複雑な編み方はわからんが、似たようなのは作れるようになるかもしれない……ドラゴニアンが!


「ロープ。シバル……ナルホド……」

「カルラ!コレミテミテ!」


 仲良さそうにお互い作った紐を見せ合ったり変な結び方をしたりして遊びだした。

 塩作りが終わった女性陣も加わって、紐を作ったりして遊びながら各自いろんな工夫をしだした。

 そんな彼女らの隣で、俺は2メートルくらいに切った木を幅1センチくらい。厚みは1ミリ以下に魔力ハンドで薄く切った。

 正直、籠を作るなら竹が欲しかったが、素材的には……コッチの方がいいかもしれないなぁ。

 魔力ハンドさえあれば加工に困ることなど何もない。複雑すぎるものは面倒なだけで再現できないわけではない!

 しかーし……落とし穴はある。防腐処理とかがわからん!

 ホームセンターに行けば何でもそろうこのご時世!防腐剤やら塗料やら。木材ならニスが欲しいがニスってなんだったっけ?

 原材料がわからないものはどうしようもない。俺の知識は広く浅い……流石にこの辺は未来に託すしかないな……

 なんてことを考えながら俺の知ってる籠の編み方を実演。


「これをこうして……あれ?こーだっけ?」


 俺が試行錯誤してる横でカルラとマロンが興味津々で覗き込んでいた。

 中学校の頃だったかな?林間学校の記憶を頼りに無骨で歪な籠をなんとか作り上げた!


「思ってたのと違うな……あれだぞ?もっときれいに作れるんだぞ?」


 言い訳する残念な大人は何処にでもいる!俺だ!


「ヤリカタワカッタ!ヤッテイイ?」

「ワタシモワタシモ!」

「いいぞ!材料ならもっと用意するから他にも作りたかったら真似してたくさん作ってみてくれ!」


 カルラとマロンが食いついたので周りにも声をかけて俺は快く材料を渡す!

 別に売り出す為じゃないし、何より作ったものは自分の物になるのだ。

 しかも結構楽しいし、何より面倒な素材集めと加工をしなくていいのが功を奏したと言えよう。

 そして、ドラゴニアン達の日常を大きく変える出来事は、俺の知らないところで急加速して行った。

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