第八話 輪廻の輪の砂時計の再会
大変お世話になりました。あの…またここに来てもよろしいでしょうか…?
(翌朝、私達は快晴な朝を迎えていました。店の外に出ると、青空が一面を染めていました。そして私達は景さんが車を取りに行っている間に、女将さんとおじさまに昨夜のお礼を述べていました。女将さんはタッパーに入れた煮物料理を母に手渡していました)
いつでも来なさい。待っているから……
(精霊達は私達の周りを元気よく舞い踊っていました。それは母にもわかった様で、自然と微笑んでいました)
変なもんだな…、昨夜初めて会ったはずなのに、前々から知っている様な不思議な者達だな…お前さん達…
(おじさまが着物を羽織りながら私達に語りかけて来た時に丁度、景さんの車が到着しました。そして荷物を積み込み始めていると、女将さんとおじさまが名前を名乗ってくれました)
そう言えばお嬢ちゃんにはまだ名前を名乗っていなかったな…、わしは…西尾豪…ここによく出入れしている、ただの酔っぱらいだ。宜しくな…
(おじさまの風格からして、ただの酔っぱらいという風にはどうしても私には見えませんでした。一本の太い柱と会話をしている様な、不思議な安心感をこの御方から感じられました。精霊達も、不思議とおじさまの周りを元気よく飛んでいました)
…私は…この店…海貝庭の女将…潺紫といいます…よろしくね…
(名前を聞いた途端に精霊達は女将さんの肩に元気に座り始める。そして何故か女将さんが精霊の子達にも語りかけている様な、不思議な感覚に包まれました。冷たい感覚ではなく、暖かく包み込まれている様な、暖かな不思議な方でした)
…天河村の出身の方達…またお会いしましょうね…
(母も唖然とした表情で、女将さんとおじ様の事を見つめながら車に乗り込みました。私達は一度も天河村の名を出していない、それなのに何故知っているのだろう?父から聞いていたのだろうと、この時は思っていました)
…まさか…巡り巡って出会う事になるとはな…紫…
(景さんの車に乗り込んで海貝庭の傍を離れ始める時に、私達の事を遠くから見つめる一人の青年がいました)
ええ、あの子達…なら…きっと…ね
(青空に虹のかけ橋が架かり始めていました。そして私達は、それぞれの道を歩む為に現実の世界へ戻って行きました)
第八話書き終えました。
プロローグ(序章)はこれで終わりとなります