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EP104 <恋するパワーは奇跡の奥義?>


ゴゥゥゥ 

  ドドドォ 

   バァァァァァ


 ブレスを浴びた場所は、凍るピキィィなんて音はしなかった。そして完全なる無音だった。

実験室で-273は再現出来ても、地上で見るのはレイジーさえ初めての事である。


「ぐぅ冷気の余波だけで、この寒さは! 凍えるなんてものじゃない」

「ご主人様ぁ、大丈夫ですか?」


 アンドロイド組は兎も角、生身の体では極寒波の中で裸で晒されているようなものだ。

「これはさすがに......ならばレイジー、妻のあたしが......密着してあたため     」

   Gooon


最後までアデリアに言わせなかったのは、またもやバニラアイスだ。

音の正体は金ダライ。アデリアは頭にコブを作って昏倒してしまった。

 キュィィ~


______大怪獣バルゴンの最大の武器は、口から出るホースのような管から噴射する<極冷凍ブレス>。

 そのブレスが放たれた場所は、何もかもが沈黙した白い死の世界と化してしまう。それは-196度の液体窒素など、問題にならない程の凶悪さである。


 恐るべき事にその威力は、モーリンさんのAZD(アブソリュート・ゼロ・ドライヴ)と同じで、従ってモーリンさん自身、使いどころを選ばなくてはならない大魔法なのだ。


 ただ違うのは、<極冷凍ブレス>の効果範囲が、AZD(アブソリュート・ゼロ・ドライヴ)より狭い事だけ。


 それでも______

-273度の極冷凍ブレスは、物質を構成する原子運動を停止させてしまうので、

仮にモーリンさんがAZD(アブソリュート・ゼロ・ドライヴ)を放っても、バルゴンには意味をなさないのだろう。


 あの時、墓地に退避するバイソンの大将が、モーリンさんに止めろと言ったのは、大正解だった。


 ならば超高熱で攻撃したらとしたら、冷凍と高熱が相殺して無力化出来るのでは______と考えられるが、それは非常に危険な発想と言える。


 停止した原子運動に、膨大な熱エネルギーを原子に加える事は、徐々になら問題はないだろう。しかし急速に原子を揺さぶると、水蒸気爆発に似た<エネルギー相殺大爆発>が起きるのだ。(仮説)

 それは地球で換算すると、日本列島を壊滅させてしまう程の威力になるだろう。


 レイジーはその危険性を十分理解し、まずバルゴンの極冷凍ブレスより、物理シールドの無効化を優先したのだ。


 『シールドさえ無効化できれば、バニラアイス、桔梗、<保毛坂48>が、ブレスを吐かせない程の集中攻撃をして、超速再生する前に<最終奥義>で倒す!』


 レイジーの作戦は簡単に言うと、バルゴンのシールドを無効化した後、なんと総出の<タコ殴り作戦>である。

天才レイジーにしては、策とは呼べない作戦なのだが。


 それに今回もアデリアとルチア、アエリア、役に立つかどうかは不明なジョーがいる。

期待出来るのは、レイラン・ウイドウ第三将軍の攻撃魔法だ。

「ブレスを吐く瞬間なら、シールドは消えている! そこを狙えば勝機はある!」


______そのレイランをはじめ、桔梗、Reno、ジョーのワイバーンが、息を切らして到着した。

「御屋形様、桔梗とReno、只今参上!」

「なんでボクをのけ者にするのよさ!」

「着いたか、皆、それぞれバルゴンをよく観察するんだ」

 御意!

 ん?


 傍らで気絶しているアデリアを見つけたのはレイラン。

「アデリアはどうした?」

「はい、バニラアイスちゃんが退治しました!」


「......あらま、うさぎちゃんは過激なこと」

でへ。

レイランは、よくやったと言う顔をしてほくそ笑むが、この状況で、よく落ち着いていられるものだ。



________観察と言えば、スキャンを命じたkanna達の報告が来ていない。

「kanna、妙だと思った場所はあったのか?」

レイジーは、対バラゴンの攻略第一段階に移行したいのだ。


「極冷凍ブレスを吐き出す袋があります」

 攻略箇所があった!

レイジーは瞬時にこれを分析、回答を導き出した。


 「なるほど、ブレスとシールドのエネルギーは、同一の貯蔵袋から切り替えているんだ」

Aiが最も優秀なバニラアイスも、即座に攻撃方法の演算に移行、答えを導き出した。


 「ご主人様、シールドが消えた瞬間、モンスターの一番弱い所に攻撃をしましょう」

バルゴンの表皮は固く、沢山の刺まである。


 「どこを狙えばいい?」

 「喉の奥にある袋です」

「kannaが言ったところだな」


「ならばこの身の抜刀術が生かせるか!」

 やっと桔梗の出番があるかもしれない。

「それならボクの南友千葉拳の出番も!」


 普通、爬虫類の腹は動物同様、柔らかい。

それにバルゴンが極冷凍ブレスを発射する時、カエルのように喉の袋を膨らませる必要があった。


 今バルゴンは<保毛坂48>残留組35体と交戦中で、ブレスを上手く回避しながら、35体の誰一人欠けていなかった。

「よし」


「作戦を実行するのは今しかない」


 思い出されるのは、Kannaの超鋼ドリルミサイル。その二発は既に使用してしまっていた。


______「ふぅ、ここはやっとRenoの出番ですね!」


 Renoの両腕もKanna同様に、誘導が出来る超高速ドリルとなっている。違いはミサイルではなく、マジンガーXのように元に戻る事が出来る上に、プラズマ重核子エネルギーを纏わせて、貫通力を高める事が出来た。


「しかしこの状態では______早くバルゴンの腹を向けさせないと、この作戦は成功しない」


 それはその通りで、喉を狙うにもバルゴンを横倒ししなくてはならない。


「ではレイジー様、ここは私 ルチア・アルデールに任せて」

 え? ルチア 君が?


 傍らにいた、ギルドの後輩アイドル受付嬢のレイも、先輩ルチアの魔法を見られると思い、その瞳を輝かせていた。

「先輩、ガンバ!」


 ルチアは得意の浮遊魔法<ソアラ>で、バルゴンを地上から浮き上がらせて、その瞬間、誰かに横倒しにしてもらうつもりなのだ。

「レイジー様の役に立てる!」

ルチアは以前より増して、力を出せると感じていた。

「体に力が! これが恋のパワー! 今なら私の全てをレイジー様に!」



 まさかまたルチアの力を借りる事になるとは、誰もが思っていなかった。

「そういう事なら」

 ちょっと。

そこでズイと前に出たのは、到着したばかりのレイラン将軍だ。


「待てルチアとやら。詠唱する時間にブレスが来たら拙い。このわたしが、強力なマス防御結界を張ろうではないか。あのブレスをかなり緩和出来る筈だ」


「レ、レイラン将軍、頼む。<保毛坂48>残留組が苦戦している。このままでは犠牲が出てしまう」

「あぁ、任せてくれレイジー」


 対バルゴン作戦の初手は、まず防御を固める事とし、そこはレイラン将軍の防御結界魔法にかけたのだ。

「では仕掛けるぞレイジー!」

「始めてくださいレイラン将軍!」


 はぁぁ~ $%&3+ -*+xx


 強力な防御結界を展開するからか、詠唱がとにかく長い。


 そこへ退避誘導を手助けしていたバイソンの大将と、モーリンさんやハメリア合衆国隊員5人も、急ぎ集結して来た。

「あの詠唱、かなり強力だわ」

 同じ魔法使いでも、系統が違うSランクのモーリンさんが唸った。

 

 詠唱とかの意味が分からないハメリア合衆国隊員は、レイラン将軍と呼ばれた女性が、いったい何をしているのかが分からなかった。


「レイジーさん、住人達の退避は完了した。及ばずながらハメリア合衆国の我々も参戦する」


 ハメリア合衆国隊員のハンドレーザーガンは、効果がないのはもう分かっていた。

しかし弱点の腹なら多少、攻撃が通るかもしれない。それも気休めだけれども、レイジーにとって共に戦ってくれる、その気持ちが嬉しかった。


「誰も失わない事が条件です」

「フッ 承知した」


 そこでハメリア合衆国隊長であるオルガ・スミスをはじめ、5人全員が同じ疑問を持っていた。

「隊長、バニラアイスちゃんや桔梗さん、Renoさん達とよく似た美少女が______ざっと30人以上はいるんですけど......」

「美少女とは思えない戦闘を! いったい何者なんだ?」


「あッ、隊長、美少女が目から光線を!」

「そんな馬鹿な! ジョバンニ、寝言は寝てから言え」

でも......確かに......


 首を捻ったオルガ隊長に代わって、トーラス副長が窘めた。

「ジョバンニ、それはな、この戦いが終わってからレイジーさんに訊けばいい事だ。あの美少女達は一緒に戦う戦友なのだ。いいな」


「そ、そうっすよね......あッ、今度は口から火を......幻ッスよね」

「そうだ、そういう事にしておけ。それが幸せと言うものだ」


 トーラス副長も、美少女達の正体を知りたかったのだが、今はそれどころではないのだ。

「では隊長、そういう事で」

「あぁ、副長の言う通りだ。我々は集団で幻覚を見ているのだ」


 そうこうしている間に、レイラン将軍のマス防御結界が完成、村と私達を取り囲む薄い光の結界が現れた。

「レイジー、強力故に長くは持たん、後は任せていいな」

「ありがとうございます! レイラン将軍!」


______結界を張った後、問題はこれからが正念場なのである。


 極冷凍ブレスとシールドのエネルギー源は、バルゴンの首当たりにある貯蔵袋だ。シールドを展開をする時は、無数にある刺からシールドエネルギーを噴出させているのではないかと。


 そう考えたのは、kanna達がサーモスキャンした結果、喉の中に異常に温度の低い場所があったからだった。

その袋は、バルゴンの体内にある時は、-273度ではないらしい。

恐らく大気に触れた数秒後に、絶対零度に代わるのだろう。

「そうでないと、バルゴンの体が崩壊してしまうから。うまく出来ている」


 そしてシールドに使われる極冷凍液が、喉の袋から刺に移動して幕を形成し、物理攻撃の原子運動を停止させた______


______そう思わせたのは、<保毛坂48>残留組の放ったミサイルが、バルゴンのシールドに当たっても、爆発するどころかボロボロと崩れ落ちたとkannaがそう言ったのだ。


そこでレイジーは確信に変わった。

「バルゴンのシールドは、厳密に言えばシールドでは無かったのなら、やはり最初に狙うのは、喉のエネルギー袋だ!」


「今こそ出番だ ルチアァ~、頼むぞぉ~」

「は、はひぃ~」

「先輩ぃ~」



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