EP99 オーダーだ保毛坂48!ルルシア帝国を見つけ出せ!
______レイジーは、アデリアやレイラン、ロイヤル四将軍達を気にしながら、確認したい事があると言って、亜細亜周国の八人が横たわるテントから離れて行った。
=レイジー通信Open=
=みんなついて来て=
=了 OK かしこ ラジャ=
レイジーの後をバニラアイス、桔梗、Reno、ジョーが無言で続いて行く。
遥か東方の迫害された王族貴族の令嬢を保護したと言う彼女達だけを連れて行くのは、誰の目から見てもおかしいと映った。
「俺達に言えない相談か......奴は何者なんだ? よく考えれば、奴の周りは美少女ばかり。なんとも羨ましい限りなことよ」
バーモンでさえ疑問に思うのだから、偽妻のアデリアにしてみれば尚更である。
「おいレイジー、妻のあたしを置いて行くのか? 新婚夫婦だろ」
「あぁ、すまないアデリア」
「ふん、本当に妻だか怪しいものだ。このレイランが必ず本妻になってやろうではないか」
レイランは女の勘で、二人の結婚は怪しいと感じていたのだ。
「なにをレイラン! この世にも珍しいニッケルの指輪が動かぬ証拠! あたしとレイジーの愛が偽装だとでも言うのか!」
ビンゴ!
「へぇ~gisouなんだ」
元アサシンのアエリアも、その言葉を聞き逃す筈がない。
「あんた達は! チャンス到来!」
ギク
アデリアの結婚が怪しいのは、その態度で分かってしまう。アデリアは嘘をつくのが苦手なのだ。
「どうした? その油汗は」
「違う! これはだな 水だ」
「「水?どうだかな!」」
______レイジー達2人と3体が、やがて誰も居ない広場に出ると、レイジーは自分の思いを伝える。
「その前に盗聴や尾行はないよな?」
「主様、なんの反応もない。Ai-myuのセンサーを騙せる者などいないのです」
異世界の魔法には気配隠ぺいがある。しかしAi-myuにかかれば、そのような小細工は通用しないのだ。
「そうか。ならみんな訊いてくれ。一刻も早くルルシア帝国の核を無力化しなくては、この異世界エスタリカ王国が壊滅する」
今レイジーは焦っていた。事は一刻を争う状況なのだ。
戦力の増強______その為に保毛坂48を起動した。だが実際のところ聖母マリア様村で、彼女達を遊ばせておく必要はない。
「私はルルシア帝国の発見を最優先とし、聖母マリア様村から12体を呼び出す。残り35体は村の警備だ」
それを訊いたバニラアイス、桔梗、Reno、ジョーは同じ疑問を抱いた。
「「ご主人様ぁ、兄貴ぃ、御屋形様、下衆様」」
なんだ?
「Renoを除いた47体から、どうやって12体を選ぶのでしょうか?」
桔梗がまず口を開いた。
「うん、それならもう決めてある」
そう?
「でもさ主様ぁ、残された35体の不満が爆発すると、バニラちゃんは思うんだけど?」
レイジーは恋心を全く理解していない。もめたとしても、それは48の忠誠心なのだと信じて疑わない頓珍漢野郎だ。
それが大きな災いとなる事を、如何に天才レイジーでも見抜けなかった。
「では呼び寄せる12体を発表するよ」
レイジーは口頭で、厳かに12体の名を告げる。
「スーリア、フォーリン、十蔵(女性型 桔梗配下)郁恵(Renoの補佐)ニャーゴ(Renoの補佐)、唐十郎(女性型 桔梗配下)、ロミー、トゥーレ、イータ、シオン、ローサ、イアの12体だ」
48体にはそれぞれ個性がある。顔が異なり性格も違うが、それをレイジーはちゃんと知っているのだ。
「うむ、剣術に特化した十蔵と唐十郎を選択したのは、流石に御屋形様だ」
抜刀術を得意とする桔梗は、レイジーの選択に賛同する。
「郁恵とニャーゴが私の配下ね。まぁ納得するわ下衆様」
それはレイジーが、戦力と性格のバランスを考えた結果だったのだが______
そこで一つの疑問が沸いた。口にしたのは、またバニラアイス。
「でもご主人様ぁ、探索する12体はジェットパックで探索させるにしても、どこに住まわせるつもりなのさ?」
バニラアイス達は人間と思われているが、流石に12体が増えた説明が厄介になり、もうどこかの迫害された貴族という手は使えないだろう。
「ふん、それは心配無用、ちゃんと考えてある。ハメリア合衆国のシャトルを、こっそり借りてこの森のどこかに隠すのさ」
亜細亜周国のシャトルは破損が激しいし、ロイヤル四将軍達にも見られていて、12体の寝ぐらには使えないからだ。
これは強引で無茶な話なのだが、事態は急を要する。バニラアイス、桔梗、Renoの能力は凄い。しかし一緒に行動させるアデリア、アエリア、ワイバーン部隊の探索だけでは不安を感じたからで、探索隊は多い方がいいと判断したのだ。
「下衆様、私はその選択に大きな問題があると思う。仮にもAi-myu48、奴等の忠誠心とホニャララは我等にも迫る。黙ってその選択に従うとでも?」
「ホニャララ?」
「そうです鈍感なのに眼福好きの下衆様」
眼福とは、ジョーの120度大股御開帳を見た時、よく口に出ていたアレ。
Renoの指摘は当たっていた。
「いや、探索と村の警護はどちらも重要だ。保毛坂48なら問題はない」
「バニラちゃんは嫌な予感しかしな~い」
問題はない!そう言い切ったレイジーは、バニラアイスに命じて、選抜12体の名前と目的を送信させたのだった。
______その5秒後______
聖母マリア様村に爆弾が落ち、雷鳴が鳴り響いた。
はたから見ると、kanna、farz、nikoが突然、狂ったかに思えた。
同時に選抜されなかった残り32体も、同じように天を仰ぎ、地を叩いた。
「オルガ隊長、あのいつもの3人はどうしたんでしょうかね......それにメイドが大勢増えてますけど?」
「私に訊くな」
「こりゃ集団ヒステリーかもな。しかしどこから沸いたんですかね、あんな美少女が一杯」
ギャ―!!なんじゃこの指令はぁ!! こんなの納得できない!!
やったぁぁ!!
レイジー様ぁ 愛してますう!
キャイ キャイ
聖母マリア様村に残された47体は、歓喜する12体と般若と化した35体が、罵声飛び交う混乱状態に突入した。
「この私......レイジー様に身も心も捧げたKannaが外れるなんて! 私は捨てられたの」
およよよ
「そんなのniko farzも同じよ!」
この3体は、レイジーにより早期に起動したのだ。それは主様に認められたからこそと自負し、無常の喜びだった......にも関わらず。
「なんで新参のスーリアにフォーリンが!」
「「そうだそうだ! もう仕事なんて! こうなったらハンガーストライキよ!!」」
一方、選ばれた12体は歓喜の涙で飛び跳ね、早速ハメリア合衆国のシャトルを拝借(盗む)する行動を開始した。
「主様の愛は絶対。私達12体はその愛の戦士に選ばれたの。あ、アンドロイドにハンガーストライキは無意味ではなくて? kanna」
あははは
もういこいこ
スーリア達12体は高笑いを残して、スキップしてその場を去っていく。
「ぐぬぬ、おのれスーリア!こうなったら私達も主様の元へ!」
kanna、Farz、nikoは捨てられた子猫のように、わんわんと泣きわめき、そして激怒し呪詛を吐きまくっていた。
「でもkanna、主様は聖母マリア様村を守れと」
「うん、分かってる。またあのガッジーラみたいなのが襲ってきたら、私達が主様の作ろうとしている村を守らなくてはいけない」
「そういう点では、私達も頼られているんだよ」
「48が35体もいるんだから......なんとかなるわね グㇲ」
niko、farzも自分に言い聞かせるように納得させるのだった。
「「「糞主ぃぃ~!!!」」」
______ゾゾ
「なんだ? 今悪寒がしたぞ」
バニラアイス達には、Ai-myuを通じてkanna達の感情が伝わっている。それを知らないのは、レイジーとジョーだけだ。
「ふ、やはりな」
「なにがやはりなんだ? 桔梗」
「知らぬ方がいいと言うことです 御屋形様」
「とにかく私達だけでも、ルルシア帝国の探索をしましょ。下衆様」
選ばれた12体が到着するまでは時間がある。
バニラアイス達は、バーモン将軍のワイバーンに乗り、探索を開始する事にする。
ただ核ミサイルの件は、地球人が魔法を理解出来ないように、話しても異世界の人間には理解出来ず、とても危険な爆弾程度にしておいた。
______「ふむ、お前の話は理解した。まず敵の所在を探る為、我等の力を借りたいと言うのだな」
第一軍団将軍メビウス・フォン・ブラッケンは、重く威厳のある声でレイジーに問うた。
もともとエスタリカ王国を守るのが、ロイヤル四将軍の務めなのだ。これを断る理由がない。
「ふむ、ならば我がワイバーン部隊の出陣と言うワケだ。腕がなるぜ」
腕を回して筋肉を自慢するのは、バーモン将軍だ。
探索にワイバーンを借りるのは問題ない。しかし誰が誰とワイバーンに乗るかが、早くも争いになった。
バーモン・カットラー将軍は、単騎でもよし。
「はん、ならばレイジーとあたしがペアを組もう。それが夫婦と言うものだからな。もはや異論はあるまい?」
「アデリア、あなたさっきGisouって言ってなかったかしら?」
ギク
「黙っていてあげるから、ここはレイランに任せなさいな」
むぐ
「いや、私も訊いたんだ。この私アエリアが、レイジー様と騎乗するのがベストな選択。私もセイミ―を殺した黒幕をあぶり出したいからな」
もっとも義理の妹セイミ―を殺したのは、エスタリカ王国公爵ラーモン・ディ・パッドの企みなのだけれど、アエリアはレイジーと騎乗する理由をこじつけただけだったのだ。
女の騎乗を巡る争いが続くかと思われたが、終止符を打ったのはバニラアイスだ。
「私がレイジー様と騎乗すれば、問題は解決です。さ、早く探索に向かいましょう」
これが決定打となった。
「そのうさ耳の言う通りだ。事は急を要するのだ。異論は認めん」
うへ
第一軍団将軍メビウス・フォン・ブラッケンの一言に、誰も反論は出来なかった。
「では、騎乗するチームを発表する。呼ばれた者は、直ちにワイバーンに騎乗し敵の発見にあたれ」
強引にメビウス将軍がチームを編成し出した。
①リーダー=バーモン・カットラー将軍
②レイジーとうさ耳
「流石は将軍様!」
③赤フン桔梗とアデリア
「失敬な!これはチャイナドレスだ」
「あたしとレイジーは夫婦だ。貴様、離婚させる気か!」
④メイドとジョーとかいう女
「糞!いつかシメル! シャァァ~」
⑤レイランとアエリアとかいう女
「チィィ」
「後はバーモン将軍の配下で、チームを組む。以上だ」
この編成にはバニラアイス以外は大いに不満だった。
しかし今は時間がない。極僅かな手がかりで、それぞれがワイバーンに騎乗し、チッと言う舌打ちを残して、エスタリカ王国の空に舞い上がって行くのだった。
それを第一軍団将軍メビウス・フォン・ブラッケンは眺めながら呟いた。
「すまん。私は空が苦手でな。さて、私は王国の警護を固める事にしよう」
「では私もお供を」
王国槍兵、弓兵、補助打撃軍の第二軍団将軍グリーガー・ウルトフも空中戦は得意ではなく、ロイヤル四将軍はここで二手に分かれたのだった。
その情報がすぐルルシア帝国側に伝わったのは、闇組織の仕掛け人ブルーアの諜報員が齎したからである。
これを好機と見るか、全てはアレクサイ・ケツノアナコフ隊長に委ねられた。




